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年次改革要望書2007 全文テキスト(アメリカ大使館公開)
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/490.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2007 年 11 月 22 日 06:28:26: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 年次改革要望書の仮和訳が出た! アメリカが日本に命令する文書。毎年10月に英文公開 投稿者 代理投稿1 日時 2007 年 11 月 22 日 06:01:14)

アメリカ大使館・仮和訳
http://tokyo.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-20071018-regref.pdf

年次改革要望書の仮和訳が出た!
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/489.html

*下記の日本語文書は仮翻訳で、正文は英文です。

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日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく
日本国政府への米国政府要望書
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2007 年10 月18 日
(仮訳)

「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)は、新しい
市場を開き、煩雑な規制を減らし、透明性を高め、競争を刺激する改革を推進することによ
って、両国民にとっての発展と機会の促進に引き続き寄与している。また、今回7年目とな
る規制改革イニシアティブは、日米2国間の経済関係を強化・拡大するための重要な議論の
場であり続けている。

規制改革イニシアティブは2001年に、「成長のための日米経済パートナーシップ」の下、
分野別および分野横断的改革を通して、成長促進を目的とした改革政策を推進するために立
ち上げられた。それを踏まえ、本年の米国の要望書は、医療機器・医薬品、通信、金融サー
ビス、情報技術(IT)そして農業といった特定の産業分野における継続的な進展と、知的
財産、商法、競争政策と透明性といったいくつかの分野横断的な領域で前進を図ることに焦
点を当てている。米国は、このイニシアティブの目的達成に向け、上記の分野およびその他
の分野においても日本が重要な経済改革を推進することを引き続き期待している。

本年の米国の要望書は、2国間はもとよりアジア太平洋地域やその他の対話の場で、知的
財産権保護のより高い基準を推進するとともに、アジア太平洋地域、さらにはその先も視野
に入れた透明性の促進に向け、日本との緊密な協働を続けたいという米国の希望を強調して
いる。

この包括的な米国の要望書は、これから数か月にわたって行われる上級会合、ならびに電
気通信、IT、医療機器・医薬品、分野横断的問題をそれぞれ取り上げる4つの作業部会で
の議論の基礎となる。相手国政府の要望を受けて日米それぞれの政府が実現した進展は、年
次報告書に盛り込まれ、大統領と総理大臣に報告される。

米国政府は引き続き本要望書について建設的な協議を期待するとともに、同イニシアティ
ブの下、日本国政府からの要望書を受理することを歓迎する。

目次
提言の要点....................................3
通信...........................................4
情報技術....................................5
医療機器・医薬品....................6
金融サービス............................7
競争政策....................................8
商法および司法制度改革........9
透明性......................................10
その他の政府慣行..................11
民営化......................................12
流通..........................................13
詳論.............................................14
通信..........................................15
情報技術(IT)..................17
医療機器・医薬品..................22
金融サービス..........................28
競争政策..................................31
商法および司法制度改革......35
透明性......................................38
その他の政府慣行..................40
民営化......................................43
流通..........................................47

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●提言の要点
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●通信
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米国は、革新的サービスや技術に対する競争的な機会の促進という観点から、通信分野に
影響を及ぼす日本の規制改革の取り組みを引き続き注視する。このような機会を促進するに
当たっての重要な規制面の原則は、事業者の技術に係る選択肢を最大に拡大し、効率的で負
担を最小限に抑えた機器認証手続を担保し、透明かつ公平なルール作り(特に無線分野にお
いて)を確保することなどである。

提言の要点

無線分野における競争と効率性の向上:免許対象外のサービス(例えばWiFi)の利用者や装
置製造業者に対して利用料が課せられるかもしれないという懸念を払拭して、サービスの着
実な利用を確保する。技術中立性に基づいて、迅速に新規周波数帯を認可する、あるいは既
存の周波数帯を無線ブロードバンド・システムに再割り当てする。新規移動通信参入者が独
自のネットワークを構築するまで、顧客に手ごろな料金でローミングサービスを提供できる
よう、その他の無線事業者と妥当な相互接続の取り決めを交わせるよう確保する。

融合サービスに対する規制の簡素化の促進:電気通信ネットワークを通じて提供される映像
に新規則を設けるという取り組みが、不要な規制は最小限に抑えるという観点に基づき、透
明な形で実施されることを確保する。

支配的事業者に対する競争セーフガードの強化:

現行の相互接続制度が終了した場合、NTT東西がコストに基づく相互接続料金を設定する
ことを確保する。NTT東西間の交付金を廃止する。

NTTの次世代ネットワーク(NGN)への相互接続要件が、十分な透明性を持
って、また影響を受ける事業者との協議を経て設定されることを確保する。競争事業者に課
せられている財務条件を見直す。


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●情報技術
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米国の要望は、情報技術(IT)の政府調達における競争促進と信頼の醸成、e-アクセシ
ビリティー政策にかかわる相互理解の促進、日本の医療制度の質と効率の向上に向けた情報
技術の採用推進、デジタル時代の権利侵害に焦点を当てた知的財産権の保護強化、世界およ
びアジアにおける知的財産権のエンフォースメント(行使)の向上、そして個人情報保護法
の施行に係るいかなる変更もビジネス環境の改善につながることを確保すること、を目的と
している。

提言の要点

ITおよび電子商取引の政策立案:政策立案への民間の参加を促し透明性を向上させる。技
術中立性を促進する。国際慣行との整合性を推進する。

政府のIT調達:基本指針の順守を確実にするための計画を明確にし、基本指針のもとでの
進ちょく状況を評価する。政府のITシステム開発を通して生じた知的財産権を請負業者が
保有することを認める。競争入札を促進する。

医療ITとe-アクセシビリティー:「グランドデザイン」の効果的な実施と医療ITの活用
に向けたインセンティブの拡充を通じて、医療ITの採用を促す。e-アクセシビリティー政
策や活動に関する情報交換を行う。

知的財産権および著作権の保護:オンライン上の権利侵害防止対策の採用や、音声録音およ
びその他の作品の著作権保護期間の延長等を通じて、権利保護の強化を図る。
知的財産権に係る協力:多様な場における協力強化を通じ、世界中、特にアジア太平洋地域
において、知的財産権の保護やエンフォースメントに関して厳しい基準を推進する。商標に
関する情報交換を推進し、特許手続を簡素化する。

プライバシー:個人情報保護法の施行に係るいかなる変更もビジネス環境の改善につながり、
国境を越える情報の流れを制限しないことを確保する。


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●医療機器・医薬品
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米国は、日本に対して、承認治験の改善、承認審査の迅速化、革新性に対する平等評価等、
製薬業界に関する2007年8月の「産業ビジョン」に含まれる数々の提案を迅速に導入する
よう促す。いくつかの提案は、医療機器業界に適応された場合には、この業界にも同様に恩
恵をもたらすであろう。また、高齢化社会の課題を抱えながらも高水準の医療を提供するこ
とを目指す日本に対し、米国は、償還価格算定政策によって革新的な医療機器および医薬品
の開発に適切なインセンティブを与えること、そして薬事規制改革によってデバイス・ラグ
およびドラッグ・ラグを解消することを提言する。

提言の要点

価格算定改革:医療機器および医薬品の償還価格算定制度が、革新的な製品の有益性を適切
に評価するものであることを確保する。革新的な機器および医薬品の製造者が、それらの製
品の有益性について償還価格算定制度の関係当局に説明する機会を増やす。

薬事規制改革:承認審査の合理化を図り、革新的な医療機器および医薬品の導入におけるラ
グを解消する。医薬品の治験環境を改善し、医薬品の世界同時開発を奨励する。医療機器に
おける一部変更に係る承認を促進し、要求事項の改正を実施する。

血液製剤:血漿(けっしょう)タンパク療法の価格算定制度が、血漿タンパク製品の特性に
基づいていることを確保する。表示事項およびその他の規制問題について協議する有意義な
機会を業界に提供する。

栄養補助食品:原料に特化した表示ができるように、食品における新たな規制分類を設ける。
健康食品安全規制が策定される期間において、業界が意見を述べる有意義な機会を提供する。
新しい食品添加物の承認審査期間を短縮する。

化粧品・医薬部外品:医薬部外品承認制度における透明性と効率性を向上する。有効かつ検
証し得るデータに基づいた効能表示を許可する。


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●金融サービス
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米国は、日本政府の「金融・資本市場競争力強化プラン」を取りまとめるという表明を称
賛する。米国は、競争のある金融・資本市場が持続的な経済成長、効率的資本分配、雇用創
出、そしてイノベーションをもたらす重要な要素と信じる。米国は、日本が国際金融センタ
ーの地位を確保するために必要な政策を講じることを奨励する。効率性を高め、また日本の
貯蓄者や労働者により多くの選択肢を提供する具体策に加え、とりわけ以下の分野で措置を
講じることにより、米国は日本に金融サービス部門における規制改革の最近の進展を継続す
ることを求める。

提言の要点

金融規制の透明性:ノーアクションレターや法令解釈に係る書面照会の積極的活用により、
金融法典の書面による解釈を充実させる。関係者すべてが、法規則案に意見を述べることが
できるようにする。

信用情報機関:健全な与信引受を促進するために、過剰貸付を阻止し、消費者福祉や信用市
場の競争力を改善する。包括的なすべての信用情報を収集し、かかる情報への公正でオープ
ンなアクセスを提供することにより、消費者や中小企業のリスクプライシングをより正確に
行えるよう、信用情報機関制度の法規制の枠組みを設ける。
情報共有とファイアウオール規制:必要なファイアウオールの範囲を書面によるガイダンス
の中で特定し定義する。金融商品取引法や個人情報保護法を含む、ファイアウオールの現体
制の適切な見直しに関して、外資系金融機関と活発な対話を継続する。


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●競争政策
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反競争的行為に対する厳格で有効的な独占禁止法(独禁法)の執行は、日本の消費者のみ
ならず、日本経済全体に多大な利益をもたらすであろう。同時に、独禁法の執行政策が競争
促進的行為を妨げず、公正取引委員会(公取委)の手続きが公正で透明性のあるものである
と認知されることを保証するために配慮しなければならない。米国は、独禁法基本問題懇談
会報告書を歓迎し、その提言の多くが履行されることを期待している。同時に、談合と政府
職員によるその助長は、引き続き問題となっており、この問題に適切に対処するための大胆
な方策が必要である。米国は日本に対し、日本の競争環境をさらに改善するための措置を講
じるよう要望する。

提言の要点

独禁法の順守および抑止力の改善:カルテルに対する行政処分を強化する。公取委の課徴金
減免制度の行使を推進する。刑法執行の有効性を高める。単独行為に対する課徴金の賦課を
回避する。国際航空および海運の独禁法からの適用除外を見直す。流通ガイドラインを改正
する。株式取得の事前届出制度を採用する。郵政民営化の過程で競争を確保する。さらに多
くの外部の法曹資格者および経済専門家を採用する。

公取委の手続きの公平性および透明性の改善:審判手続きの信頼性を高める。事前審査型審
判方式への移行の必要条件を明確にする。公取委の警告に関する規制を改善する。
談合への対応:談合に対する罰則を強化する。官製談合を防止し、調達における利益相反に
対処する。行政課徴金減免制度を拡大する。調達慣行を改善する。


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●商法および司法制度改革
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世界市場の実情を認識し最良の国際慣行を反映する日本の商法および司法制度の体制は、
日本経済を強化する効率的なビジネス慣行および企業構造を促進する。近代的な商法制度に
不可欠な要素には、国境を越えた投資を阻害ではなく円滑化する法律と、株主に対する経営
責任と株主の全面的参加を促進するコーポレート・ガバナンス(企業統治)メカニズムが含
まれる。日本はまた、国際的な法務サービスが効率的かつ費用効果的に提供されることを確
保すべきである。米国は日本に対し、日本の商環境および法的環境をさらに改善するための
措置を講じることを要望する。

提言の要点

効率的な企業再編と株主価値の促進:国境を越えた企業買収における三角合併手法導入の成
功を精査する。敵対的買収防衛策における株主利益を保護する。

優れたコーポレート・ガバナンスの強化:活発で適切な議決権代理行使を促進する。独立取
締役を通じて株主利益を保護する。少数株主に対する十分な保護を徹底する。
適法に日本で事業を行う外国企業の保護:外国企業が日本法人と合併または日本法人に転換
することを可能にする日本法人化手続きを導入する。会社法第821条が適法に事業を行う外
国企業に悪影響を与えないよう確保する。

司法制度改革の達成:外弁による専門職法人および支所の設置を認める。日本の弁護士が国
際的な法務パートナーシップと自由に提携することを認める。外弁の最低資格要件を改正す
る。仲裁および裁判外紛争解決を促進する。


