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福田首相が薬害C型肝炎の被害者を救済のために議員立法をするように与党に指示した。いかにも福田首相らしいやり方である。私は薬害C型肝炎訴訟についてあまり詳しい知識をもたないので、これまで論評を控えてきた。12月20日、舛添厚生労働大臣が示した「“政治決断”による和解案」は、原告団ににべもなく毅然と拒否された。世論は圧倒的に原告団に味方した。福田内閣のこの方針は早晩変更せざるを得なくなるだろうと私は思っていた。
原告団は福田首相の政治決断を求めていた。福田首相がこの問題について政治決断をするつもりならば、まず原告団に会わなければならなかった。原告団が首相官邸におしかけたとき、忙しいことを理由に会わなかった。そして、舛添厚生労働大臣が「政府の和解案」を発表したとき、会見場の別の出口から出て入り口の部屋で待機していた原告団と会おうとしなかった。その結果、「“政治決断”したという政府和解案」は、原告団に即座にきっぱりと拒否された。こうしたことに対する世論の評価は、厳しかった。政府案を支持する者はほとんどいなかった。
福田首相は「現在の司法、行政の枠内で答えが出ないか最後の最後まで苦労した。しかし、できないということになり、新しい局面を考えなければ、この問題は打開できないと考えた」という。何をいいたいのかさっぱり分からない。しかし、このことはいえる。わずか3日後に“政治決断”ができるのであれば、なぜ20日の段階で“政治決断”できなかったのだろうか。何のことはない。福田首相は、世論のあまりの反発に驚いたのである。ただそれだけのことだ。私は清和会の政治スタイルを長い間みてきた。今回の一連の言動をみていると、いかにも清和会らしい。
政治決断とは、難しい問題を一挙に全面的に解決することをいう。2度も3度も小出しにするものではない。是非を含めて、その責任を政治家が負う覚悟で行うものである。そういう意味では、今回の決断は“政治決断”と呼ぶことはできない。もちろん“政治決断”は、優れた政治家だけができるものである。福田首相に、政治決断を求めること自体が最初から無理なのである。私がこんな解説をしなくても国民は“事の本質”を見抜いている。福田首相や特に公明党が期待するように支持率が回復することにはならないだろう。政治は一瞬、一瞬が“勝負”なのである。同じことは、野党にもいえる。
それでは、また。
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