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2008年01月11日
新テロ法成立騒動の茶番(前編)−米国外交のダイナミズムが目に入らぬか!
本日11日新テロ特措法が衆院本会議での三分の二以上の多数決で再議決され成立するという。思えば昨年7月末、小沢民主党代表の突然の「延長反対発言」から始まった国会史上まれに見る茶番劇は、半年以上の無益な政争を経て、あっけなく終わろうとしている。メディアはいっせいに様々な論評を行うであろう。それを見越して今日のブログで真っ先にこの茶番劇の核心について書いておく。
この茶番劇を通して見えてきたものは何か。それはズバリ二つある。
一つは、もはや日本の指導者たちは、米国のダイナミズムを理解しようとする努力を怠り、米国のダイナミズムを先取りして日本外交を柔軟に適応させようとする知見を持たず、ただひたすらに「日米同盟は不滅だ、対米協力は国際貢献だ」と繰り返すばかりの無能集団になってしまったということである。
二つ目は、安全保障政策に関する限り、この国の政治はもはや完全に日米軍事同盟強化で大連立が出来つつあるという事であり、その流れに正面から抗い、日米軍事同盟をこれ以上強化させていくことの危険性について一般国民を覚醒させることの出来る魅力あるカリスマ政治家が、誰一人存在しないという現実である。
悲しく、残念な現実である。
前編では、まず第一点について、11日の日経新聞にのっていた、「米国の新政権は単独主義の転換点になるだろう」という米国識者の意見を引用しながら、説明したい。
米カーネギー国際平和財団理事長ジェシカ・マシューズ氏はインタビューでこう答えている。
・・・今振り返ると、同時テロが世界秩序に与えた意味はイラク戦争に比べはるかに小さかった。同時テロは米国民の心理(に与える)影響が大きかった(が)、イラク戦争は中東全域を不安定にし、イランの発言力を強め、核拡散体防止体制に深刻な打撃を与えた。米国の外交目標に対する敵意ばかりを生んだ・・・
ブッシュ政権は(核拡散防止体制についての)根本的な思想を変えた。イラク戦争前は核兵器や関連物質など「モノ」に焦点を当て、取引や移送を防ぐ手段を考えていた。ところがイラク戦争の発想は「拡散しそうな政権はつぶせ」となった・・・
(その一方でブッシュ政権は対中政策、北朝鮮政策ではうまくいっている)中国脅威論を退け、北朝鮮の核問題で協力体制を築いた。中国もこれに満足している・・・米中は大国同士の関係としては健全と言える・・・
米国が主導し、他国が追随する(というブッシュ政権の)単独主義の見直しや、ブッシュ・ドクトリンである「予防的攻撃」の再評価など、(来年の政権交代は)米外交の抜本的な転換点となる。(これは民主党候補の公約に聞こえるかもしれないが、共和党政権でも米外交は大きく変わる。共和党内にも、次の政権で外交理念を変えたいという意見は出ている・・・
これが米国のダイナミズムである。そこには、壊しては作り直す米国の、そして、国益のためには状況次第で機敏に敵と結び、味方を切り捨てる米国外交の、現実がある。インド洋給油問題などはじめから米国指導者の視野にはない。
ところがどうだろう。翻って福田首相は新テロ法成立に向けて、(給油をやめると)国際社会が日本の事をどう思うか。無責任と批判されないためにも(成立は)当然だ、などと感情的に語気を荒げる始末だ。本気でそう思っているのならお笑いだ。不勉強もはなはだしい。いかに米国との本物のコンタクトをしていないかだ。そして、それが国民を欺く発言であれば、首相失格だ。
ジェシカ女史の指摘を待つまでもなく、米国はいまや一方において中東政策を見直し、他方において中国、北朝鮮外交を積極化しようとしている。日本外交は、その双方において逆を行っている。無理もない。日本の指導者の頭には対米追従しかなく、そしてその米国の意思さえ読めないのだから。気がついたら取り残される、その誤りを繰り返す宿命にあるのだ。
さてもう一つの問題。つまりこのテロ特措法延長問題が図らずも浮き彫りにしてくれたこの国の政治の混迷についても事態は深刻である。これについては後編で書く。
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