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□少年犯罪の「増加・凶悪化」は本当か [Benesse教育情報サイト]
http://news.livedoor.com/article/detail/3075964/
少年犯罪の「増加・凶悪化」は本当か
現在の子どもの問題を語るとき、しばしば少年による犯罪が増加・凶悪化しているということが指摘されます。新聞やテレビで少年による殺人事件や暴力事件が報道されるたびに、少年犯罪が増えているという実感をもつことでしょう。しかし、本当にそうなのでしょうか。警察庁はこのほど、2006(平成18)年の1年間に全国の警察が検挙・補導した少年の数などをまとめた「少年非行等の概要」を発表しました。それによると、少年による犯罪は3年連続して減少していることがわかりました。
昨年中に刑法犯として検挙された14歳から19歳の少年は、前年よりも1万898人(8.8%)少ない11万2,817人で、3年連続して減少しています。これを同年齢の少年1,000人当たりに換算すると、14.8人(前年比1.1ポイント減)となります。また、成人を含めた刑法犯全体に占める14歳から19歳の少年の割合は、29.4%で、1972(昭和47)年以来34年ぶりの低い割合となっています。
少年犯罪が凶悪化しているかどうかを見ても、刑法犯少年のうち殺人・強盗・婦女暴行を働いた「凶悪犯」は前年よりも18.8%減の1,170人で、これも3年連続で減少。暴行・傷害・恐喝などの「粗暴犯」も前年より6.1%減の9,817人となっており、これは統計が残っている1949(昭和24)年以降では最低の数字となっています。
このほか、ひったくりや自販機荒らしなどの「街頭犯罪」も減少しています。また、犯罪などを働いたものの14歳未満で刑法上罪を問われない子どもを「触法少年」と呼びますが、昨年中に警察に検挙・補導された触法少年は前年より8.4%減の1万8,787人で、やはり減少しています。
マスコミでは少年による凶悪犯罪が大きく取り上げられるため、少年犯罪が深刻な社会問題となっているような印象を受けがちになります。しかし、実際の統計では少年犯罪は年々減少しており、特に暴力を振るう粗暴犯は戦後最低となっているのです。このことからも少年の犯罪が増加し、凶悪化しているというのは、大人の側の思い込みであると言えるでしょう。
ただ、気になる点もあります。全国の警察が昨年中に取り扱った「いじめに起因する事件」は、前年より68件(41.2%)増の233件で、4年連続して増加しています。昨年は「いじめ自殺」事件などが相次ぎ、警察も積極的に暴力などを伴ういじめを事件として認知するようになっていますので、それで事件数が増えたという見方もできますが、やはりいじめに起因する事件が全体的に増加していることは間違いないでしょう。
一方、犯罪ではないものの飲酒や喫煙などで補導された「不良行為少年」は、4.4%増の142万7,928人と増加しており、その50.4%が「深夜徘徊(はいかい)」によるものでした。
凶悪犯や粗暴犯などの犯罪が減少する一方で、いじめに起因する事件や深夜徘徊などで補導される少年が増えているという統計結果からは、最近の問題行動が質的に変化しつつあることがうかがえます。数の増減に目を奪われるのではなく、そうした変化にこそ注意を向けるべきではないでしょうか。
2007年03月15日15時00分