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(回答先: 年金財源に消費税を充てるのは公正か 森永卓郎氏(日経BP社) 投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 12 月 22 日 21:49:05)
ぜひとも簡易課税制度の廃止を!(税理士 もりり のひとりごと)
2007年12月10日
簡易課税制度というものが我が国の消費税には有ります。これは平成元年に消費税制度が日本に導入された際、少しでも納税者からの反発を和らげようとするために苦肉の策として設置した妥協策であると私は認識しています。
しかし日本も消費税を導入して早二十年になろうとしています。簡易課税制度はそもそも消費税がザル法であると揶揄される最大の原因であると個人的に思っていますし、あんないい加減なみなし経費率で税額を計算すること自体がおかしいと思っています。法人税などでは細かい損金算入などについてチェックする一方で、消費税についてはこんないい加減な経費率計算で税額計算がまかり通るなど、誰の目から見てもおかしな制度なのです。
こんな制度があるおかげで中小企業者について我々税理士は毎年簡易課税と原則課税の選択の有利不利について頭を悩ませなければなりません。しかも選択の届出は事業年度開始までに提出しなければなりませんのでなおさら神経を使いますし、賠償責任を常に念頭に置いて慎重に判断を行わなければなりません。
これを解決する策として簡易課税制度の選択届を当該事業年度において提出できるようにすべき、と日税連などでは要望を出しているようです。確かに簡易課税制度を維持していくという前提であればそれはそれでも良いのですが、それより何よりこんないい加減な簡易課税制度などが未だに残っているからそもそもこのような問題が起きるのです。実際に納税者や消費者の多くも簡易課税制度による消費税差益部分が利益となることについて「なぜ本来預り金であるはずの消費税が預かった側の利益になるのか?」という素朴な疑問を感じています。これは簡易課税制度の明らかな負の側面であって、本来の法の趣旨から言えば消費者から事業者が預かった消費税は過不足なく納税するのが当然であって、そのうちの一部が事業者の手元に残るなんておかしな話なのです。
ですからもう消費税が導入されてから20年にもなるのですから、そろそろ簡易課税制度そのものの廃止を求めるべきではないかと思いますね。とはいえ実務的な面から言えば、全ての消費税計算を原則課税にした場合に仕入税額控除を小規模事業者などで本当に正確に計算できるのか、という問題点があるとは思います。しかしそれをカバーするために簡易課税制度がある、という理屈も私はおかしいと思います。
小規模事業者といっても申告する以上決算書くらいは作っています。それがないと申告できないんですから当然ですよね。その決算書の項目から各勘定科目の金額を拾っていけば大まかな消費税計算は原則課税でもできるはずです。だって簡易課税制度だって決算書や帳簿が無いと計算できないんだからこの点で簡易課税でなければならない理由はありませんものね。確かに仕入税額控除を行うための記帳や資料の要件は満たしていないケースがあるかも知れませんが、あの簡易課税の大雑把なザル計算と比べればずっと正確な計算になるんじゃないでしょうか。
それすらできない決算書を作っているような事業者は、それは残念ながら泣いてもらうことでいいんじゃないでしょうか?経費や仕入や固定資産の年間の購入額も把握していないような事業者では、そもそも確定申告すらできるはずもないのに、そんな方たちの消費税申告だけをみなし計算で行ってあげる合理性はどこにも無いんじゃないでしょうか。本来そんないい加減な納税者の税額計算を簡便にするために簡易課税制度があるわけではないでしょう(当初はそうであったとしても)。
それにもしこういった科目別課税・控除方式の原則課税による消費税計算に疑義があるのであれば、それは税務署が調査に行けば済む話なのではないでしょうか?簡易課税にしたって税務調査は必要なわけですから、原則課税一本に統一して、あまりに申告内容に課税上弊害がある場合のみ調査で精査したらいいんじゃないでしょうか。
そういうことで私は消費税の計算は全て原則課税にすべきだと思いますね。実務上の弊害もそれほど無いはずですし、簡易課税制度がある方が本来的にはおかしい訳ですからね。実務上は、記帳が曖昧な場合や確定申告期の申告補助をする際の妥協策として先程述べたような決算書を見ながらの科目別課税・控除方式を採用することで事務の簡略化は十分可能じゃないでしょうか。きちんと計算したければ、きちんと帳面を付け、自分で勉強するなり税理士に頼めば済む話しなわけですからね。
こうすることで簡易課税制度による益税の問題、簡易・原則の選択による有利不利の問題、小規模事業者の事務手続きの問題もほとんどクリアされるのではないでしょうか。そういう観点から私は個人的には日税連が税制建議に挙げているような簡易課税制度の改善ではなく、簡易課税制度そのものの廃止と原則課税制度の整備を行うべきではないかと思っています。
個人的にこれからの時代においては消費税が基幹税になるべきだと思いますし、そうであるためには消費税の納税制度に消費者から疑念をもたれるようなことや、益税が生じるような事、そして制度の選択によって有利不利が生じるような税制はなるべく解決されるべきではないかと思います。そういう意味でも簡易課税制度という不可解な妥協の産物は早急に廃止して、本来あるべき消費税の納税制度に統一すべきではないかと思います。
そうなれば我々税理士も簡易課税を選択するかどうかで頭を悩ませることもなくなりますし、賠償の恐怖にビクビクしながら日常業務を進める必要もなくなります。それに税制や税務そのものもスッキリとするんじゃないでしょうか。
http://moriri.mo-blog.jp/hitorigoto/2007/12/post_3961.html
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