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●透明性
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透明性のある規制および政策策定慣行は、すべての良きビジネス環境の基盤である。近年、
日本ではさらに有意義なパブリックコメント手続きの導入等、数多くの改善が行われたが、
実際の経験を見ると、かかる改善が日本政府全体で一様に履行されていないことは明らかで
ある。米国は、ベストプラクティス(最優良事例)の推進に加えて新たな規則を作成する等
により、高い透明性基準の一貫した適用を保証する新たな方策を講じることで、日本がその
ビジネス環境をさらに改善することを引き続き求める。米国は、アジア太平洋地域において
さらに高い透明性基準を推進するために日本と協力することを楽しみにしている。

提言の要点

審議会等:政府任命を受けた審議会等に対して利害関係者が意見を提出するための透明性お
よび手段を保証する新たな規則を実施する。かかる審議会等のための透明性ベストプラクテ
ィスを全省庁を対象に策定し、促進する。

パブリックコメント手続き(PCP):省庁が、パブリックコメントを十分に考慮すること
を保証する。パブリックコメントの募集期間を延長するための方策を講じる。PCPの現在
の有効性を評価して、その履行状況を改善するために必要な他の分野を特定する。

規制の透明性:規制およびすべての政策の説明、あるいはそれらの規制に関する一般的に適
用される解釈を書面で公表するよう省庁に義務付ける。規制の起草時において「平易な言
葉」の使用を推進する。

国際協力の強化:APEC透明性基準の積極的履行の保証等により、アジア太平洋地域におけ
る高い透明性基準を推進する2国間の取り組みを強化する。


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●その他の政府慣行
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米国は日本に対し、新しい機会を創造し、かつ対等な競争条件を整備することによって効
率的な競争を確保するために、その他の数々の分野において規制改革に着手することを要望
する。例えば、保険商品の銀行における窓口販売の全面解禁は競争を促進させ、消費者の選
択肢を広げる。民間の保険会社と同じ規制監督基準を共済に適用することは、日本の消費者
に健全で競争力のある保険市場を提供する助けにもなる。さらに、米国は、日本の消費者向
けに安全な食糧供給を確保するために、科学的知見に基づいた国際基準をベースにしつつ、
消費者の選択肢を広げる形で農産物貿易の促進のために日本が数々の措置を講じるよう求め
る。領事に係わる要件を簡素化することにより、外国人のビジネス環境を改善することがで
きる。

提言の要点

保険の銀行窓販の自由化:銀行の窓口チャネルにおける保険商品の販売が、遅くとも2007年
末までに全面的に解禁されるよう保証する。
共済:保険を提供する組合(共済)に民間の保険会社と同様の義務を適用するための新たな
措置を講じることにより、民間企業と共済との間に平等な競争条件を担保するという現行の
取り組みをさらに進める。

領事関連の問題:日本国内の査証保持者の負担を最小限とするため再入国許可の要件を見直
す。

農業に関連する慣行: 有機農産物に使用される農業資材の評価に科学に基づいた基準を採
用することによって貿易の促進を図る。国際機関によって安全性が認められており、世界中
で使用されている食品添加物の審査を完了する。最大残留農薬基準を執行する措置ができる
だけ貿易を制限しないものとなるようにする。動物衛生やその関連措置に関して国際基準を
採用する。

構造改革特区:日本の特区制度における新たな取り組みを強く奨励する。特区の全国展開を
一層進める。


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●民営化
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米国は、日本郵政公社の民営化と改革に引き続き重大な関心を払っている。この取り組み
が完全に市場志向型で実施されるならば、日本経済にとって潜在的利益があると米国は認識
している。さらに、米国は、このような改革が透明性を持って進められ、銀行、保険、エク
スプレス便市場で、日本郵政株式会社およびその子会社(日本郵政グループ各社)と民間の
競争相手との間に対等な競争条件が整備されることが不可欠であると考える。米国は日本に
対し、このような市場で対等な競争条件を担保するために必要な措置を講ずることを引き続
き求める。

提言の要点

対等な競争条件−貯金と保険:新しい郵政金融機関が納税、規制、法的義務を満たし、民間
企業と同じ監督基準が適用されることを確保する。郵政金融機関が政府とのつながりを積極
的に活用することにより、新たな優位性を確立しないように担保する。

競争条件と新商品:郵政金融機関に対して新たな貸付業務、新規または変更された郵便保険
商品の引き受け、元金無保証型投資商品の元売りを認可する前に、日本の銀行および保険分
野において対等な競争条件を確立する。

公平な競争条件―エクスプレス便:EMSに対しての「申告納税」方式の適用など、同様の
業務に関して民間エクスプレス貨物輸送会社に適用されているものと同じ通関手続きを、日
本郵便が取り扱う品目にも適用する。競争力のあるサービスとそうでないサービスの関係を
十分に開示して、相互補助がなされないようにする。

透明性:日本郵政公社改革の実施過程において、利害関係者に意見表明や意見交換の有意義
な機会を与えるなど、高い透明性を確保する。改革が市場にもたらす影響について定期的に
点検し、すべての利害関係者から意見を求める。


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●流通
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日本の流通システムにおける生産性を向上させ、効率を上げ、新たな機会を開拓すること
は、日本の経済成長を継続するために極めて重要である。よって、米国は、日本の空港使用
料金を引き下げる努力と、先般の貨物便を含む民間航空会社のアクセスを拡大した日米航空
協議の結果を称える。米国は日本に対し、物流コストを引き下げ、透明性を高め、小売業、
航空会社、エクスプレス便業者を含むすべての業界における公平な競争条件を確保するべく、
さらなる措置を講じることを要望する。

提言の要点

免税輸入限度額:関税法における免税輸入限度額を引き上げ、税関手続きを簡素化する。
空港拡張建設とオペレーション:すべての空港のオペレーションに関する変更が、一般から
の適切な情報と透明性をもって整備されることを確保する。

駐車スペース:集配車両が使用可能な一時駐車場を都市部で増設する。
通関手続き:すべての小包に関する通関手続きを標準化し、あらゆる物流業者に公平な競争
条件を確保する。

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●詳論
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●通信
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米国は、より競争的な市場を作り出し、新規市場参入を促し、新しい技術を導入するとい
う日本政府の取り組みによって下支えされてきた日本の通信市場に幅広い関心を寄せている。
こうした機会を促進するために、米国は、追加的措置を取ることが、日本と米国双方のサプ
ライヤーと消費者に利益を生み出すこととなるいくつかの領域について提案する。

I. 無線装置およびサービス
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I-A. 免許不要の周波数帯利用 利用料を課すことで、周波数帯の革新的利用を不必要に制
約し、また、煩雑かつ非効率な料金徴収体制が必要となることから、免許が免除された周波
数帯の利用に対して利用料が課せられないことを明確にする。
I-B. 免許対象周波数帯
I-B-1. 現在検討されている無線ブロードバンド周波数帯の割り当て(2.5GHz帯で2つの免
許を予定)を、技術中立性の原則に沿い、時宜を得た、透明で、客観的かつ非差別的な形で
行う。
I-B-2. 事業者がほかの周波数帯での第3世代サービスに移行することによって空き周波数
帯となる800MHz帯への競争的アクセスを確保する手続きを明確にする。
I-C. 移動通信分野における競争
I-C-1. 新規参入者が既存の移動ネットワーク、特に支配的事業者のNTTドコモのネット
ワークにローミングできることを確保する。
I-C-2. 携帯着信に関して、既存の事業者が新規参入者に不当に制約を課す手段として、市
場支配的地位を乱用していないことを確認するために、十分な調査を行うことを確保する。
I-D. 無線機器 無線LANのアンテナに係る「ファミリー認証」手続きを最終決定する。


II. 固定電話サービス
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II-A. 相互接続
II-A-1. 長期増分費用(LRIC)方式からの移行が実施された後も、NTT東西が提示する相互
接続料金が引き続き、コスト志向の原則に基づき、透明な形で設定されることを確保する。
II-A-2. NTT東西によって提示される次世代ネットワーク(NGN)の相互接続要件が、
NTT東西が課そうとする経済的および技術的要件について、その実施前に、すべての利害
関係者が意見を表明する機会を得るなど、透明な方法で設定されることを確保する。
II-A-3. コストを上回る接続料収入を財源とするNTT東からNTT西への交付金を廃止す
るための決定的な措置を講じる。

II-B. 新規参入を促すための支配的事業者に対するセーフガード措置
II-B-1. いずれかのアンバンドリング要件を廃止する場合には、その前に、市場支配力やボ
トルネック支配に関連する事例を評価するため、競争原則に基づき、パブリックコメントを
取り入れた市場調査を行う。
II-B-2. NTTに開示する必要がある財務関連の機密情報の量を制限し、提出された情報を
保護するための十分な規制措置が取られていることを確保し、NTTが相互接続事業者に要
求する保証金額が適切な水準に設定されることを確保する。
II-B-3. 適切な管路賃貸料を確保する。

III. 融合サービス 総務省が主催するさまざまな研究会・懇談会等が融合サービスの規制
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上の扱いに関して提言を行っていることを踏まえ、以下の措置が講じられることを求める。
III-A. デジタル・コンテンツの配信に課せられた複製制限が、ネットワークサービス提供
者に不当に負担をかけないものであることを確保する。
III-B. 放送以外のメディア(例えばインターネット)を通じて提供される放送コンテンツ
関連の課題に対処するための透明なプロセスを設ける。
III-C. IPに基づくサービスへの放送規制の適用を最小限にとどめ、貿易歪曲的な制限に
よって、新しいデジタル製品やサービスの提供が阻害されないことを確保する。
IV. その他 規制面での意思決定の公平性を担保する手続きや諸条件の改善を継続する。


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●情報技術(IT)
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I. ITと電子商取引の政策立案
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日本経済全体で情報技術や電子商取引の利活用が促進されるよう、米国は日本に対し、
ITや電子商取引に関わる規制が透明かつ柔軟であるよう確保することを求める。
I-A. 民間部門の意見の促進 日本がITや電子商取引に関して有効な政策、計画、規制を
立案するためには、民間部門からの助言を得ることが不可欠である。米国は日本に対し、以
下の措置を講じて、政策立案過程で民間部門が積極的な役割を果たすよう推進することを求
める。
I-A-1. パブリックコメント手続き、あるいはその他の方法を通じて、民間部門が、関連
法案、政令案、省令案、規制案、ガイドライン案に対して意見を提出する有意義な機会を持
てるよう確保する。
I-A-2. ITや電子商取引に係る政府委任による審議会や研究会等の設置およびその作業に
ついて、民間部門が情報を速やかに入手し、また、それらに積極的に参加できることを確保
する。
I-B. 技術中立性 米国は日本に対して以下の措置を求める。
I-B-1. 技術提供者や利用者が必要に応じた最適な技術を選択できる柔軟性を持つよう確保
することによって、選択肢や競争的な市場環境を促進するよう、法律、規制、ガイドライン
を施行する。
I-B-2. 国際標準化問題で民間部門と緊密に連携し、ITや電子商取引に係るガイドライン
や規制の立案するに際して、適切な場合は、すでに確立されている国際基準を使用する。
I-C. 国際的整合性の促進 米国は日本に対し、ITや電子商取引に係る政策や法律が国際
慣行と整合性を持つことを確保するよう求める。

II. 知的財産権保護の強化
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日本の知的財産推進計画に掲げられた目標や、知的財産権体制の結束をより深めるという
両国の相互利益に合致するよう、米国は日本に対し、以下の提言を採用するよう求める。
II-A. エンフォースメント制度 米国は、著作物の保護強化に向け日本が多様な方法を検討
しており、また、2007年度末までに以下の措置を採用するか否かについての検討を終了す
ることが確認されたことを歓迎する。この点において、米国は日本が以下の措置を講じるこ
とを提言する。
II-A-1. 法定損害賠償 侵害行為に対する抑止力となり、侵害により被った損失に対し権利
者が公平に補償されることを確保し、また、実際の損害・利益を算出・立証するという困難
かつ費用のかかる負担を解消することで、司法の効率を向上させる法定損害賠償制度を導入

