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アフガニスタン:タリバンの誘拐事件、動機は「報道の自由」? [JANJAN]
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投稿者 white 日時 2007 年 3 月 26 日 22:48:35: QYBiAyr6jr5Ac
 

□アフガニスタン:タリバンの誘拐事件、動機は「報道の自由」? [JANJAN]

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アフガニスタン:タリバンの誘拐事件、動機は「報道の自由」? 2007/03/26
【ローマIPS=リカルド・グラッシ、3月10日】

 1996年から2001年までアフガニスタンを支配したイスラム運動タリバン(タリバン)は、現在反政府勢力として非合法化されているが、今週イタリア人ジャーナリストを誘拐し、新しい政治局面を浮き彫りにした。

 タリバンの主張する誘拐の動機、さらに幹部の1人が犯行を指揮していることから、記者ダニエレ・マストロジャコモ(Daniele Mastrogiacomo)氏の安否が不安視された。

 マストロジャコモ記者(52歳)から所属先ローマのラ・レプブリカ紙に最後に連絡が入ったのは4日。「かなり微妙な会談」を翌日に控えているということだった。

 6日になって、タリバンは「無許可で領地(南部ヘルマンド州ナド・アリ地区)に侵入した」マストロジャコモ記者を「逮捕」し、英国軍のスパイ容疑で「取調べ中」と声明を出した。

 タリバンの声明は支配地区の主権掌握を自認する政権として、侵略者である米軍、NATO軍と闘う姿勢を示している。
 
 6日には米軍、NATO軍、アフガン軍が合同でアキレス作戦を開始、4,500人の外国軍、1,000人のアフガン人部隊を展開した。

 誘拐を指揮したとされるムラー・ダドラ司令官は、長期間タリバンを指揮するカリスマ的ムラー・オマール氏に次ぐナンバー2の軍事司令官。

 ダドラ司令官自身の声である可能性が高い録音テープが、7日にパキスタンのAFP特派員に届けられた。この声明は、マストロジャコモ記者が英国軍の爆撃標的とするためにタリバンの潜伏先を探るスパイ行為を「自白した」と主張。

 ラ・レプブリカ紙のエツィオ・マウロ編集長によれば、マストロジャコモ記者はイラク、レバノン、中東、アフガニスタンの戦況を定期的にカバーする特派員で、同紙との契約は27年に及び、いかなる国の軍、諜報機関ともつながりはない。

 タリバンが主張する容疑は、はるかに巧妙な政治目的を正当化する策略の可能性がある。ダドラ司令官自身の声とされる録音メッセージの主張は、西洋人は自分たちの報道機関には自由を与えながら、タリバンには報道の自由を与えず、一方的な報道しか許していない。タリバンはこのような状況を拒否し、「報道は完全でなければ、禁じたのも同じ」とする。

 さらに、西洋人の記者が自由に活動できるのに、タリバンの記者が投獄されていることは受け入れられないとして、1月に逮捕されたタリバンのモハマド・ハニフ報道官、2005年10月4日に逮捕されたアブドゥル・ラティフ・ハキミ氏の釈放を求めた。

 両氏とも、定期的に電話でアフガニスタンならびに国際メディアと連絡を取っている。

 しかしダドラ司令官は、まず報道の自由を与えるのか禁止するのか論ずること。囚人の扱いを決めるのは、その後だと主張した。

 タリバン政権はソビエトの報道規制を踏襲しながら拡大し、新聞とテレビ局を閉鎖、ラジオ局を「シャーリア(イスラム法)の声」と改名し、放送を1日4時間に限った。

 1979年、ソ連は前年にアフガニスタンに成立した共産政権を支援するために侵攻し、1989年になってやっと撤退した。

 検証されたわけではないが、タリバンは「囚人」すなわちマストロジャコモ記者とハニフ、ハキム両氏の交換を考えていたと考えれば、囚人の扱いを後で決めるという声明も意味を成す。

 タリバンはイギリス人「スパイ」を捕まえたかったのだろうか?おそらくそうだろう。

 アキレス作戦に参加しているのはイギリス、カナダ、オランダ、アフガニスタンの軍隊である。イタリア軍は国連の平和維持部隊に参加しているだけで、戦闘には関わっていない。

 イタリア政府は伝統的に誘拐犯と交渉する。アメリカ、イギリスは交渉しない。アフガニスタンのカルザイ大統領がどうするかまだ分からないが、米政府のやり方に倣う傾向がある。

 イタリアは方針に従い、対話のチャンネルはすべて開いていると宣言している。しかし、タリバンがそれをつかったかどうか、まだ分からない。

 タリバンのアーマディ広報官は8日、アフガニスタンのパジュワク・アフガン・ニュースの電話取材に応じ、マストロジャコモ記者の取調べは終わりに近づいているが、記者の取り扱いは未定であり、タリバン指導者が判断を下すだろうと語った。2003年11月以来、アフガニスタンでは分かっているだけでも21人の外国人が誘拐されたが、タリバンのような組織が今回のような言葉遣いや概念による犯行声明を出したことはなかった。

 誘拐犯が仲間の釈放を要求するといった政治的動機を匂わせるものもあったが、結局のところ身代金が主要あるいは唯一の目的であることが明らかになったケース、あるいはタリバンがアフガン人や外国人を「侵略者」のスパイとして処刑するケースばかりだった。

 10日の報道によると、ダドラ司令官はAFPの電話取材に応じ、タリバン広報官の釈放とイタリア部隊のアフガニスタンからの撤退を要求した。7日以内にこれらの要求が満たされれば、マストロジャコモ記者は釈放される。さもなければ、処刑されると述べた。カブールのイタリア大使館は、マストロジャコモ記者の生存の証明を求めている。

 これから始まる交渉の中で、ダドラ司令官が苦心しながら主張する権限に見合う柔軟性を見せるかどうか不明である。

 ここにマストロジャコモ記者の命がかかっている。さらにイタリア政府が戦闘の前線にある同盟国とカルザイ大統領と交渉していく能力にかかっている。

 (記事を担当したリカルド・グラッシは、アフガニスタンで3年間活動を続けている。)(原文へ)

翻訳=角田美波(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

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