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(回答先: 日本人108人が中国で臓器移植 過去2年間ドナー大半は死刑囚 投稿者 てんさい(い) 日時 2008 年 5 月 13 日 01:11:44)
法輪功学習者対象の中国における
臓器狩りの告発に対する調査報告
http://www.falundafa-jp.net/features/organ-harvesting/organ-harvesting.htm
カナダ議会議員デービット・キルガー(David Kilgour)氏=カナダ外務省前アジア太平洋州局長=と国際人権弁護士デービット・マタス(David Matas)氏は7月6日、カナダ議会で記者会見を開き、中共による法輪功学習者の臓器を強制摘出する告発について、2カ月間を費やした調査の結果をカナダ政府とメディアに公表、中国における法輪功学習者の臓器を生きたまま強制摘出する告発は紛れもない真実であるとの調査結果を発表した。
マタス弁護士は記者会見で、「すべての証拠を詳しく検証した結果、我々の調査結論は、法輪功学習者の臓器を生きたまま摘出するのは、紛れもない事実であり、本人の意思を反する、法輪功学習者を対象とした、この大規模な臓器狩りは常に存在し、未だに行われていると我々は信じる…私たちもその調査結果に驚いており、これは地球上において前代未聞の邪悪な行為だ」と述べた。
報告書の公表は、欧米主要メディアの注目を引き寄せ、ロイター、AFP、BBC、カナダ通信社及びカナダの2大テレビ局CBCとCTVなど、同発表を即日報道した。カナダ保守党全国幹部会ラヒーム・ジャファー議長は13日、カナダ政府は欧米関係諸国と連携を図り中共に圧力をかけ、国際社会が中国国内で告発の真相調査を計画しているという。
調査報告書は、以下からダウンロードできます。
法輪功学習者対象の中国における臓器狩りの告発に対する調査報告書(日本語訳)・・・WORD(431KB)
法輪功学習者対象の中国における臓器狩りの告発に対する調査報告書(原文)・・・PDF(764KB)
驚愕のレポート---移植大国・中国の真実・・・PDF(841KB)
中国における法輪功学習者対象とした
臓器狩りの告発に関する調査報告
デービッド・マタス、デービッド・キルガー
2006年7月6日(カナダ)
英文報告書原文と付録:
http://investigation.go.saveinter.net/
(和訳:大紀元日本翻訳チーム)
目 次
A 序
B 調査方法
C 告発
D 立証の難しさ
E 立証方法
F 立証および反証の要素
F1 中共が抱いた脅威
F2 迫害政策
F3 憎悪の煽動
F4 大規模な逮捕
F5 弾圧
F6 身元不明者と失踪
F7 臓器の出所
F8 血液検査
F9 臓器が摘出された遺体
F10 自白
F11 承認
F12 待機期間
F13 ネット上の負罪証拠
F14 被害者の事情聴取
F15 人権侵害一般
F16 金銭授受に関する考察
F17 腐敗
F18 立法
G 証拠の信用性
H 更なる調査
I 結論
J 提案
K コメント
L 添付資料一覧
1 真相調査委員会からの協力要請
2 デービッド・マタスの略歴
3 デービッド・キルガーの略歴
4 事情聴取を受けた人々
5 中国大使館への書簡
6 中共政権の法輪功に関する発言
7 法輪功学習者に対する迫害
8 拘禁中の学習者に対する血液検査
9 拘禁中、身元を明かさなかった法輪功学習者
10 失踪
11 中国における毎年の死刑執行件数(アムネスティ・インターナショナルの統計)
12 臓器が摘出された遺体
13 取材記録
14 電話調査の記録
A. 序
2006年5月24日付書簡を通じ、米国ワシントンD.C.に設立登記され、カナダのオタワにも支所を有するNGO団体「法輪功迫害調査連盟(CIPFG)」から、中華人民共和国の国家機関及び政府職員が法輪功学習者を対象とした「臓器狩り」に従事しており、臓器収奪の過程で法輪功学習者を殺害しているとの告発につき、その調査協力の依頼があった。同書簡は本報告書に添付されている。我々二人を含む、多くの中国の友人はこの告発に対し重大な関心を持った。事の重大さに鑑み、同時に世界の人権尊重に関心を持つ者としてこの依頼を引き受けることとした。
デービッド・マタスは、ウィニペグで開業している移民、難民、及び国際的人権問題を主な業務とする弁護士。人権問題啓蒙の著作や講演を行い、人権擁護のNGO活動などにも参加している。
デービッド・キルガーは前国会議員。カナダ政府国務省アジア太平洋担当官を歴任し、議員となる前は主任検察官。本報告書の作成者二人の履歴は本報告に添付されている。
B. 調査方法
本件の調査は、依頼者側であるCIPFGと法輪功団体、または他のいかなる組織と政府からも独立して、我々自らこれを行ったものである。我々は中国へ行こうとしたが果たせなかった。しかし、本調査の次の段階として、証人や関連機関と接触できるならば実現したいと考えている。本調査で我々は多くの人への取材ができた。これらのデータは別紙として本報告書に添付されている。我々は入手できる大量の関連情報を精査した。本報告は他者から報酬を受け取ることとなく、ボランティアで行われたものである。
C. 告発
中国のいたるところで法輪功学習者が生体「臓器狩り」の犠牲者となっているとの告発がある。この「臓器狩り」は法輪功学習者の意思に反して行われており、広範囲且つ様々な場所において、系統的方針に従い大量に行われている。
「臓器狩り」は臓器移植の一段階である。「臓器狩り」の目的は、移植する臓器を提供することにある。移植を行う場所と「臓器狩り」の場所は必ずしも同じではなく、たいてい別の場所で行われる。
告発によると、この「臓器狩り」は法輪功学習者の生存中に行われている。法輪功学習者は、「臓器狩り」の過程若しくはその直後殺害され、これは殺人の一形態に当たる。
そして最後に、殺害された法輪功学習者は焼却されるという。そのため「臓器狩り」の証拠となる遺体は残らない。
もしこのようなことが行われているとすれば、しかもそれが政府の指示によって行われているのならば、それは人権尊重が普遍的価値として認められるに到った21世紀初頭において最も警戒すべきことである。さらに我々の最初のビデオ証言者の一人である法輪功学習者ではない女性から、前夫であった医師が2003年10月(この時点で彼は続ける事を拒否したと言う)までの2年ほどの間に、麻酔をかけられた2000人もの法輪功学習者から角膜を切除したとの証言を得たとき、我々は震撼した。本報告に書かれている我々が知った状況はほとんど全て、この証言と同様にむごたらしくすさまじい。
D. 立証の難しさ
これらの告発はその性質上、事実関係を立証し難いだけでなく、否認することも難しい。告発を立証する最適な証拠は目撃証言であるが、本件に関しては目撃者を確保するのは非常に難しい。
臓器摘出が実際に行われていれば、現場にいるのは犯人または被害者のいずれかに違いない。傍観者は存在しないはずである。告発によれば、被害者は全員殺害され、焼却されるため、遺体を捜し出すことはできないし、ましてや遺体解剖はなおさら無理である。自らが受けた暴行を語ることができる生存者もいない。また、この事件が確かに起こっているとしても、犯人が自ら人道に対する罪を認める可能性は極めて低い。それにもかかわらず、我々は十分な供述と証言を入手したわけではないが、電話調査を通じ、意外にも「犯行」を認める供述を多く得ることができた。
たとえこの殺人が行われたとしても、犯行現場にはいかなる痕跡も残されていないであろう。臓器摘出が終われば、手術室はまた普通の手術室に戻るのである。
人権問題に関する中共政権の厳しい統制により、これらの告発の真偽を評価することは非常に難しくなっている。残念なことに、中共政権は、人権問題に関心を寄せている記者と活動家を抑圧している。中国には言論の自由はない。中国の内部から人権侵害事件を報道する者は大抵、投獄されている。中には国家機密漏えい罪で起訴された者もいる。こういう状況下では、NGOの人権団体が法輪功学習者からの「臓器狩り」について沈黙しているからといって、そのこと自体は我々にとっては何ら参考にはならない。
赤十字国際委員会が中国の刑務所に服役している囚人を訪問するのは当局から許可されていない。囚人の人権に関心を持ついかなる機構も許可されていない。このことにより、証拠を得られる可能性のあるルートがまた一つ絶たれている。
中国には情報開示に関する法律はない。中共政権から臓器移植に関する基本的なデータ、例えば、臓器移植の実施件数、臓器の出所、移植の費用と用途などに関する情報を得ることはできない。