する。
II-A-2. 著作権保護期間の延長 一般的な著作物については著作者の死後70年、また保護期
間が生存期間と関係のない著作物に関しては発表後95年という現在の世界的傾向と整合性
を保つよう、音声録音および著作権法で保護されるその他すべての著作物の保護期間を延長
する。
II-A-3. 職権の付与 起訴する際に必要な権利者の同意要件を廃止し、警察や検察側が主
導して著作権侵害事件を捜査・起訴することが可能となるよう、より広範な権限を警察や検
察に付与する。
II-B. オンライン上の権利侵害 侵害目的でネットワークを利用する加入者の連絡先を権利
者に開示させる、より迅速かつ信頼のおける方法を採用して「通知と削除」制度を簡素化す
ることにより、ピア・ツー・ピア・サービスを介した侵害を含むオンライン上での権利侵害
を防止するための必要な措置を講じる。
II-C. デジタル・コンテンツの保護 私的複製の例外範囲を合法な源からの複製に限定し、
その範囲を(ピア・ツー・ピア・サービスを介した複製物のダウンロードなど)家庭内利用
の範囲を超えることを示唆する行為にまで広げない、などの措置を取ることによって、権利
者が不利益を被らず、また競争法や営業秘密の保護に配慮がなされるように、デジタル・コ
ンテンツ関連規則や規制の透明性を確保する。
II-D. IPマルチキャストに係る強制実施権 IPマルチキャストやインターネット上での
テレビ番組再放送に係る日本の施策の変更が、市場を基盤とした解決策を目指すことに一義
的な重要性を置き、国際的義務に従うものとなるよう確保する。
II-E. 出版社に影響を与える著作権保護の例外 日本の著作権法第35条の教育例外規定が、
著作物の通常利用の解釈と矛盾せず、権利者の正当な利益を不当に害さない特定の場合にの
み適用されることを確保する。また、科学、技術、医療、教育関連の出版社に影響を及ぼす
ような著作権保護の例外を追加する場合には、その案を同じ観点から、透明な方法で慎重に
精査することを確保する。
II-F. 技術的保護手段 アクセス制御の無断解除および技術的保護手段の回避を目的とした、
サービスおよび装置に関するあらゆる形態の不正な取引に対し、民事上・刑事上の有効な救
済措置を提供する。
II-G. 特許手続き 以下の措置を講じることにより、ワークシェアリング効率を高め特許審
査手続きを簡素化する。
II-F-1. 12カ月間の猶予期間 出願者、あるいは出願者から直接または間接的に情報を入手
した(特許事務所を含む)第三者がその情報を公にした場合、その情報が、発明の特許性に
影響を与えない期間として、12カ月間の猶予期間を規定する。
II-F-2. 特許出願審査 「断片的な」審査を防ぐための手続きを実施し、審査プロセスの最
も早い段階ですべての妥当な拒絶理由を特定する。
II-H. 商標権 地理的表示保護に関する日本の慣行について情報を交換する。


III. 知的財産権の保護およびエンフォースメントに向けた日米の協力強化
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米国と日本は、世界、特に、アジアにおける知的財産権のより一層の保護とエンフォース
メントに向け協力を強化してきた。この協力関係は、利害関係を有する貿易相手国間での知
的財産権の厳しいエンフォースメント基準を推進するための取り組みととともに、これを支
持する形で継続すべきである。

IV. プライバシー
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データが国境を越えて着実に、起源をたどることが可能な形で、しかし効率的に流れるこ
とは、グローバル化の必然である。過度に制限を加えれば、企業が日本国内で事業を行うこ
とを阻害し、経済効率を妨げ、企業が消費者のニーズや期待に応える能力に支障をきたすこ
とになる。米国は、2007年6月に日本の国民生活審議会が公表した、個人情報保護法の実
効性を精査した報告書に注目している。個人情報保護法の施行に係るいかなる変更も、同法
の実効性を向上させるが、事業者が消費者に提供するサービスを不要に阻害することがない
よう確保するために、米国は日本に対して、以下の措置を講ずることを求める。
IV-A. 全省庁を対象とする、明確で、一貫した、予見可能な個人情報保護法のガイドライ
ンを策定し、必要であれば、省庁が事業分野ごとに個別の規定をガイドラインに追加する。
IV-B. 国境を越える取引に係る提言がなされる場合、情報の国際的流通を不当に制限する
ことなく、個人情報を効果的に保護できるものであるようにする。また、かかる提言に、情
報収集者が個人情報のプライバシーとセキュリティを保護するための妥当な措置を講じるべ
きとする規定が盛り込まれているようにする。

V. 医療ITとe-アクセシビリティ
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V-A. 医療のIT化の促進 厚生労働省は2007年3月に、医療のIT化の促進に向けた日
本政府の取り組みを定めた行動計画である、新しい「グランドデザイン」を公表した。米国
は、ITの活用によって日本の医療制度の質と効率が改善されるよう、厚生労働省が「グラ
ンドデザイン」を実施することを推奨する。米国は日本に対して、以下の措置を講じること
を求める。
V-A-1. 開かれた、透明な、技術中立性や相互運用性を促進する形で「グランドデザイン」
を実施する。
V-A-2. 医者や病院が、電子アーカイブ制度や電子カルテといった、情報共有を促す革新的
な医療情報技術を利用するインセンティブを高める。
V-A-3. 幅広い適格ITベンダーが、医療ITシステムを開発・紹介する政府支援プロジェ
クトに参加することを奨励する。
V-A-4. 医療ITに係る提案、政策、規則に対して、利害関係者が意見を表明する有意義な
機会を提供する。
V-A-5. 医療ITシステムの標準を定める日本の取り組みが、国際標準との整合性を促進す
るものであるよう確保する。

V-B. e-アクセシビリティーへの理解の向上 現在、ITへのアクセシビリティー政策およ
び関連標準の統一を図ろうとする国際的取り組みが継続中である。この取り組みの下、米国
は、e-アクセシビリティーという領域における日米それぞれの取り組みや優先事項について
の理解を一層深めるために、日本との継続的な協議を期待している。この目標を達成するた
めに、米国は日本に対し、現行および将来のe-アクセシビリティー政策および取り組みにつ
いて、両国政府の専門家の間で情報交換を行うよう求める。

VI. 政府IT調達改革
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米国は、政府IT調達で競争を促進し、そのプロセスの透明性や公平性を向上させるため
の日本の取り組みを心強く思う。
VI-A. 基本指針の順守 2007年7月1日に、日本の「情報システムに係る政府調達の基本
指針」(基本指針)の適用が開始された。基本指針に沿って政府のIT調達慣行を改善する
ため、米国は日本に対して、すべての調達機関が基本指針を確実に順守するよう、以下の事
項を含む措置を講じることを求める。
VI-A-1. フォローアップ調査の実施やその時期についての詳細を公表するなどして、基本
指針の順守を確実にする計画を明確にする。
VI-A-2. 基本指針またはその順守に改善が必要かどうかを判断するために、基本指針の実
施状況を評価するフォローアップ調査をできるだけ速やかに行うとともに、その結果を一般
に広く周知する。
VI-B. 国民とのコミュニケーションの改善 この制度に対する国民の信頼を醸成するため
には、政府のIT調達政策やその実施に関して利害関係者と効果的な双方向のコミュニケー
ションを図ることが不可欠である。米国は日本に対して、以下の措置を講じるよう求める。
VI-B-1. 政府のIT調達政策の立案やその変更提案に対して、国内外のITベンダーを含む
すべての利害関係者が意見を提供する有意義な機会を設ける。
VI-B-2. 各府省庁の調達慣行に関する情報の入手や周知のために、日本政府のIT調達に関
するオンライン・データベース(http://cyoutatujirei.e-gov.go.jp)を利用する。
VI-B-3. 随意契約の利用情報をできる限り公開する。
VI-C. バイ・ドール制度の適用拡大 日本版バイ・ドール制度をすべての政府調達に適用
することによって本制度の適用を拡大し強化するいう、知的財産推進計画に掲げられた目的
を達成するため、米国は日本に対して以下の措置を講じるよう求める。
VI-C-1. 政府支援プログラムを通じて開発されたソフトウエアに係る知的財産権を請負業者
が所有できることを確実にするため、2007年4月の産業技術力強化法の改正を実施する。
VI-C-2. 政府支援プログラムを通じて開発されたソフトウエアに係る知的財産の所有権につ
いて、請負業者と政府の権利および責任を定義するモデル条項を基本指針に盛り込む。
VI-D. ベンダーの法的責任の制限 米国は日本に対し、以下の措置を取ることにより、政
府調達取引でITベンダーが負うべき法的責任を、彼らが負うリスクに応じた水準に制限で
きるようにすることを求める。

VI-D-1. 政府調達当局が、政府のIT調達契約における法的責任に適切な制限を設定し、
その責任を明確に定義するとした基本指針の規定を確実に実施する。
VI-D-2. IT調達契約における法的責任の問題にいかに対処するかという点について府省
庁の理解を助けるため、契約書のひな形などの手引きを作成する。
VI-E. 競争入札の促進 現在中央政府機関のみに適用されている競争入札規則を、独立行
政法人、政府支援の民間企業、および地方自治体まで適用するなどの措置を講じて、IT調
達における単一契約の利用を削減する。
VI-F. 契約日の遡及(そきゅう)の禁止 落札者の決定後、速やかに契約を結び、契約日
の遡及を行わないことを確実にする基本指針の規定を実施する。


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●医療機器・医薬品
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T. 日本の医療制度の変更
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米国は、日本政府とその諮問機関に対して、医療制度の変更を行う前に、米国業界を含む
業界からの意見を十分に考慮するよう求める。

U. 医療機器および医薬品の価格制度改革ならびに関連事項
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米国は日本に対して、医療費の範囲を検討する上で、革新的な医療機器および医薬品の開
発に報酬を与える価格算定制度による長期的な恩恵を考慮するよう求める。また、米国は日
本に対し、以下の措置を講じるよう求める。
II-A. 医薬品
II-A-1. 革新的創薬のための官民対話等、医療制度改正に関する日本政府との協議に米国業
界を引き続き参加させる。また、研究開発志向型の米国製薬業界の代表を中医協の薬価専門
部会の委員に任命して、海外の専門家の意見を求める。
II-A-2. 追加適応症の研究に対するインセンティブを低減させ、治療の機会を妨げるような
市場拡大に基づく再算定基準を廃止する。
II-A-3. 日本における革新的医薬品や医療機器の導入を阻むような毎年の価格改正を控える。
II-A-4. 現在の新薬の価格算定方法に代わるものとして、新薬の革新的価値を最大限査定し
償還できるように、申請者が提出したデータを評価するという、柔軟な価格算定方法を設定
する。
II-A-5. 先進的な特許医薬品の革新的価値および開発に関する経済的リスクを正確に反映さ
せるために、特許期間中および独占権期間中において、かかる医薬品の経済的収益を向上・
安定させる。
II-A-6. 償還価格を設定する際に採用する類似比較薬が、革新性に対する適切な査定を反映
する形で採用・導入されていることを保証する。革新性の価値を適切に反映しない特定の類
似比較薬の使用を避ける。
II-A-7. 薬価算定組織(DPO)との最終協議前に、中立的立場の専門家が製造者とその保
険申請に関する協議を行うことを認めることによって、価格算定に対する透明性を向上させ
る。
II-A-8. 革新性に報酬を与えるよう、外国平均価格調整ルール(FPA)の適用を見直す。
II-A-9. 基本的に新薬の処方期間を処方ごとに30日に延長し、それよりも処方期間が短い
処方薬に関しては、業界と協力して新たなルールを制定する。
II-A-10. 医薬品の適正使用のために必要な医療および医学検査が保険適応となるよう保証
する。

II-B. 医療機器
II-B-1. 米国業界と協議して、製品間の違いをより適格に反映するように特定の心血管製品
および整形外科製品の機能分類を修正し、また現存の製品に比べ機能がある程度向上してい
る新製品について新たな機能分類を作る。
II-B-2. 外国価格参照制度(FAP)を廃止する。FAPルールが置き換えられるまでは、
その適応を業界が提出した比較国4カ国のリスト価格およびデータのみを使用し、2004年
から2006年までの間に使われた分類以外の機能分類の追加を控え、最大価格引き下げルー
ルを維持し、価格引き下げは2年間にわたって段階的に行い、加重平均制度を採用する。
II-B-3. 価格改定により償還価格が適切でないと企業が考える機器について、企業が償還価
格の改定を要請できる自主的な手続きを設ける。
II-B-4. 製品寿命の延長や回復時間の短縮等、性能が改良された機器に対して加算分類を設
ける。類似している医薬品分類に適用された加算と適合させるべく、医療機器の既存の加算
を調整する。
II-B-5. 薬事承認申請期間中に保険償還申請を行えるようにして、薬事承認後に開催される
第1回目の中医協専門部会および一般部会においてこの償還申請を協議できるようにするこ
とにより、新医療機器の導入を迅速化する。
II-B-6. 日本で重複する、または不必要な治験を行わなければならなかったためにかかった
費用と市場参入への遅れについて、企業を補償する制度を設ける。
II-B-7. 病気やその他の健康状態の特定と治療の迅速化を可能にする、高度で侵略性の低い
画像診断技術の採用に対し報奨を与える。
II-B-8. 検査料、クイック検査、および治験から保険償還までの期間における体外診断薬の
使用に関して進展が見られるようにするために、体外診断薬の償還価格算定制度について米
国業界を含む業界と密接に協議する。
II-C. 血液製剤 現行の医薬品に基づいた償還価格算定制度を、血漿(けっしょう)タンパ
ク療法の特性に基づいていかに改正すべきかを日本政府と協議する有意義な機会を、米国業
界を含む業界に与える。血漿タンパク製品の特性に基づく血漿タンパク療法の価格算定制度
を保証する。

