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(回答先: 迎撃ミサイル:PAC3入間基地配備1カ月 「上空の話」実感なき住民 /埼玉(毎日新聞) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 4 月 26 日 17:09:36)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/saitama/news/20070426ddlk11040391000c.html
迎撃ミサイル:PAC3入間基地配備1カ月 埼玉版で伝えたいこと /埼玉
◇ご近所のミサイル
新聞では伝えきれないことがあります。例えば2001年の9・11テロ。当時、私はワシントン勤務でした。出来事のあまりの大きさに何が起きているのか全体像をつかめぬまま国防総省(ペンタゴン)に取材に駆けつけました。アメリカン航空機が突っ込んだ3時間後。そこで世界最強の米軍の本丸から黒煙があがっている光景を目撃し、「目の前で起きている現実は日常的にニュースを伝える新聞の『枠』をはるかに超えている」と衝撃を受けました。
「ペンタゴン炎上 さながら野戦病院」との見出しのルポを書きましたが、十分に伝えきれているのかどうか自信が持てませんでした。
県議選・さいたま市議選の告示日だった3月30日も違う意味で新聞の「枠」を意識した日でした。早朝、PAC3が自衛隊では初めて航空自衛隊入間基地に配備されたからです。毎日新聞の夕刊1面にはPAC3を含むミサイル防衛(MD)システムが「2012年度配備 総経費1兆円」との解説とともに配備の記事が掲載されました。
「こんな大事なことは地元埼玉の読者にはきちんと伝えなくてはいけないのではないか」と頭をよぎりましたが、あいにく県版の「枠」は統一地方選の立候補者や告示日の様子を伝える選挙一色の紙面となりました。PAC3配備は小さなベタ記事でした。限られた紙面という制約から仕方ないかもしれません。国の安全保障政策の根幹にかかわる問題なので県版の「枠」でなくてもいいのかもしれません。
しかし、埼玉県の読者にこそ最も身近な地域面でPAC3配備について伝えなければならないと思いました。それは生活感覚から程遠いPAC3という国益を、最終的には地域社会が負担するという視(み)えにくい現実を知ってもらいたいからです。国益とは日米同盟によって米軍に日本の安全が守られていることですが、そのこととPAC3はどう関係するのでしょうか。
キーワードは在日米軍再編です。世界的な米軍の再編は装備の情報技術(IT)化が推進力となっています。私が問題視したのは、再編によって自衛隊は米軍のモジュール(部品)になってしまうのではないか、ということでした。過度の日米連携が政府解釈で集団的自衛権行使を禁じている憲法9条に抵触しないのかということでした。その象徴が米国主導のMDなのです。MDの一翼を担うPAC3が自衛隊で最初に配備されたのがご近所の入間基地だったわけですから見過ごすわけにはいきません。
軍備の世界は専門的な知識が必要です。正確に説明すればするほど、軍事オタクしか知りえない世界に入り込んでしまいます。ですから可能な限り分かりやすくPAC3配備のツボを示しました。
ご近所という日常に、まるでUFOのような異空間のミサイルが入り込んでくる現実。そうした現実が持つ意味をとにかく知ってもらおうとPAC3配備からほぼ1カ月という節目に県版の「枠」で思い切って紙面化しました。憲法改正が夏の参院選の争点になることも踏まえ、読者の皆さまに考えてもらう材料を提供したつもりです。
できればですが……。日本の米軍基地の7割が集中し、基地が日常空間の中にある沖縄のことに少しは思いをはせていただきたいというのがささやかな願いです。<さいたま支局長・清宮克良>
毎日新聞 2007年4月26日