この報告書を完成させるために、我々は訪中を試みたが徒労に終わった。我々は中共大使館に入国許可について面談を求める書簡を出した。この書簡は参考資料として本報告書に添付されている。面談は実現できたが、デービッド・キルガーが面会した大使館員は、ただひたすら、これらの告発を否定しているだけで、我々の訪中の話に全く興味を示さなかった。
E. 立証方法
これらの告発が本当かどうかを判定するため、我々は多数の証拠を精査しなければならなかった。いずれの証拠も単独ではこれらの告発の真偽を確定することはできず、これらの証拠全体によって全体像を描き出すこととなる。
我々が目を通した証拠の多くは、それ自体では、告発を完全に立証することはできない。しかし、これらの証拠が存在しなければ、告発は否定されていたかもしれない。個別の証拠はこの告発を立証できないかもしれないが、特に証拠は膨大な数に上っているため、これらの証拠一つ一つでは立証できなくとも、これらの積み重ねによって告発は信ずるに足るものとなる。我々が特定した告発を反証を構成する可能性のある要素では本件告発を反証できないとすれば、本件告発が真実である蓋然性は相当程度と言える。
立証には、帰納法と演繹法を用いることができる。犯罪捜査は通常、演繹的に進め、多くの小さい個々の証拠を一つの全体になるように縫い合わせるのである。我々の調査は様々な制限を受けているため、演繹的な推論は困難である。それでも、我々は中国で起きていることを推論できる幾つかの資料を入手できた。それはすなわち、調査担当者による電話調査である。
ほかに、我々は帰納法を用いて双方向からの推論を行った。本件告発が真実でないとすれば、どうすれば真実でないと知ることができるのか。また、本件告発が真実であれば、どのような事柄が本件告発と一貫性があるのか。本件告発が真実であるならば、その真実性を説明できるものは何なのか。これらのような問題に答えることは、最終的な結論を導き出すことに大変役立った。
F 立証および反証の構成要素
我々の調査では、本件告発に対する立証および反証の双方の構成要素を、入手済み、そして入手できそうなものも含めて、すべて考慮した。何ら結果を得られなかった手がかりもあったが、それでも我々は可能な限り調査、追跡した。
F1.中共が抱いた脅威
1990年代後半、中共は法輪功をイデオロギー面における独占的な地位を脅かす存在とみなすようになっていた。この「抱いた脅威」は告発を立証するものではないが、もし仮に中共政権が法輪功を脅威であるとみなしていなければ、告発の正当性が危うくなる。
法輪功は李洪志氏が1992年に中国の東北部で創始したものである。彼は心身の健康を促進できると考えられている古来の呼吸法、あるいは時に「中国のヨガ」と呼ばれる気功を1980年代に行い始めた。中共が1949年に北京で政権を奪って以来、いずれの気功も抑圧されていたが、この警察国家でも1980年代には法輪功も含め気功に対する抑圧が緩和されていた。
法輪功は近年、李氏によって普及されたものであり、その中には儒教、仏教そして道教の要素が取り入れられている。本質的にこの気功は心身両面の健康を改善するための、煉功を通じて瞑想する方法を教えている。その活動は政治的なものではなく、法輪功学習者は、人種、国家、文化の枠を越えた真実、寛容そして慈悲を増進しようと努力している。暴力は法輪功学習者が忌避するものである。李氏は政府の中国気功科学研究会に法輪功を登録した。90年代の半ば頃、すでに6千万人が法輪功を学んでいたといわれている。中国政府の国家体育総局によると、1999年には7千万人の法輪功学習者がいたという。
2004年にエール大学が出版した、マリヤ・チャンの著書『法輪功』ではこう述べられている。「法輪功は中年層と中流階級が主体であると言われているが、年配者や学生、農民などの階層もいた。教師、軍人、中共幹部、外交官とその他の政府幹部など、あらゆる階層の人々がいた。さらに、李先生の法輪功の学習者の中には、江沢民国家主席、朱鎔基総理とその他の国務委員など、中共上層部指導者の配偶者や家族もいたと言われている。(注1)」
法輪功は80年代の中国における「ポスト毛沢東時代の『精神的空白』と、党がイデオロギーの統制を緩めた時期に宗教活動が爆発的に増えたことなど…」(注2)を背景に爆発的に増加した宗教活動のうちの一部である。とりわけ法輪功が人気を集めた理由の一つとして、現代科学と中国の伝統と結び合わせたことが挙げられる。
1999年7月に弾圧されるまでは、多くの都市部で、法輪功学習者は定期的に集まり一緒に煉功していた。マリア・チャンが著書で書いたように、北京だけで2000の煉功場所あった。朱前総理は法輪功をする人が増えることを歓迎していた。なぜなら、法輪功の煉功者はほとんど健康で、医療費を節約することができ、社会に利益をもたらしたからである。江前国家主席も1992年に、3800万人の愛好者を有するとされる中功という気功集団のメンバーを招いて気功を始め、リューマチと頸痛を治療してもらったと言われている(しかしながら、2000年初めに江政権は中功を禁止し、その指導者を国外へ追放した(注1))。
江前国家主席と法輪功との個人的な衝突は1996年にすでに始まっていたとマリア・チャンやその他の専門家は分析している。当時、李氏の著作『転法輪』は全国ですでに百万冊が頒布された。高まり続ける法輪功人気は、江前国家主席を含む神経質な中共指導者の警戒心を呼び起こした。政治面で政府に反抗する可能性を恐れた政府は『中国法輪功』とその他の関連書籍の出版を禁止し、李氏が窃盗であると非難するよう、不満を持つ学習者を励ました。チャンは「李氏は自分自身と法輪功が差別を受けたと感じ、報道では政府に脅迫されたとして、1998年に渡米、永住権を取得した」(注1)と著書で言及した。
非暴力的弾圧の段階は1998年5月まで続いた。政府当局の管理下にあるテレビ局のインタビュアーは法輪功が「迷信」であるとした。チャンの研究によると、この発言を引き金に、数百人の法輪功をする中国共産党員や政府の役人、そして退役軍人らが当時の江主席に手紙を寄せ、煉功の合法化を訴えたという。しかし、この訴えは実現できなかった。その後、中共は『青少年科技博覧』という雑誌で、法輪功は迷信であり、法輪功学習者は重病にかかっても普通の医療を拒むので、健康を損なうものであるという記事を発表した。この記事を読んだ大勢の法輪功学習者は、天津にある雑誌の編集部の外に集まり、平和的に抗議を行った。警察官がそれらの法輪功学習者を逮捕、殴打したため、首都北京で新しい抗議活動が始まった(注1)。
1999年4月25日、10000人から16000人の普通の中国人は、早朝から深夜まで、紫禁城のそばにある中共首脳の中枢機関である中南海の外に集まった。その中には知識人、政府幹部や党員もいた。抗議は静かに行われ、標語もなければ、政治的なスローガンもなく、反抗的な声もなかった。チャンは「デモの日、江氏は車に乗って中南海を一周し、外から見えないガラスを通して様子を見ていた。彼は明らかにデモに驚いたようで、その日の夜、彼は政治局のメンバーに手紙を出し、マルクス主義は法輪功に勝つことができると彼が信じているということを同僚たちに対して保証した(注1)」と当時の状況を描いた。彼の目には、共産党の半世紀に及ぶ独裁政治がすでに危険に晒されているように見えたのである。
モントリオール大学東アジア研究センターの主任で中国現代史研究家のデービッド・オーンビー博士は、五年前にカナダ国際問題研究所に寄せた論文の中で、2001年とその前に起きたことを率直に次のように記述した(注2)。
「北米で温和と見られている法輪功が中国ではあからさまに『邪悪』とされていることから、人権に関心を持つカナダ人は、法輪功に対する中国当局による弾圧をもっと注意深く観察するようになるだろう。」
中共指導者の江沢民は法輪功を「カルト」と名指ししたが、オーンビー博士は「彼らのカナダとアメリカでの活動からは、人々が言うカルトの要素は少しも見当たらなかった。法輪功がカルトであるという中共政権の批判は、法輪功学習者への虐待に関する告発についての第三者による調査を中共政権が許可しない限り、説得力はない。中国は実は、法輪功が学習者を大量に動員できる力を恐れているのだ」と述べた。
F2. 迫害政策
法輪功学習者を対象とした「臓器狩り」が中国で広く発生しているならば、そこにはそうした内容の政府の政策や方針があるはずだと考えるであろう。しかし、中国では政策決定過程が秘匿されているため、具体的な政策が存在しているかどうかを知ることはできない。
しかし、我々は法輪功に対する迫害が政策として実施されていることを知っている。本報告書に添付されているとおり、中国政府と中共政権が発した、身体の迫害を含めて、法輪功の迫害を命ずる非常に強力な政策表明文が存在する。これらの内容は我々が聞いた告発と一致している。