V. 医療機器・医薬品の規制改革と関連問題
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米国は、日本において医療機器と医薬品の導入を促進するために、また患者による革新的
な医療機器および医薬品の利用を促進することにより予防医学に注力するために、日本が医
療機器および医薬品の規制制度を改善することを奨励する。米国は日本に対し、以下の措置
を講じることを求める。
III-A. 医薬品 企業が日本で、日本市場のために医薬品を開発することを容易にするため
に、以下の措置を講じることを求める。

III-A-1. 米国業界を含む業界と協力して、医薬品の世界同時開発への日本の参加を促進する。
III-A-2. 治験を促進する新規5カ年計画を実施し、適切な場合にはその5カ年計画を拡大し
て追加の施設を加える、患者、病院、医者が治験に参加するようインセンティブを増す、病
院の治験活動を向上させる等、治験環境を改善する。
III-A-3. 米国業界を含む業界が、日本、大韓民国、中国の臨床データの民族的要素に関する
研究グループに参加できることを保証する。
III-A-4. 米国業界を含む業界が、命に関わる重病を治療する特定の医薬品を「未承認医薬品
使用関連した問題に関する委員会」に直接提案することを許可して、ドラッグ・ラグ(新薬
承認の遅延)を短縮する。
III-A-5. 医薬品医療機器総合機構(総合機構)が手数料と性能の評価指標に関し、米国業界
を含む業界との対話を継続することを保証して、協議と審査の内容を向上させる。
III-A-6. 2007〜09年度の総合機構の医薬品審査官の増員を迅速に実施する。製薬業界から
新規採用された審査員が、彼らの専門分野に関係する申請の審査を行うことを許可する。
III-A-7. 承認後の製造工程の変更に関する総合機構の審査期間を、米国および欧州連合並み
の水準まで短縮する。
III-A-8. 新薬の申請において、厚生労働省の最終承認までに要する処理期間を短縮する。
III-A-9. 薬事審査を向上し、ワクチンの利用を促進する。
III-B. 医療機器 企業が日本で、日本市場のために医療機器を開発することを容易にする
ために、以下の措置を講じることを求める。
III-B-1. 「一部変更承認」の迅速化と要件の削減に向けて以下の措置を講ずる。
III-B-1-a. どのような「小さな変更」が一部変更承認を必要とせず、どの変更が届け出の提
出のみを必要とし、またどの変更が年次報告書への記載でよいのか明確にする。
III-B-1-b. より重要で、事前審査や承認を要する変更に関して「リアルタイム審査」を導入
する。
III-B-1-c. 一部変更の申請を、それ以前に申請した同一の医療機器の一部変更が審査されて
いる期間中に認める。
III-B-2. 加速試験法が科学文献で有効性を認められている、あるいはその他の十分な科学的
な裏付けがある場合には、医療機器の承認に加速安定性試験のデータを使用する。実時間の
試験の完了をもって製造業者からの実時間の安定性試験のデータを受け入れる。
III-B-3. 次期5カ年計画に向けた向上した達成目標の作成と、その目標を確実に達成するた
めの措置を特定するため、総合機構が、米国企業を含む業界と密に対話することを確保する。
III-B-4. 承認申請書に含まれる企業機密情報が公開されないように保護する。

III-B-5. 原材料の化学組成を特定するための要件を廃止し、最終製品の生物学的安全性に関
する情報が製品の安全性を判断するのに不十分な場合にのみ、製品の構成要素に関する情報
の開示を求め、そして日本の生物学的同等性試験の要件がISO 10993と十分整合性が取れて
いることを保証することによって、原材料データの要件を削減する。
III-B-6. 外国の製造施設について、現行の認定制度に代わり、国際慣行と整合性を持つ簡易
登録制度を採用する。
III-B-7. 製品ではなく製造工場に特化した品質システムの適合性評価を採用する。
III-B-8. 国立感染症研究所による体外診断薬の事前承認審査を廃止し、比較を要する従前機
器を2つからひとつに削減し、実際の製品規格を受け入れ、そして業界と協議して簡素化さ
れた安定性試験要件を作成することによって、体外診断薬の承認の簡素化を図る。

W. 血液製剤
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IV-A. 献血および非献血の表示要件について協議する有意義な機会を、米国業界を含む業
界に提供する。
IV-B. 需給問題、ならびに国家検定その他の規制問題について協議する有意義な機会を、
米国業界を含む業界に提供する。

X.市販薬
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市販薬について厚生労働省と協議する有意義な機会を米国業界を含む業界に提供する。

Y.栄養補助食品
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米国は日本に対し、以下のことを求める。
VI-A. 規制分類と表示
VI-A-1. 栄養補助食品において、ラベル、広告、販促資料に、原料に特化した表示ができ
るように、食品における新たな規制分類を設ける。
VI-A-2. 科学的な危険性評価に基づき、栄養機能食品(FNFC)に含まれる栄養成分量の見直
しと改正を行う。
VI-A-3. 特定保健用食品(FOSHU)分類を緩和し、栄養補助食品にとって実用的な枠組みとす
る。
VI-A-4. 「市場開放問題に関する苦情処理推進本部」が勧告したように、国立健康・栄養
研究所データベースの情報を消費者に提供する制度を、業界と協議して2007年度末までに
設置・実施する。

VI-B. 健康食品安全規制
VI-B-1. 健康食品の安全性に関する規制を整備するに当たり、政府が主催する研究会や検
討会に委員として参加する機会等、意見を述べる有意義な機会を米国業界を含む業界に提供
する。
VI-B-2. 企業が新しい栄養補助食品の原料を導入する場合の規制の枠組みについて、他の
先進諸国のベストプラクティス(最優良事例)を考慮した上で、実践的で時宜にかなったも
のでありながら、安全性を確保する枠組みを構築することを検討する。
VI-C. 食品添加物
VI-C-1. 新しい食品添加物、特に国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合
同食品添加物専門家会議 において評価された食品添加物に関して、申請に必要な資料を明
確にし、承認プロセスの能率性を向上させる等の措置を講ずることにより、承認審査期間を
短縮する。
VI-C-2. 科学的原則に基づき、分析手法および技術の進歩を反映するような形で、食品添加
物の使用基準を速やかに改正する。
VI-D. 輸入問題
VI-D-1. 検疫所で企業が受けた事前相談と指導内容を追跡する制度を改良して、引き続き
食品の輸入手続きの効率性を高める。
VI-D-2. 輸入申告用紙に記載する機密情報の開示を制限する。
VI-D-3. 栄養補助食品の輸入に係る長期的な懸案事項に取り組む。

VII. 化粧品および医薬部外品
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米国は日本に対し、以下のことを求める。
VII-A. 医薬部外品 医薬部外品承認プロセスの透明性と効率性を向上させるために、以下
の措置を講じる。
VII-A-1. 以前の医薬部外品申請で既に承認されている有効成分のリスト(レベルならびに
効能を含む)を公表し、そのリストを定期的に更新する。
VII-A-2. 以前の医薬部外品申請で既に承認されている添加物(非有効成分)のリスト(レ
ベルならびに効能を含む)を公表し、そのリストを定期的に更新する。
VII-A-3. 他の先進国の規制の枠組みと整合性が取れるよう、添加物(非有効成分)につい
ての事前承認要件を緩和する。
VII-B. 宣伝広告および表示 日本の消費者がより詳細な情報を得た上で判断できるよう、
以下の措置を講じる。

VII-B-1. 化粧品に関して、現行の承認済みの効能表示の範囲内にあり、かつ科学的データ
に裏付けされている追加の効能表示を認める。
VII-B-2. 医薬部外品および化粧品に関して、有意かつ検証可能な科学的データに基づく、
数値を使った効能表示を認める。
VII-C 透明性および規制手続き 医薬部外品および化粧品の規制制度の透明性と効率性を
高めるため、以下の措置を講じる。
VII-C-1. 米国業界を含む業界と協議し、監視報告書の発行等を通じて、全国医薬品等広告
監視協議会(六者協)の協議結果を開示する制度を策定する。
VII-C-2. 米国業界を含む業界と引続き協議し、製品基準が安全かつ実用的であることを保
証し、企業が変更に備えて計画を立てることができるように製品基準改正の審査プロセスの
具体的な時間枠を設定する。
VII-C-3. 医薬部外品と化粧品の輸入および承認に係る事務処理と手続きを簡素化すること
により、市場に出すまでのリードタイムを短縮する。
VII-C-4. 厚生労働省のウェブサイトの改良を続け、医薬部外品および化粧品の規制制度に
関する詳細な情報を消費者や業界が入手しやすい場所に掲載する。


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●金融サービス
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I. 個別措置
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米国は、日本政府が、経済財政の基本方針2007において「金融・資本市場競争力強化プ
ラン」を2007年内に取りまとめると公約したことを称賛する。米国は、競争的な金融・資
本市場が持続的経済成長、効率的な資本分配、雇用創出、そしてイノベーションをもたらす
重要な要素であると考える。米国は、日本が国際金融センターとなるために、税、労働、医
療、教育、そして交通インフラなど金融サービス部門を超えた分野での措置を含め、必要な
措置を講じることを奨励する。米国は、日本が以下の措置を講じることにより、金融サービ
ス部門における規制改革の最近の進展を継続するよう求める。
I-A. 包括的な信用情報機関制度の法律および規制の枠組み 改正貸金業法を基に、金融サ
ービスのすべての部門を網羅する、消費者や中小企業の包括的な信用情報制度を設け、これ
を実施する。健全な与信引き受けを促進し、過剰貸し付けを阻止し、消費者福祉や信用市場
の競争力を改善するために、包括的なすべての信用情報を収集し、またアクセスを提供する
ことができる有効な規制の枠組みを設けることが不可欠である。
I-B. ファイアウオール規制 金融庁は、他の主要な金融市場におけるこの分野の進展を考
慮し、ファイアウオールに関する現行の法規制が外資系金融機関を含む金融商品取引業者に
及ぼす影響の査定を始めた。外資系金融機関は、事業部門および法人組織間での情報の共有
や職員の兼務に関して、さまざまなファイアウオールから多大な影響を受けている。そして、
このようなファイアウオールによって、世界のベストプラクティスを日本の金融サービス業
界へ導入することが極めて難しくなることが多い。結果として、米国は、金融庁が義務付け
られたファイアウオールの範囲を指針書で特定し定義すること、そして金融商品取引法や個
人情報保護法を含む、現在のファイアウオール体制の適切な見直しに関して、外資系金融機
関と活発な対話を継続することを推奨する。
I-C. 金融コングロマリットの規制 米国政府は、賢明なリスク管理や顧客サービス改善の
ために許容される経営構造やグループ企業間の情報の共有の可否を含む金融コングロマリッ
トの規制は、国際金融センターとして競争力を強化する日本の取り組みと関連がある、と日
米両首脳への第6回報告書で金融庁が認めたことを歓迎する。そこで米国は、金融庁がコン
グロマリットの指針の実施について、外資系金融機関も含む利害関係者と引き続き協議する
ことを推奨する。
I-D. 確定拠出年金 高齢者の収入、労働移動性、投資教育を確保するという観点から、確
定拠出年金制度の重要性やその改善の価値にかんがみ、米国は、日本が確定拠出年金制度の
改善に継続して取り組むことを奨励する。具体的には、米国は日本に以下の取り組みを行う
よう提言する。
I-D-1. 非課税拠出限度額を世界的な水準と同程度まで引き上げる。
I-D-2. 被雇用者拠出を認める。
I-D-3. 特別な事由がある場合、60歳前の積立金への早期アクセスを認める。
I-D-4. 加入者への投資助言サービスを認める。

