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Re: 「医療に司法を持ち込むことのリスク」 5
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投稿者 memento mori 日時 2007 年 10 月 26 日 12:11:56: 1mvWlnKGcvCrw
 

(回答先: Re: 「医療に司法を持ち込むことのリスク」 4 投稿者 memento mori 日時 2007 年 10 月 26 日 12:10:33)

責任追及の在り方についての司法と医療の齟齬(そご)は、双方の考え方が異なる以上、考え方の変更なしに、一気に解決することは不可能である。互いの認識の変更を確認しつつ、一段ずつステップを重ねていくべきである。システム間の齟齬は、多段階で時間をかけて解決していくしかない。業務上過失致死傷は医療だけの問題ではない。多くの分野を巻き込んだ議論が必要である。法律が存在する以上、当面、医療事故調と関係なく、適用すればよい。個々の事例で認識の違いが生じれば、その都度、社会に見えるところで議論すればよい。

 医療の問題は、ステークホールダー間の利害調整や、合理的判断を超えた権力の行使で無理に解決すべきではない。医療は、そのような危うい決定方法に委ねるには、重要すぎる。医療を良くすることは社会の共通利益である。互いに双方の立場を理解しつつ、多段階で時間をかけて解決していくべきである。

医師というプロフェッションとして自律的処分制度をつくるべき  
 医療サイドがすべきことは、医師の自律的処分制度を作ることだろう。厚労省の第二次試案では、医療事故調の報告書を活用して、医道審議会の処分を拡充しようとしている。医道審議会は厚労省に所属する8条委員会であり、厚労省の支配を受ける。厚労省が医師を処分することには多くの問題がある。

 第一に、厚労省の行政官は日本国憲法の下では、政治の支配を受ける。政治はメディアの影響を受ける。日本のメディアの感情論が処分に影響を与えるようになると医療の安定供給は困難になる。第二に、日本やドイツでは政治の命令で医師が国家犯罪に加担した歴史がある。第三に、行政官は現行法に反対できない。ハンセン病患者の隔離政策に対し、一部の医師は科学と良心に基づいて、身を挺して反対した。しかし、行政官は法令に基づいていたが故に反対できなかった。第四に処分機関を持つことで厚労省と医師の関係が変化して、行政に支障を来しかねない。

 世界的に、医師の行動の制御は、政府ではなく、医師の知識と良心に委ねるべきであるとされている。

 処分の端緒は、事故ではなく、医師の不適切な行動とする。当然、事故がきっかけで不適切な行動が判明したものも含まれる。申し立ては患者・家族、医療従事者、病院など広くする。事故調査と処分制度と完全に切り離す。未来の医療の質を高めるためのものなので、処分には教育的意味が大きくなる。被害がなくても、同僚の目から見て明らかに不適切な行動を取った医師は、処分の対象にする。こうした制度は国が行うのではなく、医師というプロフェッションの団体として自律的に行う必要がある。そして、その方が適切なものになると思う。

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