★阿修羅♪ > 戦争91 > 982.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://teanotwar.seesaa.net/article/41079896.html から転載。
2007年05月07日
道化師たちの最後の論拠
日本でも「米軍が撤退したら暴力が激化する、確実に内戦になる」といったメディアが跋扈しています。元米国国務省勤務のウィリアム・ブルムによる簡単な整理。
--------------------------------------------------------
道化師たちの最後の論拠
アメリカはイラクをどのように変えたか
ウィリアム・ブルム
2007年5月5・6日
CounterPunch原文
「合衆国が今イラクを離れたら、状況は本当に悪化するだろう」。
この恐ろしく不快なイラク戦争をいまだに支持している絶滅寸前種にとって、どうやらこれがかろうじて残された議論らしい。この議論は、イラクの人々の安寧と安全を深く思っていることを前提としている。ほかにどんな意味があるだろう? 米軍が撤退できないのは、ワシントンで執筆された新たな石油法をイラク議会が承認し次第、石油という賞金を手に入れようと待ちかまえている米国の石油企業を守るために米軍が必要だからだろうか? まさか。そうではなく、ブッシュ政権はイラクの人々を愛しているからである。それをわかってもらうために、さらにどれだけ破壊と殺人と拷問を繰り返す必要があろう? イラクの暴力ゆえに我々は撤退できない。イラクの親愛なる仲間に平和が戻ることを確実にしない限り、イラクを離れることはできない。
この議論をもっとよく理解するためには、イラクでの生活を彩る日々の惨劇について次の点を認識しておくことが役立つ:これほどの惨劇は米軍の占領より前には存在しなかった。
ゲリラの暴力は占領への反発として始まり、占領への反発として続いている。アメリカ革命からベトコンに至るまでほとんどすべてのゲリラ活動と同様、イラクのゲリラ活動も、外国の占領軍を追い出すための戦いである。
次の段階に、占領体制と関係する場所で働いたり仕事を探そうとするイラク人に対する暴力が起きる。
それから、それに対する報復攻撃が起きる。
報復攻撃に対する報復攻撃が加えられる。
アメリカという悪魔の占領者に対する戦いは聖戦であると考えたジハード戦士たちが多くの国からイラクに押し掛ける。
占領前、スンニ派とシーア派間の結婚はたくさんあったが、占領後、相互の憎悪と殺害の悪循環に捉えられることになった。
もちろん、そうした行為に対して報復がなされる。
占領により軍とサダム・フセイン政府時代の仕事がほとんど廃止され、占領下でイラク社会が混沌状態になったため、多くの人が生活に苦しむことになった。身代金目当ての誘拐を初めとする犯罪的暴力が資金稼ぎあるいは生き延びるために人気の方法となった。
米国が訓練し、資金と武器を与えたイラク軍は、政府関係者や政府に関係のない人々、あるいは身元を隠した人々が「テロリスト」と指さした人々を大量に殺している。あるいはたまたま大量に殺しているだけかも知れない。
米軍自体、大規模な暴力の実行犯であり、殺人や大量殺人を犯し、日々、何らかの理由で、誰彼かまわず、場所を問わず、好きなだけ多くの人々を殺している。しばしば、ゲリラによる攻撃の側にいた人を報復として無差別に殺しているのである。
米軍と同盟国軍はまた、暴力的な攻撃の主な標的でもある。米国国防総省が2006年11月に発表した報告によると「攻撃の大部分(68%)は同盟国軍を標的としている」。
体制の貴公子でイラク・スタディ・グループの共同代表たるジェームズ・ベーカーはCNNでアンダーソン・クーパーに次のように語る。
クーパー:米軍が撤退すれば暴力が沈静化することはあり得るのでしょうか? 民族主義的ゲリラのモチベーションを取り去ることで?
ベーカー:多くの人が我々にそのように言います。イラクの多くの人々がそう主張します。
クーパー:賛成しますか?
ベーカー:はい。確かにこの議論には妥当性があります。そうすれば我々はもはや占領者とは見られませんし。
これらすべていもかかわらず、我々は、米軍が駐留していることが暴力の歯止めになってきたし歯止めになるだろうと聞かされ続けるのである。イラクの人々はそれをまったく信じていない。昨年9月に公開された世論調査によると、イラクの人々は78対21で、米軍の駐留は「対立を防止しているどころか激化させている」と述べる。
アメリカが撤退したら共産主義者による虐殺が行われる。ベトナムで米軍が撤退する前、千回もこうした言葉が繰り返されたことを思い起こそう。米軍は撤退し、虐殺は起こらなかった。
米国が撤退すれば、つまり兵士と基地をすべて撤退すれば、憎しみと暴力の基礎、根源、 激励が取り除かれる。イラクの人々は自分たちの土地と生活をふたたび自分たちの手に取り戻す機会を得るだろう。イラクの人々にはその機会を手にする権利がある。アメリカのイラクに対する人殺しの「愛」を終わらせ、治癒のプロセスが始まるようにしよう。
ウィリアム・ブルムは「Killing Hope : U.S. Military and CIA Interventions Since World War II」「Rogue State : a guide to the World's Only Super Power」(『アメリカの国家犯罪全書』)「West-Bloc Dissident : a Cold War Political Memoir」の著者。
--------------------------------------------------------
投稿者:益岡