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「ゲゲゲの鬼太郎」の原点で、1960年に発表した貸本マンガを元にしたアニメ「墓場鬼太郎」 (C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080307mog00m200005000c.html
目玉のおやじ、ねずみ男、ネコ娘……。本来“闇の中”にうごめく不気味なはずの妖怪たちを親しみやすい存在にした「ゲゲゲの鬼太郎」。その原点となるのが、水木しげるさんが1960年に発表した貸本マンガ「墓場鬼太郎」だ。かかわる人々を不幸にしていく鬼太郎。悪い妖怪を倒すヒーロー像とはかけ離れた姿に、「映像化不可能」と言われていたが「ゲゲゲ」連載開始40年を記念して、ついにアニメ化された。「墓場」に見る鬼太郎のルーツを探る。
■鬼太郎、誕生
「墓場鬼太郎」は60年、貸本として出版されたが、最初からヒットしたわけではなかった。版元の「兎月書房」の社長あてに読者から投書があり、打ち切りを免れたという。「墓場鬼太郎」のシリーズ15話が出版され、65年に「墓場の鬼太郎」として「週刊少年マガジン」に不定期掲載される。こちらも最初は打ち切りも検討されたほどだったが、徐々に人気が高まって67年に「ゲゲゲの鬼太郎」として連載を開始。翌年にはアニメ化され、妖怪ブームの火付け役となったのだ。
原点となった「墓場鬼太郎」の舞台は昭和30年代の日本。人類誕生以前から地上を支配していた「幽霊族」が徐々に衰退していき、一組の夫婦だけが残された。妻は子を宿していたが、二人とも力尽き、墓場に葬られる。しかし、その墓の中から一人の赤ん坊がはい出してくる。それが幽霊族最後の生き残りとなる鬼太郎だった……。
この鬼太郎には、鬼太郎を思う一念で、朽ち果てた体から目玉だけとなって生き延びた「目玉おやじ」や、鬼太郎の左目、そして母の存在。アニメでは、ほとんど描かれていない鬼太郎出生の謎がすべて明かされている。
■温め続けた企画
「墓場鬼太郎」のアニメ化を企画した東映アニメーションの清水慎治企画部長は、3作目から、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」にかかわり続けてきた。「『墓場』は水木ファンとしてはやっぱり、見過ごせない作品。一人のアニメ人としても、いつか映像化したいなとずっと思っていた」と話す。
だが、「鬼太郎が“悪”に属していて、人間すらも地獄に落とす。しかも放送コードで難しい描写もあるから、実現は無理と言われていた」と明かした。
オリジナルビデオアニメ化も考えたというが、「鬼太郎の原点を多くの人に知って欲しい」という思いから、企画を温め続けてきた。そして、「ゲゲゲの鬼太郎」連載から40年となる07年、5作目のテレビアニメシリーズがフジテレビでスタート。清水さんは、同局の深夜枠で、「のだめカンタービレ」や「ハチミツとクローバー」などを放送している大人向けのアニメ枠「ノイタミナ」で鬼太郎40年記念作品として「墓場鬼太郎」のアニメ化を提案した。「『このタイミングなら』と、まさに道が開けた感じ。妖怪たちが助けてくれたんじゃないかと思った」と振り返る。
2008年3月7日