I-D-5. 公的部門の職員に確定拠出年金制度を導入する。
I-E. 投資顧問サービスと投資信託の規制の枠組みを一本化する 金融商品やサービスの全
般にわたって包括的で一貫性のある規制制度を提供する金融商品取引法の基本理念に沿って、
米国は、投資顧問と投資信託という2つの業務について、日本が、それぞれの業界を管理す
る自主規制団体の統合を含め、規制環境の真の一本化の実現に向けて、必要な後押しを継続
することを提言する。
I-F. 投資信託契約の統合と償還 米国は、投資マネージャーが投資信託ポートフォリオの
中で適切な水準の分散を行うことができるようにし、投資家のコストを最小限の抑えるため
に、日本が統合のための基準や明瞭な手続きを定め、また投資信託契約の早期償還の障害を
削減することを提言する。
I-G. 純資産価値の算定における重大性の基準 米国は、日本で設定されたファンドの純資
産価値をいつ再算定しなければならないか、また投資家にいつ補償を支払う可能性があるか、
あるいは支払わなければならないかを規定する、主要な資産運用管轄地域の水準と比べても
遜色(そんしょく)のない、明瞭で妥当な「重大性」基準の制定を日本が奨励することを提
言する。
I-H. 大株主に対する機関投資家の開示規則 米国は、大株主(5%以上の株式保有)に対
する機関投資家の改正開示規則がポートフォリオ機関投資家に適用されることから、特に義
務付けられた報告の回数を減らすこと、(技術的進歩などにより)管理負担を緩和すること、
そして機密データや関連した投機的活動の漏出の範囲を減らすことに関して、日本がその見
直しをすることを提言する。
I-I. グローバル・カストディ 米国は、グローバル・カストディ・サービス業務に関する
規制手法に一貫性を与えるために、日本が金融商品取引法の下でこの業務の特性を明確にす
ることを提言する。

II. 透明性
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II-A. 米国は、金融庁が昨年中に実施されたノーアクションレター制度の改善など、日本の
金融法典の書面での解釈の拡充に努めていることを歓迎し、またこうした変更について民間
部門に説明したり、対話を行うといった金融庁の啓発活動を称賛する。書面での解釈は不確
実性を減らし、コンプライアンス(法令順守)を向上させ、金融サービス提供事業者の生産
的イノベーションを可能にする。米国は、金融庁が、以下の措置を含め、ノーアクションレ
ター制度やその関連制度など、書面での解釈の効率性を継続して高めることを奨励する。
II-A-1. 金融庁職員が、ノーアクションレター制度のさらなる積極的活用を促す。特に金融
庁内部では定まっているが、公の解釈が得られない問題について、日本の法をどのように解
釈すべきか、口頭でのアドバイスを求める企業にノーアクションレターで要請を受け入れる
ことを示す。
II-A-2. ノーアクションレター制度でカバーされない問題の解釈を利害関係者が求めること
を可能にし、既存商品やサービスに関する法律や規則の明確化の要請を含む、法令解釈に係
る書面照会制度をさらに積極的に活用する。拘束力はないとはいえ、書面照会制度は現行の
法規則や指針についての現在の金融庁の見解に関して、市場参加者の間の一貫した理解を促

進することになる。具体的には、米国は日本に対し、書面照会制度を使って、以下の措置を
取ることを提言する。
II-A-2-a. 金融庁担当官が口頭で非公式の照会を受けたり、誤解があるかもしれない問題に
ついて、書面で解釈を提供する。
II-A-2-b. ノーアクションレターの要請を拒否した事例を公表する。
II-B. 新BIS規制の実施に関して行ったように、金融商品取引法の実施を含む幅広い項目
について、「よくある質問」を金融庁のウェブサイトで公表する。
II-C. 正式な要請がなくても、日本の金融法の書面での解釈を提供する、その他の手段を確
立する。そのような解釈を提供しているモデルとして、米国証券取引委員会のウェブサイト
上の「テレホン解説」や「職員法律公報」そして「職員会計公報」が挙げられる。
II-D. 透明で予測可能な規則の解釈や検査過程は、健全な金融市場の発展にとって、また一
貫性、イノベーション、そして顧客と投資家の保護の間で適切なバランスを取るために重要
なことである。米国は、金融庁が金融検査に関する基本指針、検査マニュアル、行政処分の
基準を公表するなど、検査過程の透明性を高めるために取った措置を歓迎する。「ベター・
レギュレーション(より良い規制環境の構築)」を推進するための金融庁の取り組みに沿っ
て、米国は、金融庁が、個々の会社が会社特有の検査経験を開示することに神経質になるか
もしれないことを認識して、検査過程に関連した懸念や改善の可能性がある事柄について、
外資系金融機関や金融部門の業界団体と協議することを奨励する。
II-E. 米国は金融庁の取り組みを歓迎し、「金融・資本市場競争力強化プラン」が取りまと
められ、実施される今後数カ月間、金融庁、金融審議会、国内外の金融機関、そして関連団
体の間で対話を続けることを奨励する。法規則を立案する過程で外国企業を含む民間部門か
ら早期に意見を求めたり、規制の枠組みの込み入った変更のためにパブリックコメント手続
きの機関を延長することは、金融法規則が意図しない悪い結果をもたらすリスクを軽減する。


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●競争政策
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I. 独占禁止法(独禁法)の順守および抑止力の改善
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I-A. ハードコアカルテル違反に対する行政処分を強化する。 日本は、違反金を民間企業
が独禁法の「違反行為をする動機付け」を失わせる水準に設定することを保証する、という
独占禁止法基本問題懇談会(独禁法懇談会)の提言に従い、以下のことを要望する。
I-A-1. カルテルおよび談合行為に対する課徴金の基礎的水準を、違法行為に帰する売上高
の15%以上に引き上げる。
I-A-2. そのような違反行為において主導的役割を果たした企業に対しては、基礎額よりも
はるかに高い課徴金になるよう、課徴金算定率に加算要素の調整を加える。
I-A-3. 違法行為が終了した日から3年間という現在の排除措置命令および課徴金支払い命
令の除斥期間を延長する。
I-B. 課徴金減免制度を積極的に活用する。 公正取引委員会(公取委)の課徴金減免制度
は、2006年の履行以来非常に成功している。その有効性を高めるために、以下のことを要
望する。
I-B-1. 課徴金減免の申請者が過半数を保有するすべての企業、および妥当な場合は申請者
の親会社を、単一の課徴金減免申請者として取り扱う。
I-B-2. 公取委の調査に協力した企業に対して課徴金算定率を新たに減算する場合には、
減算を行っても、企業が課徴金減免制度へ参加する誘因が損なわれないことを保証する。
I-C. 刑法執行により抑止力を向上させる。 ハードコア独禁法違反の刑法執行は、効果的
な独禁法の抑止制度に不可欠な構成要素である。ハードコアカルテルに対する効果的抑止力
を保証するために、以下のことを要望する。
I-C-1. カルテルおよび談合行為に従事した企業に対する刑事罰と行政処分のへ併科を認め
た現行制度を維持する。
I-C-2. カルテル行為に係る独禁法の刑事違反の除斥期間を、現在の3年から5年に延長す
る。
I-C-3. 国際カルテル行為関連を含め、刑事訴追のために検察庁に委ねるカルテルおよび談
合事件の数を相当程度引き上げるよう努める。
I-D. 競争促進的単独行為の意図しない抑止を最小限に抑える。 事前にその合法性を容易
に確認することができない行為に対する相当額の金銭的制裁の可能性は、企業が競争促進的
単独行為に従事することを思いとどまらせかねない。競争促進的単独行為の過剰抑止を最小
限に抑えるために、以下のことを要望する。
I-D-1. 私的独占を構成する不公正な取引および排他的行為を、排除命令を行うことによっ
てのみ矯正する現行制度を維持する。

I-D-2. 仮に日本がそれでも排他的独占行為および一定の不公正な取引行為への課徴金の拡
大を決定した場合、とりわけ(a)企業にとっての合法的単独行為と違法な反競争的行為の
区別の難しさ、(b)違反の重大性および範囲、ならびに(c)消費者福祉に対する被害の程
度、といった要因を考慮に入れる、柔軟な課徴金算定率を備えた、新たな自由裁量の課徴金
制度を設置する。
I-E. 独禁法適用除外を見直す。 日本市場の競争は、残りの独禁法適用除外を見直し、こ
れを制限または解除することで高めることができる。独禁法適用範囲をさらに拡大するため
に、以下のことを要望する。
I-E-1. 欧州連合、オーストラリアならびに米国に続き、国際航空分野における特定の独禁
法適用除外を解除する。
I-E-2. 国土交通省による国際海運分野における独禁法適用除外の継続的必要性の検討を、
適用除外の解除または制限の方向で2007年度末までに終える。
I-F. 独禁法の順守に関するガイドラインを提供する。 健全な競争法執行の最良の経済的
かつ法的理解を反映した明瞭で透明な公取委の執行政策は、独禁法の順守を促進し、競争的
行為への熱意をくじかないことを保証する。この目的のため、米国は、公取委が特に1991
年流通・取引慣行ガイドラインの見直し・改正を行い、垂直的制限のための市場シェアに基
くセーフハーバーを大幅に引き上げること等により、市場の動きに関する現在の経済的理解
を反映させることを要望する。
I-G. 企業結合の事前届出手続きを改善する。
I-G-1. 独禁法上の株式取得事後報告義務を廃止し、企業結合および株式取得が事前取引届
出義務の目的上は、原則として同一のものとして取り扱われる制度を採用する。
I-G-2. 外国企業に適用される届出時期のいかなる改正も、国際競争ネットワーク行動規範
および2005年経済協力開発機構(OECD)合併審査に関する理事会勧告と矛盾しないことを保
証する。
I-H. 民営化が進められている分野における競争を推進する。 2007年10月1日の新たな
郵政事業会社設立とともに、民営化の工程が関連市場において効果的な競争を推進するよう
な方法で行われることは重要である。その目的を促進するために、以下のことを要望する。
I-H-1. 郵政民営化委員会および関係監督官庁が、公取委等から民営化の工程の競争政策的
側面および新たな郵政事業体の経営に関する意見を求め、それを検討することを保証する。
I-H-2. 競争市場の確保という見地からの公取委による日本郵政株式会社および新たな郵政
事業体の慎重な監視に基き、当該会社が独禁法に違反する行為に従事したことが発覚した場
合の厳密な処置の執行等により、当該会社が独禁法を完全に順守することを保証する。
I-I. 公取委の職員および資源を強化する。 大学院課程の経済学の学位を持つ職員のほか
に、審判官として外部法曹資格者を追加採用することに優先的に取り組んで、公取委の職員
および予算を引き続き安定かつ十分に増強する。


II. 公取委による行政および調査手続きの公平性および透明性の改善
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II-A. 審判手続きの信頼性および透明性を高める。 独禁法懇談会は、現在の事後審査型審
判制度を維持するために、「審判に対する信頼性・透明性を高める必要がある」と結論付け
た。国民および経済界に公取委の手続きが公正で偏見の無いものであることを保証するため
に、以下のことを要望する。
II-A-1. 公取委が排除措置命令案または課徴金納付命令案の事前通知を被審人に送付してか
ら命令を出すまでの間に、被審人は自身に不利な証拠を精査して、意見および証拠を公取委
に提出することができるが、その最低期間を2週間から大幅に引き延ばす。
II-A-2. 公取委は、外部法曹資格者の審判官の最低人数を定めるという独禁法懇談会の提言
に従い、いかなる事件における審判官団も外部法曹資格者が過半数を占めることを保証する
という目標を持って、外部法曹資格者の審判官の数を増やす。
II-A-3. 被審人、または審判によって影響を受ける者や事業体と関係がある者、特定の案件
の結果に経済的利害関係を持つ者、あるいはその他の利益相反を持つ者が、その案件の審判
官を務めることがないようにするために、公取委の利益相反規則を強化する。
II-B. 事前審査型審判制度へ回帰するための必要条件を明確にする。 公取委は、一定の条
件が満たされた場合は事前審査型審判制度を採用すべきであるという独禁法懇談会の結論に
基き、公取委による事前審査型審判制度の実施を認めるために満たされるべき条件、それら
を条件とする理由、ならびに公取委が条件を作成するために従おうと考えている工程を記し
た文書を公表する。
II-C. 警告の発行に関する規制を改善する。 独禁法懇談会の提言に従い、現行手続きに関
する適性手続き上の懸念に十分に応えるという目的を持って、公取委が警告を行う前に従う
基準および手続きに関する規則および警告を受けた者の名前を公表することに関する規則を
改善する。
II-D. 弁護士秘匿特権を認める。 公取委の審判および調査手続きを改正して、この分野に
おける優れた国際的慣行と一致させることを視野に、他の主要な競争法執行当局による弁護
士秘匿特権資料の取り扱いについての検討に着手する。

III. 談合への対応
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III-A. 談合に対する罰則を強化する。 談合を抑止するために、以下のことを要望する。
III-A-1. 談合に従事したことが確定したすべての企業に対する入札指名停止期間の下限基準
を6カ月に、特別な部類(誓約書の内容に違反した場合や首謀者であった場合等)に該当す
る企業に対しては下限基準を延長し、この指名停止が全国に適用されることを保証する。
III-A-2. 談合行為に従事した個人が競争入札に参加することを、最長3年間禁じる。
III-B. 調達における利益相反を防止する。 利益相反が談合を助長しないことを保証する
ために、職員が適当な期間、出身省庁と連絡を取ること、または出身省庁から受注実績のあ
る企業へ再就職することを禁じる規則を含め、政府職員による利益相反に対する規則を強化
し、そのような規則に違反した職員に対する罰則を強化する。