北京政府計画弁公室の李百根副主任(当時)の話によると、1999年「6-10弁公室」(法輪功取締特務機関)の責任者三人は3000人の政府幹部を人民大会堂に招集し、法輪功に対する弾圧について議論したという。しかし、弾圧活動は思うほど順調ではなかった。北京の周辺には続々と陳情者が詰め掛けた。610弁公室の責任者である李嵐清は口頭で、法輪功に対する政府の新政策を伝えた。つまり、「その名誉を毀損し、その経済力を破綻させ、その肉体を消滅せよ」というものだった。その会議以降、警官によって迫害され死亡した法輪功学習者は、自殺死として片づけられている。
カナダの法輪功学習者から、中国の各地の法輪功学習者が警官に、「法輪功学習者を殴り殺したら、自殺と言えばよい。遺体は直接、焼却すればよい」と脅されたという話を聞いた。
F3. 憎悪の扇動
中国の法輪功学習者は、人間としての言論と行動の権利を完全に剥奪されている。当局の政策上の方針は、大衆の煽動と合わせて、迫害を正当化し、その迫害の賛同者を募り、反対の声を未然に圧殺することにある。このような特定集団に向けられた批判は、当集団に対する人権弾圧の予兆であると同時にそれを裏付けるものとなっている。
国際人権組織「アムネスティ・インターナショナル」の情報によれば、中共政権は信仰の放棄を拒否する法輪功学習者に対する暴力による制裁、法輪功学習者全員に信仰の自由を制限し、信仰を放棄させるための「強制洗脳」、そして国民が法輪功を憎むように扇動するためのメディアキャンペーンという3つの策略で法輪功を崩壊させようとしている。注3)
2001年1月23日、当局が法輪功学習者と発表した、12歳の少女とその母親を含む5人が、天安門広場で焼身自殺を図ったという事件に関してメディアキャンペーンが展開された。事件後、中国のメディアはその少女が重度のやけどを負った衝撃的な映像や、法輪功への信用を失墜させ、法輪功に対する民意を変えようとする報道を中国全土に繰り返し放送し続けた。この事件は実は当局が脚色し演出したものであることが強く疑われている。
憎しみを扇動するだけでは迫害が行われているとは言い切れないが、こうした煽動は、あらゆる最悪の人権侵害を促進する。このような忌まわしいプロパガンダがなければ、我々が集めた一連の告発が真実であるとは考えないであろう。実際、このようなプロパガンダが存在しているからこそ、中国において、人々が法輪功に対するそうした行為―「臓器狩り」やその過程で彼らを殺害すること―に関わっている可能性が真実味を帯びてくるのである。
F4. 大規模な逮捕
政府のメディア攻勢にもかかわらず、法輪功学習者数十万人が北京に上京して直訴を試み、横断幕やスローガンを掲げ、毎日のように集団の合法性を請願した。オーストラリア在住の作家・ジェニファー曾氏は当時北京に住んでいたが、彼女が独自に入手した中共の機密資料よると、2001年4月末までに逮捕された法輪功学習者は約83万人に達していたという。
秘密の強制労働収容所に法輪功学習者が大量に拘禁されていても、それ自体だけでは(臓器狩り)の告発を立証できない。しかし逆から見ると、もしそのような大量な被収容者が存在しなければ、告発は疑わしいものとなる。膨大な数の人々が国家の恣意と権力の標的になった場合、どのような形であれ自衛の手段が全く無ければ、そうした人々が潜在的な「臓器狩り」の対象となる。
F5. 弾圧
法輪功の鎮圧には、江沢民が設立した「6‐10弁公室」(注5,6)という特務機関が各省、市、県、大学、政府機構および国有企業に設置され、弾圧運動の先頭に立っている。江沢民が「610弁公室」に出した指令は法輪功の「根絶」であった(注6)。1999年の夏、法輪功学習者数万人が、刑務所や強制労働収容所に送致収容された。米国務省は2005年、中国に関する報告書(注7)の中で、警察は拘置所数百箇所、強制労働収容所340箇所で合計30万人を収容できると報告した。その報告書では、拘禁期間中に死亡した法輪功学習者は、数百人から数千人と推計している。
拷問の実態を調査している国連特別調査委員会は、以下のように指摘している(注8):
「2000年以来、特別調査委員会とその前任者は、中共当局に拷問案件314件を報告した。その案件の関係者は、1160人に達する」さらに「その数字のほかに、さらに注意すべきなのは、2003年に寄せられた案件(E/CN.4/2003/68/Add.1 para. 301)で、法輪功学習者数千人が受けた虐待と拷問とが記述されている」。
そのほかに、報告書では、拷問と虐待の被害者の66%は法輪功学習者であると指摘。その他の被害者は、ウイグル族人が11%、風俗産業従事者が8%、チベット人が6%、人権活動家が5%、反体制者が2%そしてその他の人(エイズ感染者と宗教団体のメンバー)が2%を占めている。
1999年から、すべての地方政府には、北京の命令を徹底的に実行させるために、無制限の自由裁量が与えられた。それ以降、法輪功学習者が焼身自殺や、殺人、家族への危害行為、医療の拒絶を行うと国民に信じ込ませるために、多くの捏造が行われた。時が経つにつれてこの詐欺宣伝は一定の効果を顕わし、多くの中国人は、明らかに中共当局の見方を受け入れた。1999年後半になって初めて全人代が法輪功に対する禁止法を可決し、それまでの法輪功への迫害行為すべてが遡及的に合法化された」。
2年後(2001年8月5日)、ワシントン・ポスト紙北京支局は、「6‐10弁公室」とその他の中共機構による法輪功への迫害の深刻さを暴露する以下の記事を掲載した(注9)。
「北京西部のある警察署で、欧陽氏は裸のままで5時間の拷問を受けた。彼の話しによると、『もし私の答えが(彼らの要求と)異なっていれば、つまり、イエスと言わなければ、警官らは電撃警棒で私を電撃した』。その後欧陽氏は北京西部の近郊地域にある強制労働収容所に拘禁された。そこで、警官らは彼に壁に面して直立不動の姿勢をとることを命じ、すこしでも体が動くと、電撃された。体力が限界に達し、倒れたときも、電撃された」。
「後に、欧陽氏は拘禁されている法輪功学習者グループの面前で、ビデオカメラに向け、自分の信仰を放棄すると再度声明した。それで欧陽氏の身柄は、刑務所から『洗脳センター』に移された。20日間続けて、毎日16時間以上、法輪功を批判し続けた末、彼は『卒業』した。欧陽氏は『当時でも、今でも、私が受けた圧力は信じ難いものである。過去2年間に私は人間の最も醜いことを目の当たりにした。我々人間は本当に地球上で最も罪深い動物だ』と語った」。
オーンビー博士は、「人権団体が一致して、中共政権による法輪功への残酷な迫害を譴責している。カナダ政府を含めて、世界でも多くの政府が、すでに関心を示し始めている」と指摘、アムネスティ・インターナショナルの2000年度報告書を引用して、1999年7月に弾圧が始まって以来、すでに法輪功学習者77人が、拘禁期間中に死亡し、あるいは釈放された直後に死亡した(注2)と説明した。
F6.身元不明者と失踪
不幸にして標的となった法輪功に対する抑圧の方法は、ある意味で、中共当局の常套手段ではあるが、法輪功の拘禁には独特な特徴がある。中国全土から天安門広場に嘆願や抗議をしに来た法輪功学習者が逮捕されたとき、身元を明かした場合は居住地に送還され、その家族も連帯責任を問われ巻き添えになり、しかもその法輪功学習者に信仰を放棄するよう説得することを強要される。法輪功学習者の会社の上司、同僚、居住地の自治体の幹部も、その法輪功学習者が北京で嘆願や抗議を行ったことで、責任を問われ、懲罰を受ける。
そのため、法輪功学習者は自分の家族を守り、郷土での「村八分」を避けるために、その多くが、自らの身元を明かすことを堅く拒絶した。その結果、中共当局は拘禁された法輪功学習者多数の身元確認ができず、法輪功学習者の知り合いたちも彼らの行方が分からない。
身元を明かそうとしないのは、親戚や知人の身を守るためであるが、逆効果になりやすい。家族がその消息を知らない人は、そうでない人たちと比べ、一層犠牲者になりやすい。このような人たちは、たとえ中国の基準においても、明らかに無防備な人たちである。
これら身元不明者たちは、特別過酷な虐待を受ける。彼らは事情も知らされず、中国各地の刑務所をたらい回しに移送される。
これら身元不明者が、法輪功学習者に対する「臓器狩り」の対象なのであろうか。明らかに、この人たちの存在自体だけでは、そうであるという断定はできない。しかし、仮に法輪功学習者に対する臓器狩りの告発が真実であれば、この人たちの存在により、摘出された臓器の出所についての直ちにこれを説明することができる。この人たちはそのまま蒸発する可能性があり、しかも「塀の外の人たち」は、その事実を知る術もない。これら身元不明者に関する情報は、本報告書に別紙として添付されている。
実際、消息不明の法輪功学習者は多数いる。本報告書に別紙としてこれらの失踪案件の証拠を添付している。これらの法輪功学習者全員の所在が確認できれば、我々が向き合っている本件告発は反証されることになろう。しかし、人間は様々な理由で失踪する可能性がある。失踪は一種の人権侵害であり、中国は、そうした失踪について説明責任を負っているが、それらの失踪が必ずしも本件侵害行為であるとは言えない。
