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『投降拒否なら殺害』 パキスタン大統領 事件に初声明【東京新聞】
2007年7月8日 朝刊
【バンコク=平田浩二】パキスタンからの報道によると、首都イスラマバード中心部のモスク(イスラム礼拝所)「ラル・マスジード」などに武装した神学生が籠城(ろうじょう)している事件で、ムシャラフ大統領は七日、報道陣に対し「(投降を)拒否するならば殺害もやむを得ない」と述べ、強硬手段もいとわない考えを示した。
大統領が同事件について発言するのは、三日の事件発生後初めて。大統領は、「われわれはモスク内の女性や子供の安全のため自制している。政府と戦うことができる者はいない。ただちに降伏すべきだ」と強調した。
一方、治安当局は七日未明、籠城学生の多くが学んでいた同市内の男子用マドラサ(イスラム神学校)を急襲して制圧、数十人を逮捕した。このマドラサは学生が籠城中のモスクに付属する別の学校で、モスクから北西に三キロほど離れている。
治安当局は、モスクの学生との間でも散発的に激しい銃撃戦を続けた。モスク内には依然、八百人以上が籠城。銃撃や手投げ弾などで応戦した。AFP通信によると、銃撃戦で学生一人が死亡したとみられる。
政府は六日までの死者を十九人としているが、学生らと立てこもっているモスク指導者、ガジ師は七日、地元テレビ局に「女性三十人を含む七十人以上の学生らが殺された」と主張、政府の対応を強く非難した。
一方、ムシャラフ大統領が乗った航空機が六日、対空砲で狙われた事件で、捜査当局は籠城事件との関連捜査を開始。当局者は「大統領の移動に関する情報を漏らした人物が政府内にいる可能性がある」と述べた。
窮地のムシャラフ政権
【バンコク=大場司】パキスタンの首都イスラマバードで起きたイスラム神学校生の立てこもり事件は、「タリバン化」と呼ばれるイスラム過激派の浸透の根深さを示す一方で、ムシャラフ大統領率いる軍が、過激派勢力を長年政治利用してきたつけが回った格好だ。
学生が立てこもるモスクは一九六〇年代に設立。八〇年代に急進的なイスラム政策を推進した当時の軍人独裁者、ジアウル・ハク大統領の庇護(ひご)を受けた。モスクは軍の中枢ともいえる三軍統合情報部(ISI)と近く、傘下の神学校はアフガニスタンに侵攻したソ連と戦うイスラム兵士の供給源になり、軍の対外工作活動を支えた。
二〇〇一年の米中枢同時テロ以降、ムシャラフ大統領は、米英によるイスラム過激派封じの有力な「パートナー」に変身した。だが、軍情報部と過激派勢力とのつながりは維持された。その証拠に「テロリストの温床」との批判がある神学校対策を米英などから再三要求されながら、事実上放置。軍内部や政権の権力基盤を固める上で過激派勢力を取り込まざるを得ない事情が影響している。
三月以降、最高裁長官の解任問題を機に反政府デモが頻発。年内に予定される大統領選で再選を狙う大統領は窮地に立つ。「今や大統領の周りは敵だらけ」(地元記者)という情勢だ。
今後、学生が立てこもるモスクに治安部隊を強行突入させた場合、多大な犠牲は必至。保守派が反発し収拾がつかなくなる恐れがある。逆に学生の無罪放免を条件に投降させた場合、国際信用を失う可能性がある。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007070802030549.html