III-C. 官製談合を排除する取り組みを強化する。 官製談合を排除するための対策につい
ての経済界、政府職員ならびに国民の意識を高めるために、以下のことを要望する。
III-C-1. 公取委から中央政府省庁、政府系企業ならびに地方自治体に出された官製談合の再
発を防止するための改善策に関するすべての要請に加えて、そのような機関が履行した特定
の改善策を公表する。
III-C-2. 談合を助長した政府職員に重い制裁を科し、談合行為の助長に対する制裁を受けた
中央政府省庁、政府系企業ならびに地方自治体の職員数および各職員に科された制裁に関す
る情報を開示する。
III-D. 行政措置減免制度を拡大する。
III-D-1. すべての中央政府省庁、政府系企業ならびに地方自治体が、公取委の課徴金減免制
度を認められた企業に対し、入札指名停止期間を大幅にまたは相応に短縮する行政措置減免
制度を採用するよう促進する。
III-D-2. 行政措置減免制度を採用した中央政府省庁、政府系企業ならびに地方自治体の一覧
等、2006年5月23日に閣議決定された「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措
置に関する指針」の改正の履行に関する調査結果を2007年度末までに公表する。
III-E. 調達慣行の改善で談合を防止する。
III-E-1. 中央政府省庁、政府系企業ならびに地方自治体による、契約発注のための総合評価
入札制度の採用を拡大する。
III-E-2. 一般競争入札制度の拡大、電子入札制度の設置ならびに入札契約関連情報の公表等、
公共工事に関する適切な入札および契約を促進する対策を講じることを求めた、2007年3
月の国土交通省および総務省から地方自治体への要請を促進するために、これらの対策の履
行に関して地方自治体を調査し、2008年3月までに各地方自治体ごとにその結果を公表す
る。
III-E-3. 談合や他の不正行為事件を通報するための「内部告発」窓口を設置するよう地方自
治体を奨励する。
III-E-4. 地方自治体および中央政府省庁の地方局が主導する契約の入札参加資格者を、その
地方の企業に限定しないことを保証する。


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●商法および司法制度改革
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I. 効率的な企業再編および株主価値の推進
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I-A. 近代的合併手法の見直し 外国企業が三角合併の手法を用いて日本企業の株式を取得
することを可能にする会社法の規定が2007年に5月に導入されたが、そのような取引にお
ける税務上のキャピタルゲインの認識を繰り延べる要件が過度に煩雑なため、この手法が効
果的に利用されない可能性がある。課税繰り延べ規則が外国投資家が三角合併を用いる能力
を不当に阻害しているかどうかを確認するため、米国は日本に対し、2007年5月以降に外
国投資家が日本企業を合併する際に三角合併手法が用いられた回数について、また事例がほ
とんど無い場合には、この問題に対処するために日本が取る措置について詳述した報告書を、
2008年8月までに作成することを提言する。
I-B. 敵対的買収対抗策における株主利益の保護
I-B-1. 日本企業による買収防衛策の導入について、経営陣の利益ではなく株主利益を保護
しているか、また経済産業省の企業価値研究会が2005年に公表した買収防衛策に関する指
針だけでなく、東京証券取引所の目標および規定にも合致しているか判断するため、2008
年4月までに調査を実施し公表する。敵対的買収対抗策が株主利益を害することがないよう
確保するため、どのような追加的措置が必要かについての提言を含める。
I-B-2. 企業が受けるあらゆる株式公開買付(TOB)についての見解および提言を提供す
るため、すべての株式公開企業が真に独立した取締役によって構成される委員会を設置する
よう義務付ける。その独立取締役委員会の見解および提言、また妥当な場合には、同委員会
の見解および提言が取締役会で採択されなかったの理由について、取締役会による「意見表
明報告書」に盛り込むよう義務付ける。

II. 優れたコーポレートガバナンス(企業統治)の強化
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II-A. 活発かつ適切な議決権代理行使の促進
II-A-1. 少なくとも株式公開をしている大企業については、議決権代理行使の書類を株主総
会の4週間以上前に株主に提供するよう義務付ける。
II-A-2. 厚生労働省の1997年および2002年の年金基金の資産運用管理者の役割および義務
に関するガイドラインの改正やその他の手段を通じ、議決権は受益者の利益のためだけに行
使するという年金基金の資産運用管理者の受託者責任を明確化する。
II-A-3. ファンドまたは信託への投資者の利益のために判断し議決権を代理行使するという、
ミューチュアルファンドおよび投資信託の資産運用管理者に課する明確な受託者責任を確立
する。
II-B. 独立取締役による株主利益保護の向上
II-B-1. 少なくともすべての株式公開をしている大企業および単独の支配株主を持つ株式公
開企業について、2009年度初めまでに2人以上の独立した社外取締役を取締役会に含める
よう義務付けることで、株式公開企業における独立取締役の数を増やす措置を講じる。

II-B-2. 以下の措置を講じることで社外取締役の独立性を確保する。
II-B-2-a. 会社法における社外取締役の定義を改正し、少なくとも以下に該当する者も除外
する。(i)当該企業と重要な取引があった者もしくは当該企業と重要な取引関係がある企
業の従業員、または(ii)当該企業と重要な取引があった者の近親者もしくは当該企業と重
要な取引関係がある企業の役員。
II-B-2-b. 社外取締役の定義について、取締役の独立性の判定に係るニューヨーク証券取引
所またはNASDAQの上場基準とおおむね合致する上場規則あるいは指針を導入するよう、
東京証券取引所および他の日本の証券取引所を促す。
II-C. 少数株主の利益の十分な保護の確保 少数株主の利益が十分に保護されることを確保
することを目的に評価および提言を行うため、企業価値研究会を開催する。その際、企業価
値研究会に対し以下の指示を行う。
II-C-1. マネジメント・バイアウトや株式公開買付における少数株主権の保護について、ま
た、買い付け価格の客観的評価および支持を確保するため、第三者の公正意見および評価意
見の公表を買付者に対して義務付けることの有益性について検討する。
II-C-2. 投資価値が失われる前に保護する役割を果たす既存の規則および手続きの妥当性に
ついて判断する。
II-C-3. 特に支配株主と当該会社との間における関係者間取引に関して、また少数株主のス
クイーズ・アウト(追い出し)に際しての適正価格および公正な取り扱いの確保に関して、
支配株主の受託者責任およびその他の法的責任の妥当性について評価する。
II-C-4. 国内外双方の投資家を委員に含めるとともに、法務省の会社法担当者に積極的な役
割を担わせる。

III. 日本で適法に事業を行う外国企業の保護
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III-A. 日本法人化手続きの導入 外国企業が日本法人と合併または日本法人に転換するた
めの簡潔な手続きを設けるため、会社法を改正する。またそのような日本法人化に係る日本
の税制が、外国企業がこれらの手続きを用いることを過度に阻害することのないよう確保す
る。
III-B. 第821条の影響の監視 会社法第821条の外国企業に対する影響について引き続き
注視するとともに、日本における外国企業の適法な営業活動が悪影響を被ることのないよう、
必要に応じて同条の改正を行う。

IV. 司法制度改革の実現
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IV-A. 専門職法人および支所設置の容認
IV-A-1. 外弁が、支所を設置する資格など、日本の弁護士の専門職法人と同一条件で、ま
た同等の利益を享受できるように、専門職法人を設立することを許可する。

IV-A-2. 外国弁護士事務所ならびに日本にいるその弁護士および外弁パートナーを含むす
べての弁護士事務所が、専門職法人の設立にかかわらず日本国内に複数の支所を設置するこ
とを認める。
IV-B. 弁護士に対する国際的法務パートナーシップとの自由な提携の容認 単独か、また
は他の弁護士もしくは外弁とのパートナーシップを通じてかにかかわらず、日本の弁護士が、
日本国外で弁護士の国際的パートナーシップのメンバーになることに対して、法律あるいは
弁護士会規則による制限がないことを保証する。
IV-C. 外弁に対する最低資格基準の見直し 原資格国法に関する実務に費やしたすべての
期間が、その経験を得た環境にかかわらず、外弁資格に必要な3年間の職務経験要件に算入
されるよう、外弁法を改正する。
IV-D. 裁判外紛争解決手続(ADR)の促進 外弁が、日本で行われるあらゆる国際的ADR
において中立的第三者として活動すること、また当事者を代理することができることを
明確に許可するため、外弁法を改正する。


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●透明性
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I. 市民参加による政策策定―審議会等
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米国は、政策および規制問題等ついて意見を述べたり提言を行うすべての審議会および他
の政府委任による委員会の開放性および透明性の日本政府による保証は、それらの審議に利
害関係者の意見が反映されることを保証する上で必要であると考える。米国は日本に対し、
1999年4月の閣議決定にその概要が示された審議会等に関する一般的な指針に、すべての
審議会および委員会等の設置および運営において基本的な透明性基準を確保する特定の条件
を補足することを引き続き求める。具体的には、米国は日本に以下のことを要望する。
I-A. 関係省庁に下記のことを義務付けることで、委員会等に関する公的にアクセス可能な
情報を充実させる。
I-A-1. 委員会等を組織する意向の通知と設置工程についての情報を公表する。
I-A-2. 一元化された公的にアクセス可能な委員会等およびその委員の電子的リストの作成
を継続する。
I-A-3. 原則として、委員会等の会合の詳細な議事録および配布資料を公開する。
I-B. 以下の措置等を通じて、委員会等の審議および提言に対する意見を提出する十分な機
会を利害関係者に与えることを省庁に義務付ける指針を発布する。
I-B-1. すべての利害関係者に対して、委員会に参加する機会が適切な範囲内において最大
限に与えられることを保証する。
I-B-2. すべての利害関係者に対して、委員会等による審議期間を通じて政策策定に意見を
提供する十分かつ意義のある機会を与える。
I-B-3. 利害関係者が議論の準備をしてこれに参加できるようにするために、審議会や委員
会等の会合を十分事前に公表する。
I-C. 上に概略を述べた政府任命による委員会の運営に適用される特定の条件および義務を
改善することに加え、米国は、日本が委員会の透明性の確保に関するベストプラクティスの
指針を2008年末までに一元的に作成し、日本政府のすべての省庁においてその使用を積極
的に促進することを要望する。

II. パブリックコメント
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日本がパブリックコメント手続き(PCP)を履行する際、米国は、日本が行政手続法の
影響を監視し、同制度の有効性を高めるための新たな措置を講じることを強く奨励する。
II-A. 現在のPCP制度を改善するため、米国は日本に下記のことを要望する。
II-A-1. 十分なパブリックコメントの募集期間(最短30日間、基本的には60日間)を提供
する。短期間の募集にする必要がある緊急な案件の場合、明確な説明を書面により行う。

II-A-2. 利害関係者が問題を分析し、意義ある意見を準備するために十分な時間が与えられ
るよう、規制案を可能な限り早い時期に公表する。
II-A-3. 省庁がパブリックコメントを十分に検討し、適切な場合はその意見を最終的な規制
に盛り込むことができるよう、十分な時間を与えることを保証する。
II-A-4. 提出された意見に対し適時かつ意義ある方法で回答する。
II-B. 米国は、日本政府が引き続きPCPの履行調査を行い、履行に関する指針を発布する
ことを要望する。さらに米国は、日本がPCPに関する行政手続法の改正の有効性の徹底的
な評価に着手し、その評価結果を公表し、また、それらの結果に対して国民が意見を提出す
る機会を与えることを要望する。
II-C. 日本の行政手続法では義務付けられていないが、米国は、日本の省庁が利害関係者に
対して法案作成の早い段階にその法案を認知し、意見を述べるための機会をさらに多く与え
ることを要望する。

III. 規制および規制執行の透明性
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米国は、民間部門が政府の規制解釈を含む規制を順守し続けるために必要な情報に加え、
規制に関する十分な情報を得られることを保証するために、日本が省庁に対し、各省庁の規
制および政策または一般的に適用される規制の解釈に関するすべての声明の公表を義務付け
ることを要望する。また米国は、日本が規制を起草する際に、恣意(しい)的で一貫性のな
い解釈を防ぐために、平易な日本語の使用を促進することを求める。

IV. 高い透明性慣行基準の促進のための日米協力の強化
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米国は、将来の自由貿易協定の参考として、両国政府が共同でAPEC透明性基準の履行お
よびAPEC透明性モデル措置の採用を促進するなどの措置を通じて、アジア太平洋地域全体
にわたる投資およびビジネス環境の改善に向け、同地域の透明性基準を高めるべく、引き続
き2国間の協力を強化することを要望する。