大量の法輪功学習者の失踪の責任が中共政権にあると信じざるを得ないのには種々の理由がある。これらの失踪案件は告発を立証するものではないが、我々が考慮しているその他の多くの要素同様、本件の告発と矛盾するところがないのである。
F7. 臓器の出所
移植された臓器の多くは、出所が確認できない。一部は死刑囚からの臓器、またわずかではあるが家族の同意によって提供された臓器がある。しかし、これらの死刑囚とドナーを合計した数よりも、実際の移植手術件数は遥かに多く、どうしても数が合わない。
処刑される死刑囚の人数は非公開である。従って、我々は添付資料にある推定人数をもとに計算した。中国で処刑された死刑囚の推定人数は、全世界の処刑された死刑囚の合計人数と比べても、非常に大きいのであるが、臓器移植件数に比べればはるかに少なく、数が大きくかけ離れているのである。
移植された臓器のうち少なくとも98%は、家族以外の提供者からのものである(注10)。例えば、中国国内で1971年〜2001年の間に行われた腎臓移植手術40,393件のうち、患者の家族から提供されたケースは227例で、全体の0.6%に過ぎない(注11)。中国人には、死後、臓器を提供することを好まないという文化的背景がある。実際、中国には、組織的な臓器ドナー制度は存在していない(注12、10)。
中国では何年も前から、死刑囚の臓器を利用した移植手術が行われていたが、中国政府が昨年、初めてこのことを認めた(注13、14)。中共政権にとって、「国家の敵」の臓器を売買することを阻止するような障壁は一切ないのだ。
アムネスティ・インターナショナルの報告(注15)によると、1995年〜1999年の間に処刑された死刑囚の数は、年間平均で1,680人であり、2000年〜2005年は1,616人だった。これらの数字は変動的ではあるが、全体的な平均値は、法輪功が弾圧される前も後も、あまり変わらない。従って、法輪功の迫害が始まってから、中国で激増した移植手術の件数は、処刑された死刑囚だけでは説明がつかない。
公表された報告によると、1999年までに、中国では約30,000件(注16)の臓器移植が行われ、1994年〜1999年の6年間で約18,500件(注16、17)の臓器移植が行われたという。中国医療臓器移植協会副会長の石秉義教授は、最初の臓器移植が行われてから2005年までに、合計で約90,000件の臓器移植が行われたと述べた(注18)。それにより法輪功の迫害が始まった1999年から後の2000年〜2005年の6年の間に、約60,000件の臓器移植が行われたことが明らかとなった。
一方、家族または脳死患者などの、出所の確認できる臓器移植件数はわずかである。2005年、生きている親族からの腎臓移植は、全国の臓器移植件数のうちわずか0.5%である(注19)。また、2006年3月までのすべての臓器移植の中で、脳死患者からの臓器提供はほんの9件しかない(注19、20)。ここ数年間でも、脳死患者による臓器提供の増加を示すものはない。1994年〜1999年の6年間で、出所が明らかな臓器による臓器移植は18,500件であるが、おそらく2000年〜2005年の6年間でも、同等な数の臓器移植が行われたと推測できよう。それならば、2000年〜2005年の6年間で、実際に行われた60,000件の臓器移植のうち、41,500件の臓器の出所は説明がつかないのである。
ならば、移植手術が行われた41,500の臓器はどこから来たのか。生きた法輪功学習者から臓器が強制に摘出されたという告発は、その答えであるだろう。
これらの数字のギャップから、法輪功学習者に対する臓器狩りという告発が真実であるとはいえない。しかし、逆に、移植されたすべての臓器の出所が十分に説明されれば、その告発は反証される。すべての臓器についてその出所が自主的な臓器提供者または処刑された死刑囚によるものであると追跡ができれば、告発は反証される。しかし、このような追跡は不可能だ。
中国で処刑された死刑囚の推定人数は、しばしば公表される数字よりも多い。処刑された死刑囚についての政府側の統計報告がないため、合計数字は推測したものにすぎない。
処刑された死刑囚の人数を推定する方法の一つは、臓器移植手術件数を見ることである。少なくとも臓器の一部は処刑された死刑囚からのもので、家族からの臓器提供はほとんどないことが分かっているので、一部の専門家は、臓器移植手術件数から、処刑された死刑囚が増加したと推定している。
しかし、同推論は説得力に欠ける。臓器移植に利用する臓器が処刑された死刑囚からのものだけでなければ、臓器移植手術件数から処刑された死刑囚の人数を推測することはできない。他方、法輪功学習者の臓器がもうひとつの臓器供給源だという主張がある。死刑囚の人数が移植手術件数を基に推定されている限り、法輪功学習者が臓器の供給源ではないという結論は導き出せない。
1999年までに、肝臓移植センターは中国全土では22ヵ所(注21)しかなかったのに対して、2006年4月になると500ヵ所(注22、12)にもなった。1998年まで、中国における肝臓移植手術の総件数は135件(注11)だったが、2005年一年間だけでも、4000件(注18)に上っている。腎臓移植の場合、手術件数の増加も顕著である(1998年に3,596件(注11)、2005年に10,000件(注18)の腎臓移殖手術が行われた)。
中国における臓器移植件数の急増と並行して、法輪功学習者に対する迫害も急増している。両者が並行していることだけを根拠に、この告発を立証することはできないが、しかし、これは告発の内容と一致している。もしこの両者が並行していなければ、告発は脆弱なものとなるだろう。
F8. 血液検査
我々は、拘禁された法輪功学習者の血液検査が組織的に行われたことを知っている。我々が収集した相当数の証言から、同血液検査はもはや推測レベルを越えて、確かに行われたと言える。しかし、法輪功学習者たちは何故、血液検査を受けなければならなかったのだろうか。
法輪功学習者たちは、その理由を知らされていない。しかし、同血液検査が、健康診断のためであるとは考えにくい。なぜなら、まず、病気予防の場合は、血液検査は不必要であり、次に、拘禁された法輪功学習者たちの健康状態は、これまで当局に無視されていたからである。よって、中共当局による法輪功学習者の血液検査は、病気予防のためであるとは信じ難いのである。
血液検査は、臓器移植のために必要不可欠である。臓器移植を受ける患者の抗体が、移植される臓器を拒絶しないように、臓器提供者は患者との相性が適合していなければならない。
勿論、血液検査だけでは、法輪功学習者たちからの「臓器狩り」が発生していることを立証することはできない。しかし、その逆のことは言える。つまり、血液検査の事実がなければ、法輪功学習者の臓器が摘出されているとする告発は反証される。収容所内の法輪功学習者に対して広範囲に行われた血液検査は、本件告発に対する当該反証の道を絶つのである。
F9. 臓器が摘出された遺体
拘禁期間中に死亡した法輪功学習者の家族の一部は、遺体に外科手術が施された跡があり、身体の一部が消えていると証言している。当局はこのような遺体に関する説明を一切行っていない。これらの解剖された遺体の証拠は、同報告書の付録に添付してある。
解剖された遺体のケースはほんの数例しか入手できていない。これらの遺体が何故解剖されたのかという理由について、政府当局からの説明はない。しかし、この解剖は、臓器狩り疑惑の内容と合致している。そうでなければ、これらの遺体が解剖され、身体の一部が取られた理由の説明がつかないのだ。
F10. 自白
我々は、前の夫が外科医である女性の証人と面会した。彼女の証言によると、彼女の前夫は、2003年10月以前の2年間、中国の東北地方に拘禁中の、麻酔をかけられた約2000人の法輪功学習者から角膜を摘出していた。その後、彼は同手術の執刀を拒否したという。この外科医は、これらの角膜の「ドナー」たちは他の外科医たちによって次々と臓器を摘出され、最後は火葬されたため、誰一人として生き残っていないと妻に告げた。この女性の証人は、法輪功学習者ではない。
この自白は間接的なもので、当該女性は自分の夫が自白した恐ろしい事実に言及したのであって、女性自身の行為および経験ではない。
同証言の信憑性は確認する必要があるので、同報告書の後半にて進める事にする。しかし、同証言が信ずるに足るものであるとすれば、同証言自体は法輪功学習者を対象とした中国臓器狩りの告発のすべてを立証するものである。
F11.承認
