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アイム・ダウン(A SONG OF THE BEATLES)
http://www.asyura2.com/08/bd52/msg/262.html
投稿者 そのまんま西 日時 2008 年 3 月 01 日 20:32:59: sypgvaaYz82Hc
 

アイム・ダウン(I'm Down)Lennon&McCartny, 1965

The Beatles - "I'm Down"
http://www.youtube.com/watch?v=tt1sN8AGBuw&NR=1

 本当に疲れてしまった時、「もう、ダウン!」と口走ってしまうことがあります。現代の世相では、「慢性疲労」なんて言葉も一般的になってしまいましたが、力一杯に燃焼しての「ダウン」には、疲労よりも快感がありそうです。もちろん、「恋に熱中して、彼女(彼氏)にダウンさせられて・・・」なんてことも含めて・・・。

「A Song of The Beatles〜ザ・ビートルズこの1曲〜」今回は、シングル盤「ヘルプ!(Help!)」のB面として発表され、ライブの演奏ナンバーにも加えられていた、ポールが作った「アイム・ダウン(I'm Down)」をお送りします。

 「アイム・ダウン」という曲は、ザ・ビートルズが結成される以前の1956年に、リトル・リチャードがヒットを飛ばした「ロング・トール・サリー(Long Tall Sally)」に触発されて作られたナンバーのようです。

 ポールとザ・ビートルズ自身も、「ロング・トール・サリー」を古くからカバーして、ライブ演奏のレパートリーに加えていて、レコーディングもしてます。「アイム・ダウン」には、ザ・ビートルズの「僕らも、こんな感じのロックン・ロール・ナンバー(「ロング・トール・サリー」)を作ってみたんだ」という想い入れが伝わってくる感じがします。

 コンセプト・アルバムに力を入れ始める前に、もう一度、自分達の音楽ルーツを見直すように、この以前に発表された『ビートルズ・フォーセール(Beatles For Sale)』で、カバー曲を多用した流れを組んで、作られたロックン・ロールととらえることもできそうです。

 ポールのシャウトでいきなる始まる「アイム・ダウン」。「ロング・トール・サリー」に勝るとも劣らないシャウトで、いきなり聴く者を、この曲の中へ引きずりこんでしまいます。ギター・ベース・ドラムスが息を合わせたブレイク(一拍で曲を中断する)して、緊張感を生みだしながら、その後のドライブ感を助長しています。この曲が「ロング・トール・サリー」と決定的に違う点は、ポールのシャウトに答える形で、ジョン&ジョージのコーラスが加わっていることです。

「アイム・ダウン(I'm Down)」「アイム・リアリー・ダウン(I'm Really Down)」と続いていくコーラスが途切れると、ジョージの弾くブルージーなギター・ソロが始まり、同時にバックでは、ジョンの弾くハモンド・オルガンによるコード・プレイを中心にしたソロが絡んで、独特なドライブ感を生んでいます。曲のエンディングでは、ポール流のシャウトのアドリブが続いて、フェード・アウト(音が除々に消えていく効果)していきます。

 ポールはバラッド系ボーカルのイメージが強いのですが、初期から中期のポールのロックン・ロール・シャウトは、本家のリトル・リチャードに負けないくらいに強烈に個性を主張していて、なにより、聴いていて、かっこ良い、爽快感を感じさせてくれると、僕は思います。ジョンとは、まったく個性の違う歌い方でも、ポールのボーカルは、ザ・ビートルズに無くてはならない存在感を漂わせていました。

 前述したように、この「アイム・ダウン」という曲は、ライブ演奏に加えられていたナンバーです。僕が、この曲のライブ演奏として想い出す事は、ザ・ビートルズ公演の全盛期のアメリカ公演と日本公演です。

 1965年のアメリカ公演期間中に、ザ・ビートルズは屋外コンサートの来場者数の世界記録を樹立しています。この屋外コンサートに使用された会場は、ニューヨークのシェア・スタジアム(アメリカ・メジャーリーグ・ベースボール用スタジアム)。野球場を使った屋外コンサートを興業的に開催することなど考えられなかった時代に、ザ・ビートルズは、5万数千人とも6万人とも言われる観客を、一夜にして動員しています。

 この時のコンサートの模様の一部は、『ザ・ビートルズ・アンソロージー』のビデオに収録されていて、ヘリコプターで会場へ向かうザ・ビートルズの姿から、見上げるようなスタンドへ向かって演奏する4人の姿などが映し出されています。この時も「アイム・ダウン」がコンサートの最後の曲として演奏されています。この時の演奏では、舞台に設置されていたハモンド・オルガンをジョンが演奏し、元曲どうりのコード伴奏を始めるのですが、興奮したジョンは、曲の途中でハモンド・オルガンの鍵盤を肘を使って、左右にグリッサンド(この場合は肘を白鍵盤上にこすりつけて、上下のキーをいったりきたりさせて)で、聴衆を魅了してしまいました。

 後にリンゴ・スターが語ったところによると、「ジョンは完全にハイになっていた」そうです。ギターのジョージもジョンのキーボードの横に寄りそうようにして立ち、一つのスタンド・マイクでコーラスをつけていました。ポールがこのジョンのプレイを横目で見ながらシャウトする「アイム・ダウン」は、本当に最高のボーカルになっています。

 翌、1966年に行われた日本公演では、ジョンはやはりラスト・ナンバーになっていたこの「アイム・ダウン」で、一度も設置されていたハモンド・オルガンを弾くことはありませんでした。以前、このコラムの別の曲の所で述べたとうり、この年の日本公演では、ザ・ビートルズは演奏する曲のキーを半音下げて演奏していたようで、ハモンド・オルガンのキーまで変えることは、難しかったからだろうと、僕は、今だに残念に思っているのですが・・・。

2001/10/21.SUN

http://www2.ocn.ne.jp/~shyo5050/bsong16.htm

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