V. 国内法の翻訳
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米国は、日本が最も関心の高い国内法の英訳作業を継続すると同時に、外資系企業との密
な意見交換を継続することを奨励する。
VI. 規制策定の履行
米国は、新たな規制の対象企業が同規制を順守するに至るための公平な機会を与えるため
に、省庁が規制施行の合理的延期(最低30日間)を確実に実施するよう、日本が保証する
ことを要望する。また米国は、履行指針または履行規制等、明確化を図るための資料を、規
制の公表後できるだけ早く開示することも要望する。


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●その他の政府慣行
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I. 保険の窓口販売
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I-A. 金融庁は、弊害防止措置の実効性についてモニタリングを行った結果、2007年9月に、
銀行の保険販売手法には重大な問題はないとの結論に至り、スケジュール通り2007年12月に
銀行の窓販チャネルの全面自由化を行う予定である。米国はこの結果を歓迎し、金融審議会
の提言通り、すべての保険商品の銀行窓販チャネルにおける販売の全面解禁が、予定通り
2007年12月に遅滞なく行われるよう日本に求める。
I-B. 米国は、中小金融機関が関係企業に対して販売できる第3分野商品の保険金額を1000
万円までとする上限規制について、2007年12月の全面解禁前に見直し、必要があれば改正す
るという日本の約束を歓迎する。米国は、第1分野および第3分野の保険商品を提供する事
業者への不当な不利益をなくすため、第1分野および第3分野商品に対する1000万円の上限
規制を撤廃するよう日本に要望する。
I-C. 米国はさらに、預金やローン残高といった銀行顧客に関する一定の「非公開金融情
報」に関して、何よりも提案する保険商品が顧客に適合したものであることを確実にするた
めに、銀行代理店が他の金融サービス商品を販売する時と同様にこれらの情報を事前に確認
することが可能になるよう、これらの情報の使用に関する制限を見直し、必要に応じて改正
するよう提言する。
I-D. 米国は、消費者保護の強化を目的とした不適切な販売手段を防止する関連諸規則が、
特定の商品や販売手法、サービス提供者を優遇することなく作成・実施されるとの日本の確
認を歓迎する。米国は、このような規則の作成や実施に当たり、利害関係者に対して意見を
表明する時宜にかなった機会を提供することを引き続き保証するよう日本に要望する。

II. 共済
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共済は日本の保険市場において民間と直接競合する保険商品を提供し、相当な市場シェア
を有している。共済に関する一貫した規制体制の欠如は、企業ならびに保険契約者に健全か
つ透明な規制環境を提供する日本の能力を損なうものであり、共済に民間の競合会社に比べ
て大幅に有利な立場を与えている。中には、この有利な状況を市場シェアや商品提供の拡大
のために利用し続けている共済もある。従って、米国は以下の措置を取ることを提言する。
II-A. 特に、さまざまな所管省庁によって規制されている共済に関しては、民間の競合他社
と同一の法律、要件、基準を適用し、同じ監督省庁によって監督することで、民間の競合他
社との間の平等な競争条件を確保する。同一の競争条件を整備するための第一歩として、民
間の保険サービス提供者を監督する際の金融庁の基準との適合性を判断するため、共済の監
督や検査に関する規則と規制の徹底的な見直しを行う。
II-B. 「少額短期保険者」制度の下で金融庁により規制される共済に関しては、保険業法に
定められた期間内に、透明な形で詳細にこの制度を見直す。そのような共済は、金融庁に認
可された保険会社と直接競争関係にあるという点において、保険業法の下、保険会社として
規制されるべきで、民間会社と同様に取り扱われるべきである。そのほかの無認可共済は、
正当に保険業法の対象とすべきかを判断するため、金融庁が監視すべきである。


III. 保険契約者保護機構
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2006年4月に施行された改正保険業法は、3年以内に保険契約者保護機構の財源制度を見
直すと規定している。日本が生命保険および損害保険の契約者保護機構の見直しの準備を開
始するに当たり、米国は、現行制度が失効する前に、より効率的で持続可能なセーフティー
ネット制度を確保するため、日本が事後拠出方式への移行を含む措置を取ることを提案する。
米国は、金融庁および関連する審議会等が、見直しの過程で意見聴取のための有意義な機会
を提供すると日本が確認したことを歓迎する。米国は日本に対して、以下の事項を要望する。
III-A. 関連法案およびその他の措置案の準備を、審議会による審議へのアクセスやパブリ
ックコメント手続きなどを通して、透明な形で行う。
III-B. 現行制度が失効する前に効率的で持続可能なセーフティーネット制度を確保するた
め、事後拠出方式への移行など、保険契約者保護機構があくまでも最終手段として利用され
るようにするための措置を講じる。

IV. 外国保険会社の事業の日本法人化
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米国は日本に対し、日本において支店方式で営業を行っている外国保険会社が、日本法人
化を希望する場合、保険契約者とその他の債権者を保護し、かつ事業の継続性を維持するよ
うな途切れのない形での移行を可能にする手続きが取れるように必要な措置を講じることを
要望する。米国は日本に対して、具体的に以下の事項を要望する。
IV-A. 保険業法の包括移転規定および業務譲渡規定を次のように改正する。
IV-A-1. 保険契約販売停止規定を廃止する、またはこれに例外規定を設けることにより、
「即日」組織変更を認める制度を新設し、日本法人化を認める会社法のいかなる改定も、保
険業法で認められるよう確保する。
IV-A-2. 日本の保険会社の合併および会社分割で認められているものと同様の手続きを可
能にするべく、すべての債権者に対する情報開示、公告およびみなし承認についての法定手
続きを新設する。
IV-A-3. 金融庁の認可と債権者の認可を受けた取引において、譲受会社が、譲渡会社のす
べての資産と債務を承継することを認める。
IV-A-4. 金融庁による譲渡取引審査において、譲受会社が譲渡完了後に譲渡前と同一の条
件と取引方法を履行できることを証明することを条件に、許認可の「みなし免許」を認める。
IV-B. 日本国内における外国保険会社の事業の株式会社化、日本法人化、合併、営業譲渡
の税務面の取り扱いが大体同等であり、外国保険会社のこれらの手続きを利用する能力を不
当に妨げないことを確保する。

V. 領事関連
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V-A. 再入国許可証 日本国外の滞在期間の長さにかかわらず、日本の法律は外国人居住者
に日本国外へ渡航する際、再入国許可証の取得を義務付けている。許可証の取得をせずに、
日本を出国した査証保持者は、日本での居住資格を失いかねない。再入国許可証の取得は、
金銭的にも利便性の面でも負担が大きい要件であり、特に日本に居住するビジネスマンおよ
び他の資格での居住者にとっては、急な渡航の必要性に迫られた時は負担となっている。こ
れらをかんがみ、米国は、再入国許可証を1年以上の特に長期の渡航に限り義務付けられる
ものとするよう、移民規制を変更するための措置を日本が講じることを奨励する。
V-B. 外国人家政婦のための特定活動査証 日本在住の米国人は、企業役員が個人的に雇用
する家政婦のための特別活動査証の発給に非合理な規制があると不満を訴えている。米国は
日本に対し、日本在住の外国人コミュニティーにこのような懸念が存在するということを考
慮し、可能な場合には状況を改善するための解決策を見つけるよう要望する。

VI. 規制改革特別区域(特区)
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米国は、営利を目的とした医療関連企業が構造改革特区の中であらゆる医療を提供するこ
とを可能にするなど、日本が特区制度を一層拡大するよう提言する。米国は、日本が引き続
き透明な形で特区制度を運営し、特区措置を全国規模でより広く展開することを求める。

VII. 農業に関連した政府慣行
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米国は、日本が本イニシアティブの下に、消費者を保護し、食料供給を確保する、より科
学知見に基づいた国際基準を採用することによって、農産物貿易の促進を図っていることを
歓迎する。国際基準の採用によって、貿易環境の効率性および関連諸規則の透明性が高めら
れている。従って、米国は、日本が次の追加的措置を取ることによって、引き続き貿易が促
進されるよう求める。
VII-A. 有機農産物貿易を促進するという目標の下、有機農産物に使用される生産資材の安
全性を評価するに当たり、また、現行の残留農薬政策を修正するに当たり、科学知見に基づ
いた基準を採用する。
VII-B. この制度の下で取られるいかなる措置も貿易を制限することが極力少なく、輸入産
品に対して内国民待遇を与え、かつ国際慣行に従った最大残留農薬基準制度を実施する。
VII-C. FAO/WHO合同食品添加物専門家会議によって安全と認められており、かつ世
界各国で使用されている20種類の食品添加物の審査を完了する。26種類の添加物について
は過去1年間に認可されたが、まだ多数の食品添加物が残っている。
VII-D. 動物性食品の貿易拡大を促進するため、国際獣疫事務局の協定に従った、科学知見
に基づく基準を適用する。
VII-E. 公的防除およびリスク分析に関する国際植物防疫条約基準に基づいた病虫害分類と
調和する植物検疫制度を実施するために、すでに行われている2国間の協議および取り組み
を加速させる。


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●民営化
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I. 公社・公団の民営化
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日本が公社・公団の再編および民営化を実施するに当たり、米国は日本に対しすべての市
場参加者に対等な競争条件を構築することを求める。米国はさらに、市場に影響を与える事
項について国内および外国民間企業が意見表明・意見交換を行う有意義な機会が与えられる
よう確保すること等により、前述の措置が透明な形で講じられることを提言する。

II. 日本郵政公社改革
━━━━━━━━━━━━━━━

米国は、日本郵政公社の市場志向型の改革が精力的に実施されれば、競争を刺激し、資源
の一層の有効活用につながるなど、日本経済に利益をもたらすと認識している。米国系企業、
日本企業およびその他の民間企業に比べて郵政事業に長期にわたり付与されてきた優遇措置
を撤廃するために、また、新たな優位性を持つことがないようにするためにも、完全な市場
志向型の改革の実施が必要である。これらの改革を実施するに当たり、新しい日本郵政グル
ープ各社と民間企業の間に対等な競争条件を確立するという法律の原則を実現するため、必
要なすべての措置が講じられることが重要である。
II-A. 郵便貯金と郵便保険の対等な競争条件と金融システムの安定
ゆうちょ銀行およびかんぽ生命は2007年10月の移行期当初から、政府保証付き商品の提供
を停止し、民間企業と同じ納税義務および法律上・規制上の義務を満たすことが義務付けら
れ、また日本郵政株式会社とともに民間企業と同様の監督および開示基準の適用を受けるこ
とになるとの日本による確認を、米国は歓迎する。米国はまた、民営化された郵政金融機関
が実際に、民間の金融機関と同様の免許、情報開示および監督基準を客観的に満たすことを
保証するための措置が取られるとの日本の確約に励まされている。さらに、資本関係にある
新しい郵政グループ各社がアームズ・レングス・ルールに基づいた関係にあること、そして
関連法の下で創設された新たな会社間で内部相互補助(ゆえに、リスクの移転)が許される
ような制度が存在しないことを確認したことを米国は歓迎する。銀行法と保険業法に基づく
ゆうちょ銀行とかんぽ生命に対する監督および検査について権限を持つ唯一の機関である金
融庁は、金融システムの安定が脅かされることのないよう、各社が有効なリスク管理を整
備・実行することを確保するため、重大な役割を担う。米国は日本に対し、上記措置の完全
な実施を確保することに加えて、次の追加的手段を講じ、新しい日本郵政グループ各社と民
間企業との間の競争条件の対等化を図るという郵政民営化法の目的を達成するよう求める。
II-A-1. 商品の流通と販売網
郵便局会社を通じて金融商品を提供するに当たり、民間企業がその(選定)競争において
業界のベストプラクティスに合致した平等で透明なアクセスを与えられることを確保し、ま
たアームズ・レングス・ルールの規則に基づき、日本郵政株式会社とゆうちょ銀行ならびに
かんぽ生命との関係が真に市場ベースのものになることを確保する。 さらに、郵便局会社
とその職員が、預金の受入れや貸し付け、為替取引または保険商品の販売など、いかなる金
融取引の代理や媒介を行う場合にも、金融庁の監督を受けることを保証する。