独立調査団の一人は、英中通訳者を介して、米国およびカナダの法輪功学習者と中国大陸の現地組織との電話記録を聴取した。その録音記録は、中国語から英語に翻訳され、コピーが手元に届けられている。本報告書で引用した部分の翻訳の正確さは、オンタリオ州政府公認の翻訳者「C.Y.」氏が保証している。彼は、本報告書で引用した対話の中国語録音と英語翻訳文を審査した結果、中国語のディクテーションは正確で、英訳も正確であると確認した。実際の電話録音も提供できる。調査団の一人は5月27日、トロントで電話調査員2人と面会し、電話をかけた時の回線や、時間、録音、英訳の正確性、その他通話の特徴などを確認した。
電話調査員の1人で、M氏という女性(中国にいる家族の安全を守るため、彼女の身元を開示することはできない)は、2006年3月、山西省公安局に電話をかけた。電話に出た人は、「刑務所では、若くて且つ健康な囚人が臓器狩りの対象として選ばれる。もし選ばれた囚人が罠を見破り、移植に必要な血液サンプルを提供しない場合、幹部は誠実を装い続ける一方、看守職員は強制的に採血する」と告げた。
2006年3月18日、あるいは19日に、M氏は中国東北部にある瀋陽市人民解放軍病院の眼科部長と話を交わした。すべての対話を録音することはできなかったが、彼女の記録では、この眼科主治医と自称する人物は同病院で「多くの角膜手術」を行ったと話し、更に「我々は新鮮な角膜を提供できる」と述べた。それは何を意味するのかと質問したところ、その医者は「・・・・・・人体から摘出したばかりの角膜である」と回答した。
北京人民解放軍301病院のある外科医は2006年4月、M氏に対して自分は肝臓移植の手術を執刀したことがあり、臓器供給源は「国家機密」で、供給源を外部に漏らした医者には、「この種の手術を行う資格を剥奪される」と告げた。
「法輪功迫害追跡調査国際組織」(WOIPFG)のもう一人の調査員N氏は、米国から中国に電話をかけた。N氏は中国各地の約30軒の病院や、収容所、法院(日本の裁判所にあたる)に電話をかけ、そのうちの法輪功学習者から摘出した臓器を使用したことがあると認めた一部の病院との会話を録音した。5月27日、調査団のメンバーの1人が彼女とトロントで面談して、彼女が用いた方法や、翻訳などが実質的にM氏のものとほぼ同様であることを確認したため、彼女の電話での会話内容の記録は正確であるとして、我々2人はこれを受け入れた。同様に専門資格を有する翻訳者が彼女の対話録音を翻訳した。
電話会話で(法輪功学習者を対象とした臓器狩りを)認めた病院と拘禁施設
法輪功学習者からの臓器は今でも提供できる
密山拘置所の承認
2006年6月8日、黒龍江省密山拘置所の幹部の一人は、当拘置所で、少なくとも5、6人の40歳以下の男性法輪功学習者の臓器を提供できると認めた。当拘置所の幹部・李氏は、臓器狩りの対象となる法輪功学習者を選ぶ時の詳細を明らかにした。
1.当拘置所が臓器狩りの対象を選択する。病院が選択するのではない。
2.電話をかけた時、当拘置所の幹部職員の崔氏は臓器提供の窓口であった。
3.臓器供給源として選ばれた被拘禁者は、採血される。彼らは採血の目的を知らない。
4.採決に非協力的な「ドナー」に対し、当拘置所は様々な採血方法がある。
上海の中山医院:
2006年3月中旬、この病院のある医者は、自分が扱うすべての臓器は法輪功学習者からのものであると話した。
山東千仏山医院:
3月、ある医者は法輪功学習者の臓器を提供できると示唆し、4月になると、「このような臓器がさらに増える・・・・・・」と話した。
南寧市民族医院:
5月、当病院の医者・陸氏(音訳)は、この病院では法輪功学習者の臓器を提供していないと説明、広州市に電話して聞いてみたほうが良いと提案した。また、以前自分も監獄に行き、30歳代の健康な法輪功学習者を臓器供給源として選んだことがあると認めた。
河南省鄭州医科大学:
今年3月中旬、医者・王氏(音訳)は、「我々が摘出したのは皆若くて健康な人の腎臓・・・・・・」と話した。
広州軍区医院:
今年4月、医者・朱氏(音訳)は、法輪功学習者の臓器であるB型腎臓を保有していると明かし、5月1日までには、さらに数回に分けて(このような臓器が)提供されるが、5月20日以降になると、恐らく供給がなくなると話した。
東方臓器移植センター:
今年3月中旬、医者・宋氏(音訳)は、当移植センターでは10数個の「鼓動している心臓」を保有していると明かし、電話調査員は「臓器提供者はまだ生きているという意味なのか」と質問したところ、この医者は「そうだ」と答えた。
武漢同済医院:
武漢同済医院に、電話調査員は「・・・・・・我々は腎臓提供者が生きていると望んでいる。移植用の臓器は生きている被拘禁者からの臓器移植を希望している。例えば、生きている法輪功学習者。そちらでは入手できるだろうか」と聞いた。2週間後、同医院のある職員は、その要求を満たすのは「問題がない」と知らせた。
拘禁施設と裁判所:
秦皇島第一拘置所
今年5月中旬、当拘置所のある職員は電話調査員に対し、法輪功学習者の腎臓を入手したいなら、中級人民法院と連絡を取りなさいと話した。
秦皇島中級人民法院
同日、中級人民法院の職員の一人は、現在生きている法輪功学習者の腎臓を保有していないが、以前、特に2001年にはあったと回答した。
錦州人民法院刑一庭
今年5月、法院のある職員は電話調査員に対し、現在、法輪功学習者の腎臓を提供するかどうかは、臓器を求める人の「資格」に基づいて決めていると話した。
電話調査員に対し、生きている法輪功学習者の臓器を強制摘出していることを認めた全ての拘禁施設と病院の所在地を下の中国地図にて示す。
多数の電話の通話記録は、本報告書に別紙として添付している。ここでは例として、3通の通話の抄録を挙げる。
1.黒龍江省密山市拘置所(2006年6月8日)
M: そちらでは法輪功学習者の(臓器)提供者がいるのか?
李: はい、以前はいた。
M: …今ではどうなっているのか?
李: …現在もいる。
?…
M: 我々がそちらに行って選ぶのか、それともあなた達が直接提供してくれるのか?
李: こちらから提供する。
M: 値段はいくらか?
李: あなた達がこちらに来てから話し合うこととしよう。
…
M: そちらでは40歳以下の「法輪功の臓器提供者」はどのぐらいいるのか?
李: かなりいる。
M: 彼らは女性か、男性か?
李: 男性だ。
M: そしたら・・・・・・そちらで男性の法輪功(囚人)は、何人いるのか?
李: 7、8人いる。現在では少なくとも5、6人はいる。
M: 彼らは農村の人なのか、それとも都会の人なのか?
M: 農村の人だ。
?2.広西少数民族自治区南寧市民族医院(2006年5月22日)
M:・・・・・・あなたは法輪功学習者の臓器を探しだせるのか?
陸医師: 率直に言うと、我々は(法輪功学習者の臓器を)入手できない。現在では広西において獲得することは本当に困難だ。もし急いでいるのであれば、広州市に行ったほうが良い。そちらでは容易にそのような臓器を入手できる。彼らは全国範囲で探せるし、肝臓移植もしているから、同時にあなた達のために、腎臓も見つけてくれる。このことは彼らにとっては非常に容易なことだ。臓器供給が足りない地区の多くは、広州市に助けを求めている・・・・・・。
M:彼らはどうして容易に入手できるのか?
陸:彼らは重要な機関だから。彼らが大学の名をかたり、司法制度と結託している。
M:では彼らは法輪功学習者の臓器を使っているのか?
陸:そうだ…
M:以前、あなた達が使っていた法輪功学習者の臓器は、拘禁施設からか?
それとも刑務所から提供されたものか?
陸:刑務所からだ。
M:臓器は健康な法輪功学習者から得たものか?
陸:そう。我々は良い臓器を選んでいる、手術の品質を保証するためだ。
M:言わば、あなた自身が選んだ臓器か?
陸:そうだ。
M:一般では、臓器提供者の年齢はどのぐらいなのか?
陸:一般では30代の人だ。
M:あなた自らが刑務所に出向いて選ぶのか?
陸:そうだ。我々が選ばなければならないからだ。
M:もし選ばれた人が採血を拒否したらどうするのか?
陸:その人は必ず採血をさせてくれる。
M:どのようにするのか?
陸:彼ら(刑務所)には必ず方法がある。これはあなたが心配することではない。これらのことはあなたと関係がない。彼らには、彼らのやり方がある。
M:選ばれた人は、自分の臓器が摘出されることを知っているのか?
陸:いや、知らない。
3.東方臓器移植センター(別名、天津市第一センター医院)
(2006年3月15日)
N:宋外科部長か?
宋:そうだが。どうぞ。
・・・・・・
N:ある女性患者の主治医は、あの腎臓の品質が非常に良いと言った。その人(腎臓の提供者)は法輪功を修煉しているからだというのだが?
宋:それは当然だ。我が病院で(臓器提供者)は皆まだ呼吸があり、心臓がまだ鼓動していた・・・・・・現在まではそうだった。今年我々はすでに十数個の腎臓を移植した、十数個のそのような(新鮮な)腎臓だ。
N:十数個のそのような腎臓・・・・・言わば生きていた人の腎臓のことか?
宋:その通りだ。
F12. 待機期間
中国国内の病院のウェブサイトでは、臓器移植の待機時期が短いと宣伝している。死亡して暫らく経った遺体の臓器は質が落ちるので使用不能である。これらの病院の宣伝通りだとすると、その背景には、沢山の生きている臓器提供者がおり、随時に供給できるように用意されていることになる。
中国の臓器移植患者は、臓器の待ち時間が他の国よりはるかに短い。中国国際移植支援センターのウェブサイトには、「適合する腎臓を見つける時間はわずか1週間で、長くても1ヶ月...」(注23)とある。 さらに、「提供された臓器に何か問題が起きた場合、患者は病院側から新たな臓器を提供され、1週間以内に再手術を行うこともできる」(注24)と明言している。東方臓器移植センターは2006年4月、ウェブサイトで、「適合する肝臓を見つける時間は、平均して2週間である」(注25)と宣言している。また、上海長征医院のウェブサイトでは、「肝臓移植手術患者の待ち時間は、皆、平均1週間」としている(注26)。
対照的に、カナダにおける腎臓移植の待ち時間は、2003年は平均32.5ヶ月であり、ブリティッシュ・コロンビア州ではさらに長く、平均52.5ヶ月である(注27)。摘出後の腎臓の機能時間が24-48時間、肝臓が約12時間(注28)とされているのならば、中国移植センターが患者に、新鮮な腎臓、肝臓の移植する際の短い待ち時間を保証する唯一の方法は、大量の生きている「提供者」の確保である。驚くほど短時間で完璧に適合する臓器が供給できるという宣伝の背景には、コンピューターによる臓器移植用の適合チェック・システムおよび厖大な生きた人体臓器供給源があることを意味している。
中国の病院宣伝広告自体は、臓器供給者が法輪功学習者であることを確定することにはならない。しかし、他の提供者が誰か、全くわかっていない。たとえ法輪功学習者が供給源だということが陳述の一つにすぎないとしても、その他の陳述がない。我々には、中国で現在の臓器移植の需要と供給を満たすような多数の生体の供給源と確認することができるのは法輪功学習者以外に考えられない。
F13. ネット上の負罪証拠
2006年3月9日(当時、大規模な臓器狩りの告発が、カナダ及び国際のメディアにおいて再び浮上した)以前の中国におけるさまざまな臓器移植センターのウェブサイトから入手できた資料のなかに犯罪証拠となるものがある。もちろん、大部分がその後削除されている。故に、これらのコメントは、当時のウェブサイトの情報が保存されているアーカイブサイトに対してのみ述べる。これらのサイトはコメント、或は脚注を参照していただきたい。2006年6月の最後の週に、われわれはウェブ・ブラウザーによって、自らを告発するような資料がまだ驚くほど入手できる。ここでは以下4例のみにとどめる。
(1)中国国際移植ネットワーク支援センター・ウェブサイト
(http://en.zoukiishoku.com/)(瀋陽市)
この英語版(中国語版は明らかに3月9日以降消えた)のウェブサイトには、2006年5月17日現在、当センターは、2003年に中国医科大学付属第一病院で創設され、「…特に外国の友人のため…ほとんどの患者は世界各国から来ている」と記述されている。サイトの書き出し文(注29)では次のように宣告している「内臓(ある辞書の定義:[脳、肺臓、心臓などを含めて柔らかい内臓器官])提供者は、すぐに見つかる!」同サイトの他のページ(注30)には次のように述べられている「腎臓移植手術は全国で毎年少なくとも5,000例。中国政府の支持によってこのような多くの移植手術ができる。最高裁判所、そして最高裁判所の人民裁判官、警察、司法機関、衛生省と民政局は、臓器提供が政府の支持を得るように、共同で法律を制定した。これは世界でも珍しいことである。」
このサイトのQ&Aの部分に、次のような部分もある。
「腎臓を生体から移植する前に、われわれは、ドナーの腎臓の機能を保証します。。。。従って、他の国で提供されているような、死体からの臓器よりも安全です。」(注31)
「Q:すい臓は脳死者から移植されたのでしょうか」
「A:脳死者からの臓器状態はよくないかもしれないので、われわれが提供する臓器は、脳死者からのものではありません。」(注32)
(2)東方臓器移植センター・ウェブサイト
(http://www.ootc.net)(天津市)
われわれが知ったページは、4月中旬に変更された(アーカイブサイトでまだ読める(注25))。そこには、「2005年1月から現在まで、われわれはすでに647例の肝臓移植手術をした。この中の12例は今週行なわれた。平均の待ち時間は、二週間」と宣言されている。同じ頃に削除された図表(アーカイブサイトでまだ見られる(注33))によれば、1998年(1998年では9例のみの肝臓移植手術が行われた)にスタートしてから2005年まで、このセンターは、すでに2,248例の手術を行った(注34)。
対照的に、カナダ臓器移植登録によれば、2004年のカナダの各種の臓器移植手術を全てあわせても1,773例である。
(3)交通大学医院肝臓移植センター・ウェブサイト
(http://www.firsthospital.cn/hospital/index.asp)(上海)
2006年4月26日の『搜狐』ウェブサイトには(注35)、「(ここでの)肝臓移植手術は、2001年は7件、2002年は53件、2003年は105件、2004年は144件、2005年は147件、2006年1月は17件」と公表されている。
(4)第二軍医大学付属長征医院臓器移植センター
(http://www.transorgan.com/)(上海)
2006年3月9日以降に削除されたページ(インターネットのアーカイブサイトで入手できる 注36)には以下の図表があり、同センターでの毎年の肝臓移植手術例の数が分かる。
「肝臓移植申し込み表」の始めに「。。。当面、わが病院での肝臓移植のたも手術費用と入院費用は、合わせておよそ20万元(66,667カナダドルに相当)、患者がドナーの肝臓を待つ平均時間は一週間」と記述されている。
F14. 被害者からの事情聴取
われわれは、中国で法輪功弾圧の被害者となり、現在カナダ在住の法輪功学習者に数回にわたる事情聴取を行った。当局の行為を明らかにするこうした事情聴取は、個別にはこれを決定的に結論づけるものではないが、われわれが考慮した他のこと全てとの関係からみると、本件告発を補強し且つ本件告発と一致している。
(1)王玉芝氏、バンクーバー
われわれのうちの一人が、 5 月27日、トロント大学で王氏と面会し、恐怖に満ちた彼女の個人的な体験を聴取した。法輪功学習者であるため、1999年の半ばに突然「人民の敵」となった王氏は、ほぼ2000年から2001年年末まで、強制労働収容所において、15平方メートルに20〜50人が押し込まれる雑居房で過ごした。2001年末、信仰の放棄を拒否したために、長い間にわたって様々な拷問を受け、死の瀬戸際に立っていた彼女は、「治療」のため病院に送られた。この「治療」とは、彼女が必死に始めた絶食後の三ヶ月にわたる強制的な食物灌入、そして「6-10弁公室」の暴漢による更なる殴打であった。
王氏は、ハルビンの数箇所の病院で、徹底的な健康診断を受けた。担当医師らは彼女の臓器が損傷を受けていると指摘した。その後、王氏には、ある医師が彼女は回復できないと言うのが聞こえた。すると、「6-10弁公室」の職員は、「急に私への興味を無くしたので、私は(最後に)病院から逃げ出すことができた」。王氏は、やがて体調が回復し、中東のある国へ移り住むつてを見つけた。彼女は、そこでも中国からの観光客に対して江沢民政権を批判を行なっていたので、「6-10弁公室」のスパイが彼女を拉致しようとした。王氏は、現地のカナダ移民担当官の関与のおかげで、彼女が難民としてカナダに来ることができた。彼女は、自分が生き延びることができたのは、ハルビンで彼女を拘禁した者たちが、彼らの「治療」によって損傷された彼女の臓器を売っても儲からないと判断したためだと確信している。
(2)王暁華(音訳)氏、モントリオール
王氏は、5月27日の面会時、2001年から2002年の間、中共政府官吏から受けた迫害の詳細を陳述した。最初に、警察は昆明市設計院にエンジニアとして勤めていた王氏を勤め先で逮捕し、王氏の自宅をくまなく探し、彼のパソコンを盗み、それから彼を刑務所に連行した。彼の妻と二歳の子供は、去っていくパトカーに向かって叫ぶしかなかった。王氏は、刑務所では、看守の命令を受けた長期服役者に意識不明になるまで殴られた。看守の口癖は、「法輪功に対して唯一の待遇は、殴ることだ」だった。
その後、王氏は、地元の「洗脳センター」に移された。釈放された後、彼は家族を置いて一人で遠い田舎に逃げ出し、現地で仕事についた。しかし、「6-10弁公室」の最も重要な指名手配者として再び逮捕され、雲南省の「第二労働教養所」に拘禁された。この強制労働収容所は、酸化クロムを使って輸出用の人工宝石と水晶製品を製造している。王氏は、法輪功の放棄を拒否したため、そこでほぼ二年間拘禁されていた。彼の頭は、常時化学薬品に晒され、また、一日16時間労働という日々のため、白髪になった。
2002年1月、現地の病院は、すべての拘禁されている法輪功学習者に対して、心電図、全身レントゲン、肝臓、血液と腎臓の検査を含めて、全面的な健康診断を行った。健康診断の前に、王氏は警官から「共産党はあなたたちのことをとても気にかけている。どんなことをしてでも法輪功学習者を更生させたいのだ」と言われた。王氏はこの健康診断の真意がわからまいままでこれに応じた。彼は、2005年初め、奇跡的に中国を脱出してカナダに着いた。王氏は彼と彼の家族を[中国から]迅速に脱出させてくれたたカナダの移民担当官を称讃している。
(3) 甘娜氏、トロント
甘氏は、北京国際空港で11年間にわたって税関の担当官を勤めていた。彼女とほかの5人の法輪功学習者は、1999年7月中旬、憲法からすべての市民に明確に与えられた法的権利を実行し、北京市中心市街地の中共の本部付近のある指定された場所で請願をしようとした。警察は、その場に集まっていた人々を全員殴り、さらに彼女たちをそばで待機していた(複数の)バスに引き摺り込んだ。甘氏は、それ以後、法輪功修煉の放棄を拒否したために5回にわたって拘禁された。ある病院の精神科医は甘氏の精神状態が正常だと診断したが、警察はわめきちらす精神病患者が収容されている施錠された部屋に、8日間彼女を閉じこめた。甘氏は、その後、天安門広場で「真・善・忍」と書かれた横断幕を広げたとき、警官に蹴られた。彼女は再び拘禁され、当局に指示された囚人たちに殴られたり、コート無しで雪の中を何時間も立たせられた。