II-A-2. 預金と再保険の関係
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(公社承継法人)がゆうちょ銀行ならびに
かんぽ生命との間でそれぞれに交わす預金と再保険に係わる契約には、下記の必要なすべて
の措置が含まれるようにする。
II-A-2-a. (2007年10月より前に保有していた)旧勘定および旧契約と、2007年10月以降の新
勘定および新契約とを完全に分離することにより、完全なリスク分断を保証し、預金保険機
構と生命保険契約者保護機構が旧勘定および旧契約について責任を負うことのないよう確保
する。
II-A-2-b. 預金と再保険契約が完全にアームズ・レングス・ルールに基づくよう保証し、そ
のような取り決めによって新しい郵政金融機関同士が内部相互補助を行うことのないように
する。 透明性については、再保険料の算出方法を公開する。
II-A-2-c. 公社承継法人の黒字、赤字を含めた財務状況と再保険取引が一般に公開され、日
本の一般会計基準に基づいて報告されるようにする。
II-A-3. 暗黙の政府保証
日本郵政株式会社が郵政金融機関の保有株式を完全に売却する時までを含め、2007年10月
以降に提供する商品に政府保証が付されないことを消費者や市場に周知させるための有効な
方策を講じる。加えて、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の業務範囲を拡大する前に、またその後
定期的に、2007年10月以降の新勘定および新契約にも政府保証が付いているかのように偽っ
て伝えることがないよう、実際の販売方法を注意深く監視し関連法を執行するとともに、郵
政金融機関が政府との関係を利用して市場の競争相手より優位な地位を獲得するようなこと
がないようにする。
II-A-4. 独禁法の執行
公正取引委員会の適切な調査とその他の措置を通じて、日本郵政公社の民営化と改革が、
自由な競争、透明性とアームズ・レングス・ルールに基づく商慣行、競争政策の効果的な実
施、そして規制改革を促進するような形で行われることを確保する。
II-A-5. 社会・地域貢献基金
基金の透明な運用(費用配分方法やその計算に用いられる費用と収入のデータ、基金の配
分の十分で定期的な情報公開を含む)を確保し、さらに、民営化された郵政金融サービス提
供会社にのみ不公平に利益が生じ、ほかの国内企業や外国企業には生じないことを防止する
ために、内部統制や透明で正確な支出基準などの措置を講じる。
II-A-6. 資産評価
独立監査人が独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(公社承継法人)のすべての
資産、負債、準備金を評価し、この評価結果がすべて一般に公開されることを確保する。

II-A-7. 内部相互補助
日本郵政株式会社の子会社の独立した運営について透明性を確保するため、内部相互補助
を排除するために導入した措置およびその有効性について、当該子会社の独立監査人が意見
を報告するよう要望する。
II-A-8. 金融庁の要員確保
米国は、金融庁が新しい日本郵政グループ各社の金融関連法および規則のコンプライアン
スを審査する要員を確保したとの情報を歓迎し、金融庁が、民間企業に適用されるすべての
規則の下で、他の市場参加者と共に内国民待遇に基づき、郵政金融会社を適切に規制できる
よう、金融庁の通常の監督部門職員から十分な要員およびその他の資源が提供されるよう日
本に求める。
II-B. 競争条件と新商品導入
郵政金融機関が、新たな貸し付け業務や、かんぽ生命による新たな、または変更された保
険商品の導入、ならびにゆうちょ銀行による元金無保証型投資商品の元売りを認可される前
に、郵政金融機関と民間金融機関の間に対等な競争条件が真に確立していることを、米国は
日本に求める。米国は、金融サービスまたは保険商品の販売および流通に際して、金融庁が
銀行法および保険業法の下、ゆうちょ銀行とかんぽ生命に対して民間の金融機関と同一の基
準を適用するとの確約を歓迎する。米国はさらに、新たな、または変更された商品が市場に
ひずみを生じさせないことを確保するために、郵政民営化委員会が新商品の認可申請に関し
所見を述べること事を歓迎する。対等な競争条件を達成することには、新たな、または変更
された商品や特約を導入する時を含めて、日本郵政グループ各社が内国民待遇に基づき客観
的に他社に適用されるものと同様の義務を適用されることを含む。従って米国は日本に対し、
郵政金融機関を効果的に監視し、同機関が民間同業社と同様に、法律と規則を順守するよう
確保することを求める。また、改革の過程およびその実施が、日本の世界貿易機関(WTO)
上の義務、特にサービスの貿易に関する一般協定(GATS)の内国民待遇原則と相反しな
いよう求める。
II-C.エクスプレス貨物サービスの公正な競争
米国は日本に対し、郵政民営化法第2条にある「対等な競争条件」を新しい日本郵政グル
ープ各社と民間のエクスプレス貨物輸送会社の間に確保するために必要なすべての措置を取
ることを、引き続き求める。その際、米国は日本に対し、以下の措置を講じて完全に対等な
競争条件を作ることを求める。
II-C-1. 民間のエクスプレス貨物運送業者に適用されているものと同等の通関手続きを、郵
便事業会社が取り扱う郵便および小包に適用する。特にEMSについて、米国は日本に対し、
現在日本の規則により適用されている「賦課課税」方式ではなく、「申告納税」方式が確実
に適用されるよう求める。
II-C-2. 通関情報処理システム(NACCS)にまつわる費用や通関申告書類にまつわる費用など、
郵便事業会社に対しても同等の通関費用の支払い義務を課す。
II-C-3. 郵便事業会社の取り扱うものに対し、民間のエクスプレス貨物運送業者に適用され
る同等の安全と保全関連法規を適用する。

II-C-4. 民間会社に課されているものと同じ基準で事業別に情報を開示することを義務付け
る等、郵便事業会社の事業間および他の日本郵政グループ各社との間で内部相互補助が発生
しないことを示すに足る、日本郵政株式会社とその子会社との間の取引を含む郵便事業会社
の事業に関する情報を開示するために必要な措置をすべてを取る。
II-C-5. 国土交通省による新しい日本郵政グループ各社の監督が、民間企業に適用されるも
のと同じ基準で行われることを確保する。
II-C-6. 郵便事業会社の物流や郵便事業を民間企業と同じ課税対象とし、またこれらの事業
を航空安全および保安規制の対象とする規制案を公表し、最終的に決定した規制を適時に実
施する。また、EMSが同じ運輸法規制にのっとり、国土交通省によって監督されることを
保証し、郵便事業に関しては貨物運送法規制に従って監督する。
II-D. 透明性
米国は、最終決定がなされる前に利害関係者の意見が考慮される十分な機会が提供される
ことを含め、これらの改革が完全に透明な形で実施されることを確保するため、日本がすべ
ての必要な措置を講じるよう要望する。これは、最終決定が競争環境に影響を与え、ひいて
は日本郵政グループの金融サービスとエクスプレス貨物サービス分野における民間の競合者
の事業に影響を与える可能性がある意思決定過程において、とりわけ重要である。米国は日
本に対して、具体的に以下の措置を取るよう求める。
II-D-1. 郵政民営化委員会を含む日本政府が招集する委員会またはその構成要素が、民間部
門に影響を及ぼす可能性のある問題について議論を行う際、米国系企業および他の外国企業
を含む民間の利害関係者が積極的に貢献する有意義な機会が提供されるよう確保する。
II-D-2. 市場における改革の影響や新しい日本郵政グループ各社と民間会社との間の対等な
競争条件の程度について、すべての利害関係者が意見を述べる有意義な機会を提供するなど、
日本郵政公社改革の定期的な(つまり年次の)公開審査を行い、加えて日本郵政グループ各
社のコンプライアンス状況について、現在民間会社に適用されているものと同じ法律および
規則に基づき、透明な形で検証を行う。
II-D-3. 民間企業に影響を及ぼす可能性のある日本郵政公社改革について、民間の利害関係
者に日本政府の関係職員と意見交換をする有意義で時宜を得た機会を提供する。
II-D-4. 日本郵政公社改革にかかわる事項について整備される施行規則、ガイドライン、政
令その他の命令、実施計画およびその他の措置について、パブリックコメント手続き、なら
びにそのほかの手段によって一般の意見を求める。また、それらの意見が十分に考慮され、
必要に応じて最終決定前に措置案に盛り込まれるよう確保する。
II-D-5. 政府が招集する諮問機関における審議資料や議事録など、日本郵政公社改革の計画
と実施に関する情報を、ウェブサイト掲載や記者会見、またその他の手段で、引き続き適時
一般に公開することを確保する。


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●流通
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I. 空港着陸料および使用料
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米国は日本に対して、ビジネスおよび観光を取り巻く日本の環境を改善し、経済に活気を
もたらし、また日本の消費者と産業界にとって共に有益となる成田、関西、および中部国際
空港における空港着陸料と使用料のさらなる引き下げを求める。国内・国際線のいずれにつ
いても、着陸料およびその他の使用料は、透明性を高くすべきであり、また国際民間航空機
関やその他の機関の指針に沿って、空港滑走路と施設に関連するコストと直接関連している
べきである。

II. 空港拡張およびオペレーション
━━━━━━━━━━━━━━━

成田国際空港と羽田空港では、共に2010年より容量が増加される意欲的な拡張工事が進
められている。日本と米国の航空当局の間では、容量拡張に関する市場アクセスを含む事項
に関する協議を、2008年の夏までに再開するとの合意がなされている。この工事の計画立
案および、成田の場合は資金調達のプロセスは完全な透明性が確保されておらず、米国航空
会社を含む海外の航空会社は、新たなスロットが2010年に使用可能となる際の空港使用に
関する計画設定に関して、意見を有意義に提示する十分な機会が与えられていないとの懸念
がある。これらの懸念には、成田国際空港での2本の滑走路の運営方法や国土交通省が構想
する羽田空港のスロットの使用を限定する数多くの規定やその他の規則が含まれる。以上の
事項は2008年夏までに再開される日米航空協議で取りあげられるが、米国は日本に対し、
以下の措置を求める。
II-A. 両空港に関する新たな規則や手続きを整備する期間を通じて、外国の航空会社が、
適時で透明性のある協議プロセスを通して、意見を述べる有意義な機会を持つことを確保す
る。
II-B. 航空会社に柔軟性を提供する規則や手続きを支持し、空港の最も効率的な使用を確保
する。このような決断は、首都圏における旅客の選択肢や貨物の動きに対して、今後何年に
もわたり重大な影響を与えることになる。

III.通関処理の効率向上
━━━━━━━━━━━━━━━

米国は、日本で認可事業者制度(AEO)を構築する日本政府の取り組みを歓迎する。こ
れに関し、米国は、日本がコンプライアンスに優れた通関業者に以下の措置を適用すること
を提案する。
III-A. 2段階方式の輸入通関申告
通関職員が日中の業務時間中にのみ作業し、エクスプレス業者が輸入品を通常の業務時間
外に迅速に通関できるよう、引き取り申告と関税の納税申告を別にする通関制度を導入する。
III-B. 事後の輸出申告
通関業者が輸出をした後に申告を行えるシステムを導入する。申告手続きは米国で行うこ
とができ、成田空港で時間制限があるために必要な迅速な輸出手続きに有効である。

III-C. 申告のための通関事務所の選択の自由
通関情報処理センター(NACCS)を利用する通関業者は、貨物の仕向地への配送をより迅速
に行うことができるようにするために、通関事務所の担当区域に限定されず、利便性のよい
通関事務所でエクスプレス貨物の申告を行うことが認められるべきである。
III-D. 過剰請求料とNACCS料の引き下げ
円滑で迅速な通関申告手続きを促進するため、過剰請求料とNACCS料を引き下げる。

IV. 免税輸入限度額
━━━━━━━━━━━━━━━

税関の作業を軽減しながら効率性を向上させるという世界的な傾向に従い、米国は日本に
対し、関税法による免税輸入限度額を現行の1万円から200米ドル、つまり日本円換算で約
2万5000円程度の水準まで引き上げることを提言する。

V. 集配車両のための駐車スペース
━━━━━━━━━━━━━━━

米国は、ゆうパックやEMSを運ぶ車両を含め、集配車両に対する駐車規制や道路交通法
の適用は平等に行われるという確認を歓迎する。改正道路交通法(2006年6月1日施行)
の影響に照らして、米国は日本、特に国土交通省と警察庁に対し、改正法の施行により駐車
場不足の発生している都市中心部での集配車両用の駐車場の増設を助ける措置を取るよう求
める。従って米国は日本に対し、以下の措置を取ることを提言する。
V-A. 主要道路において駐車場、短時間用の荷さばき場、集配場を増設する。
V-B. 関係省庁と地方自治体で政策を調整し、混雑した地域での流通活動を促進するための
地方自治体の措置の導入を促す。
V-C. 混雑が集中する都内の道路において、すべての集配車両に対して駐車規制を公平に適
用するよう確保する。

VI. 大規模小売店舗に関する法
━━━━━━━━━━━━━━━
2006年5月に行われた中心市街地活性化法と都市計画法の改正は、小売業者が消費者の
ニーズに合わせて大規模小売店舗を出店することを著しく妨げる可能性がある。これらの全
国規模の新たな措置による実際の影響を測定するに当たり、米国は日本が、関係者に意見を
表明する有意義な機会を提供することを含め、この新たな規制について適時に完全な透明性
をもった見直しを行い、さらに見直しの結果を公表することを要望する。

(以上)
アメリカ大使館・仮和訳
http://tokyo.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-20071018-regref.pdf

年次改革要望書の仮和訳が出た!
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/489.html

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