2000年3月、甘氏は横断幕を広げたことで、一年の自宅拘禁をされ、中共からは除籍、また給料の給付も停止された。2000年年末、彼女は、再び、拘禁施設に戻され、多くの法輪功学習者が詰め込まれている雑居房に閉じこめられた。法輪功を誹謗中傷する文章を大声で読み上げることを拒否したとき、ある警官が繰り返し彼女の頭を蹴った。彼女は、そこから「北京女子労働教養所」に移された。そこでは極めて残酷な扱いを受け、結局、彼女は、法輪功を放棄する誓約書に署名した。2004年5月、迫害を避けるため、中国を離れてカナダに移住した。しかし、夫と娘は同伴しなかった。
甘氏の臓器摘出に関する意見は、おそらく結論にはつらがらない。北京で同氏と一緒に拘禁されていた多数の法輪功学習者には、各々、ただ4桁の数字がつけられていた。ある監房には、30人にも及ぶ女性が拘禁されていた。甘氏は、ある夜、物音に目がさめた。翌朝、番号をつけられた一部の拘禁者はすでに雑居房から連れ去られ、彼女らは二度と帰らなかった。もっと詳しい情報が無いため、ここで考えられる最悪の状況を公正に予想できない。甘氏は、2001年半ばの五ヶ月間、主に女性の法輪功学習者のから編成された130人の強制労働者の一人であった。そこでは、法輪功学習者だけが軍人たちに連れられ、近くのある警察病院において血液、検尿、レントゲン、目の検査が行われた。当時、このような医療手配は、そこで彼女が体験した他の全ての待遇と全くことなるものであった。その後、同氏は初めて、中国各地で臓器狩りが行われていることを知った。
F15.人権侵害一般
中国における人権侵害の被害者は法輪功が唯一というわけではない。死刑囚も処刑された後に臓器を摘出されていることは間違いない。
法輪功以外の人権侵害の対象は、主にチベット人、キリスト教信者、ウイグル民族の人々、民主化運動家と人権擁護者である。中国においては、独立の司法機関、身柄拘束下における弁護人との接見、人身保護令状、公開の裁判を受ける権利等、人権侵害を防止するための法の支配が明らかに機能していない。中国の憲法によると、中国は中国共産党によって支配されると定められている。法によって支配されているのではない。
この人権侵害の全体的な様相は、他の多くの要素と同様にそれだけでは本件告発を立証できない。しかし、それは反証の要素を取り除く。人権に関連する中国の全体的な状態と本件告発の内容が一致しないと言うことは不可能である。本件告発の内容自体は驚くべきものだが、他の多くの国と異なり、中国のような人権記録を持つ国にとっては、それほど驚くべきことではない。
F16. 金銭授受に関する考察
臓器移植は、中国で非常に利潤の高いビジネスである。我々は臓器移植手術を受けた人が支払った金銭の追跡によって、臓器移植手術を行なった病院を特定できる。しかし、われわれができるのはここまでである。我々には病院が受領した金が誰の手に渡るのかは分からない。臓器狩りの犯罪にかかわった医師と看護婦は、そのために非常な高額を得たのだろうか? 支払われた金銭がどこへ行ったのかを知るすべが全くなかったので、この問いに答えることは不可能だった。
中国国際臓器移植支援センターのウェブサイト:
(http://en.zoukiishoku.com/)(瀋陽市)
2006年4月に削除される以前(注38)は、以下の価格表が、移植による利益の大きさを示していた。
腎臓 62,000米ドル
肝臓 98,000-130,000米ドル
肝臓と腎臓 160,000-180,000米ドル
腎臓とすい臓 150,000米ドル
肺 150,000-170,000ドル
心臓 130,000-160,000ドル
角膜 30,000ドル
金銭の授受を伴う犯罪の告発を調査する際には、この金銭の流れを追跡するのが鉄則である。しかし、中国に関しては、その閉鎖的な政策が金銭の行方を追跡することを不可能にしている。この金銭の行方がわからないと何も立証できない。しかしそのことはもちろん、「臓器狩り」の告発に対する何らの反証にはならない。
F17. 腐敗
汚職は、中国で普遍的に存在している大きな問題である。国の機関はしばしば国民の利益のためではなく、自分たちのために活動している。
全国にある軍部の病院は、衛生省から独立して運営されている。これらの病院で行なわれた移植手術の数は秘密であるが、われわれはその数は膨大であると考えている。特に、江沢民が国家軍事委員会主席を担当していた2004年まで、法輪功学習者からの生体臓器売買の実情と中国の軍隊による他の数多くの商業活動とが一致するだろう。
中共の政府機関に広まっている腐敗は、次のような問題を提起している。もし、移植手術のために法輪功学習者を対象とした「臓器狩り」が本当に行なわれているとすると、それは当局の政策による結果なのか、それとも各病院が各地に拘禁された法輪功学習者の弱い立場を利用した金儲けの結果なのか、という問題である。法輪功への弾圧政策とは、拘禁施設における法輪功学習者には何の権利もなく、腐敗当局の意のままに扱われていることを意味している。法輪功への憎悪を煽動し、法輪功学習者を非人間化することは、法輪功学習者が当局の憎悪宣伝にのせられた人々によって躊躇なく屠殺され得ることを意味している。
法輪功学習者に対する「臓器狩り」が存在しているとして、それが当局の政策によるのか、それとも当局以外の腐敗によるのかという問題は、われわれには完全に確認できない問題である。国を管理すべき中国の政府関係者自体も、腐敗が存在するかどうかは確認できないので、腐敗をやめさせるのはさらに難しい。部外者としてのわれわれには、「臓器狩り」が実際に存在しているとして、この現象は政策によるのか、それとも腐敗によるのかを判断するより、告発されている法輪功学習者に対する「臓器狩り」が存在するかどうかを結論づける方が容易である。
F18. 立法
中国は今年3月、人体臓器の売買を禁止し、臓器移植にはドナーの書面の同意を義務づける法律を制定した。同法律は7月1日から施行される。この法律は「暫定條例」と名づけられた。この法律は、移植手術の実施を一部の機関に制限している。これらの機関は臓器が合法的ルートのものであることを立証しなければならない。また、移植手術は全て、あらかじめ病院の移植倫理委員会の同意を得なければならない。
われわれは、この立法を歓迎する。しかし、この法律の制定はまぎれもなく、現時点ではこうした法律がないこと、従って臓器移植は現在無法状態にあることを浮き彫りにしている。この無法状態も臓器狩りの告発を立証できるものではないが、反証可能な要素の一部を排除する。中国における臓器移植が何の法律によっても制限されていないということは、この報告が焦点を当てている告発の内容を肯定しやすくする。
中国の法律は7月1日まで臓器の売買を認めていた。中国の法律では、臓器移植はドナーの同意書を得なければならないことを義務づけておらず、臓器摘出、或は臓器移植を行っている組織に対して、何の制約もしてこなかった。7月1日までの間は臓器移植を行なう組織は合法的なルートから臓器を得ることを義務付けられておらず、臓器移植には移植倫理委員会の事前了解も必要なかった。
同様に、法律が7月1日から施行されるからといって、現在存在するかもしれないと考えられている「臓器狩り」の問題がその日以来もう存在しなくなるということではない。中国では、法律の立法と実施の間に大きな隔たりがある。
分かりやすい例を挙げよう。1982年の中国憲法は、中国の国民は中国を高度な民主主義国家にすると規定した。民主主義への誓いを立てたこの憲法制定からすでに24年が経った。しかし、中国は民主主義にはまだ程遠い。
中国において、臓器移植法がすでに効力を有するということは、必ずしもこの法律が実施されているという意味ではない。中国での新しい法律の実施についての記録は全て前述の通りである。臓器移植法がなかった時の臓器移植のやりかたは、少なくとも、中国のどこかで、かなり長期間継続するであろう。
G. 証拠の信用性
我々は、電話調査でのやり取りの記録における口頭の承認が十分信用できるものであると結論づけている。調査の行われた場所や時間および調査を受けた人々の記録は、話された内容を正確に反映している。
さらに証言の内容も信ずるに足るものである。2008年オリンピック開催が近づいてくるにつれて「臓器狩り」に対する国際的な非難が高まる中、存命中の法輪功学習者からの臓器収奪は行っていないと中国政府は国際社会を信じさせようとしているが、各種施設でなされた承認は中国政府の主張とまったく相反するものである。
臓器収奪に加担したといわれる医師の妻の証言は十分な信用性がある。その理由の一つは、その詳細な内容である。しかしあまりにも詳細であるためその一つ一つを裏付ける事は困難である。我々は一つのソースから得られた情報によって判断する事は避けたい。それゆえこの証言のうち他の証拠とつき合わせることが可能で矛盾しないものだけを取り上げることにした。
この作業を行っている間に、我々はこの告発に疑いを持つ多くの人に出会った。こうした疑いは様々な理由によるが、一部の疑いの理由については、1943年当時の米国最高裁の判事フェリックス・フランクフルターが、ジャン・カルスキーによるホロコーストの証言に関連して、あるポーランドの外交官に語った言葉を思い起こさせるものがある。フランクフルターは次のように語った。「私はこの若い男が嘘をついているとは言っていない。私の言った事は、彼が私に語った事は到底信じられないと言う事だ。両者には違いがあるのだ」。
本件告発はあまりにも衝撃的でとても信じ難い。これが事実であるとすれば最も醜悪な悪魔の所業であり、これまでにも多くの人間性の喪失が体験されてきたが、これは、地球にとって初めての経験となろう。あまりの恐怖で、信じようとしても信じきれない。しかし、信じ難いということから、本件告発が真実ではないという結論にはならない。
H. さらなる調査
明らかに本報告はこのテーマについての最終報告ではない。機会があれば、この報告を完成させるために我々が行いたいと考えていることは多くある。しかし、さらなる調査の行く手は今のところ阻まれている。本報告の内容に関して追加情報やコメントが自発的に個人や各国政府から寄せられる事を期待している。
我々は中国の病院で臓器移植の記録を見てみたい。そこには臓器提供者の同意が記されているのだろうか。そこには臓器の出所か記録されているだろうか。
多くの形態の臓器移植手術において、臓器提供者は移植手術後も生存できる。しかし、肝臓全部とか心臓提供を行った場合は生存出来ない。腎臓の場合は致命的ではないのが通常である。どこかに生存提供者がいるのだろうか。移植のランダムサンプリングを行って提供者が特定できるかどうかを調べたい。
亡くなった臓器提供者の家族は、提供者が同意していたか否かを知っているはずである。あるいは家族が同意していたのかもしれない。ここで我々は亡くなられた提供者の直系親族のランダムサンプリングを行って家族もしくは本人が臓器提供に同意していたか否かを調べたい。
中国は近年、臓器移植施設の大幅な拡充を行っている。この拡充は臓器提供者の人数などについての予備調査(フィージビリティ・スタディ)を基にしているはずである。我々は予備調査の内容を調査したい。
理想を言えば、我々は確固たる結論を得るために調査を続行したい。しかし、さらなる調査に携わろうとするこの強い意欲には、結論についての仮説の設定が必要であろう。今、本件告発に何もないと判断できるなら、更なる調査の追加は無意味であると結論付けることになるかもしれないからである。
I. 結論
知りえた事情に基づき、我々は残念ながらこの告発は事実であると言う結論を下さざるを得ない。我々は法輪功学習者からの大規模な臓器収奪は今日、なお継続されていると確信する。
中国政府及び全国に及ぶその下部機関、特に病院のみならず強制収容所と「人民法廷」は、1999年以来、数を特定することはできないが大勢の法輪功学習者と言う「良心の囚人」を死に至らしめたと言うのが我々の結論である。彼らの心臓、腎臓、肝臓、角膜などを含む臓器は収奪されると同時に高値で売却され、時には自国では通常提供者が現れるのを長い間待たねばならない外国人へも売却された。
どれほど多くの「臓器狩り」の犠牲者が合法な裁判所において何らかの犯罪、重罪若しくはその他、で有罪とされたのかについては、これを推定することはできない。というのは、そうした情報は、中国籍を有する者及び外国籍を有する者のいずれについても記録されていないからである。我々の見るところでは、中国共産党の一党独裁が脅かされると考えた江主席によって7年前に非合法とされた、平和的な自発的団体に属していた多くの人々が、事実上、臓器収奪の目的で医師によって処刑された。
我々の結論は一つの証拠に基づくものではなくむしろ多くの断片をつなぎ合わせたものとなっている。証拠とされたもののそれぞれは多くの場合検証可能で検証に耐えうる。それらをつなぎ合わせる事により非難すべき全体像が見えてくる。こういった事実の組み合わせによって我々は結論を確信するに到ったのである。
J. 提案
臓器提供の意志のない法輪功学習者たちからの臓器収奪が行われているとすれば、我々はそれを確信しているが、これを停止すべきであることは言うまでもない。
組織的にもしくは広範囲に渡って、臓器提供の意志のないドナーから臓器を摘出することは人道に対する罪を構成する。我々は、資料や情報を自ら整理しているが、犯罪を捜査する立場にはない。中国の捜査機関がこの申し立てに対して、立件の可能性を見据えた調査を行うべきである。
我々より遥かに高い調査能力を兼ね備えた政府、非政府組織, 政府支援の人権団体などがこの告発を真剣に捉え、これが真実であるかどうか、自ら見極めるべきである。
人身売買の取引禁止に関する議定書(Protocol to Prevent, Suppress and Punish Trafficking in Persons)第3条は、特に臓器の摘出を禁じている。各国政府は、国連の適切な部門(我々は国連拷問禁止委員会と国連の拷問に関する特別報告官を勧める)に対し、中国がかつて国連条約第3条に違反していなかったかどうか、または現在も違反しているのかに関する調査を要請すべきである。調査が行われるのであれば、救済に向けた早急な対応を取るべきである。
臓器移植に関する法律が中国で真に実効性のあるものとなるまで、外国政府は臓器や身体組織の移植に関する研修目的で渡航を希望する中国の医師にビザを発行すべきではない。死刑囚の臓器売買に関与したと思われる中国人医師たちの、世界各国への入国を永遠に禁止すべきである。
各国政府は、臓器売買に関する法律を強化すべきである。患者の得た臓器が、海外の収容所を含む、海外で売買された人からのものであると認められた場合は、医師らはそのことを政府に報告することを義務付ける法律であるべきである。
臓器移植に関する法律が中国で厳密に施行されるまで、全ての政府は、自国民に対して中国での臓器移植を禁じ、或いは少なくとも中止を勧告すべきである。各国政府は、必要であれば、中国での臓器移植を希望する渡航者の旅券の発行を認めないか、または取り消すべきである。
臓器移植に関する中国の新しい法律が有効に施行されていると国際社会が認めるまで、海外の基金会、医療団体、個人の医療専門家たちは、中国政府が支援する臓器移植研究や会議などに参加すべきではない。臓器移植に関する法律が有効であると中国政府が立証できるまでの間、中国の臓器移植プログラムに商品を提供している外国企業は、取引を中止すべきである。
カナダと中国の間で行われている現在の人権問題に関する対談を止めるべきである。カナダの政治学者で外交官のチャールズ・バートン氏は最近、この対談は見せかけだと述べた。振り返ってみれば、カナダ政府は国連人権会議で中国を非難する決議に参加しないという対談に賛成したが、それは間違いだった。
法輪功学習者達に対する抑圧、投獄、虐待などは、直ちに停止しなければならない。
強制労働所を含むすべての収容所は、赤十字国際委員会、若しくは人権、人道主義団体などを通して、国際社会の調査を受けられるよう開放されるべきである。
中国の病院は、全ての臓器移植の出所を記録すべきである。これらの記録は、全て国際人権組織の調査官が入手できるようにしなければならない。
全ての臓器移植ドナーからは、書面による同意を得なければならない。これらの同意書は、国際人権団体の調査官が入手できるようにしなければならない。
カナダを含む、中国やその他の、拷問等の禁止条約に批准している国は、拷問防止条約選択議定書にも従わなければならない。
全ての臓器移植は、ドナーも患者も、臓器移植が行われる前に政府の監督機関による正式な承認を得なければならない。
死刑囚からの臓器収奪は、直ちに中止しなければならない。
臓器移植の商業化は中止すべきである。臓器移植は販売してはならない。
K. コメント
我々の一番目の提案を受け入れるということは、即ちこれらの告発が事実であることを認めたことを意味する。それ以外の提案は、これらを受け入れたからといって本件告発の真実性を認めたことになるわけではない。したがって、立場の違いがどうであれ、二番目以降の提案についてはこれを受け入れるべきである。
その次の三つの提案(提案2〜4)を受け入れるということは、本件告発にある程度の信憑性を認めることを意味する。これら三つの提案は、本件告発が真実であると認めることを必ずしも必要とはしないが、本件告発が真実であるという合理的可能性を認める場合にのみ意味を持つ。
その他の提案(提案5以降)は、告発が真実であるかどうかに関係なく、すべて意味があり、実行されうる。そのうちの最初の五項(提案5〜9)は国際社会に提案するものである。これらの提案は、中共政府が臓器移植の国際規約を尊重するよう、国際社会が促すことを求めるものである。
我々は、中共政府が本件告発を必ず否認するであろうことをよく承知している。中国政府にとって、最も説得力があり、かつ最も有効にこれらの告発を否認する方法は、前述の提案の最初の八項以外の残りの提案を実施することだと思う。これらの提案が実施されたならば、本件告発はもはや行われえないであろう。
本件告発に懐疑の態度を持つ人は、次の問題を自分自身に聞いてみていただきたい。つまり、これらの告発の中に陳述したことは、どうすれば、現実に起こらないよう防げるかという問題である。報告書の中で告発したこれらの犯罪行為への予防策についての共通認識が中国ではほとんど失われてしまっている。最近になって新しい法律が成立するまで、最も基本的な臓器移植犯罪の予防措置さえ存在していなかったのである。この新法を全面的に実行できないかぎり、新法そのものは予防の補助作用を発揮することができない。
中国だけではなく、いかなる国家においても、社会の底辺にいる社会的立場が弱い人々から、本人の志願もなくその臓器を収奪する行為の予防措置を講ずるべきである。本件告発に対してあなたがどう思っているかに関わらず、我々は再び強調するが、本件告発は事実であると我々は確信している。なぜなら、中国において、このような事件の発生を制止するための予防措置はまったく存在していないからである。
死刑が良くないということには、多くの理由がある。これは死刑執行人のdensitization だけではなく、国家が無防備な囚人を殺した後、次の段階として、囚人の意思に関係なく、容易に「臓器狩り」ができるということである。中国では間違いなく、これが起きている。死刑囚本人の同意がなく臓器を狩るという状況が成立すると、さらに次のようなことが起きやすくなる。つまり、迫害されて自由を失い、すべての自衛の権利を失った囚人から本人の同意がなくその臓器を獲得することである。特にこのことによって暴利を得ることができる場合はなおさら起きやすくなる。我々は中共政府に強く要求する、本報告書で言及した告発を中共当局がどう受け止めるか関知しないが、臓器提供の意思のない法輪功学習者から強制的に「臓器を狩る」可能性が微塵でもあるのなら、全力で予防措置を採ってもらいたい。
以上
デービッド・マタス
デービッド・キルガー
カナダ・オタワにて
2006年6月28日