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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071115ddm002010080000c.html
◇「自由と繁栄の弧」埋没
「とにかく一日も早く元の活動に復帰させてほしい」。11月9日昼、東京都港区にある駐日米大使公邸。来日中のゲーツ米国防長官は、中断した海上自衛隊のインド洋給油の再開を自民、公明、民主3党の国会議員5人に迫った。前日会談した福田康夫首相ら政府関係者には口にしなかった直接的な要求だった。
「新テロ対策特別措置法案を来週参院に送ります。会期を12月15日まで延長したので、それまでに努力したい」。自民党の二階俊博総務会長が答えたが、民主党の前原誠司副代表は沈黙。大島理森自民党国対委員長は、招かれたが欠席した。
その1週間前、福田首相と小沢一郎民主党代表は、自衛隊海外派遣の恒久法作りの政策協議で「合意」しかかった。給油再開で賛否が分かれても、国際協力の自衛隊派遣には共に前向きだ。
しかし、米国のいら立ちは、日本が今なお自衛隊派遣の仕組み作りを議論している現状に根がある。「日本の議論は90年代のポスト冷戦期、湾岸戦争のころのまま。01年の9・11テロの後、各国が直面しているのは、軍隊を出しても根絶できないテロをどう防ぐのかという、より深化した課題だ」(防衛省幹部)
小沢氏は国際協力問題に、湾岸戦争で自民党幹事長として取り組んで以降は政権中枢でかかわっていない。一方、湾岸戦争の前年に初当選した福田首相は、9・11テロとイラク戦争に官房長官として向き合った。
「2人が2度の会談で一気に距離を縮めたのは、国際協力で苦労した互いの経験を重ね合わせたから」(首相周辺)。とはいえ、2人の経験にも断層があり、それが日米間の意識のズレを、さらによじれさせている。
新テロ特措法案の衆院通過・参院送付と同時に、民主党はイラク復興特措法廃止法案の優先審議を主張。これに対し、福田首相は「イラク特措法の審議で私は担当大臣として答弁し、野党の方からぜひ早くやってくれという要望をたくさんいただいた」と強調。国際協力政策をイラクへの自衛隊派遣の実績から前進させたい考えを示す。
「米大統領選で民主党のヒラリー・クリントン氏が当選すれば、米国もイラク撤退を始める。我々の主張は、その先取りだ」(民主党幹部)。両国の政権の行方も絡み、国際協力をめぐる同盟の歯車はかみ合わない。
安倍政権から福田政権への交代で、日本の外交方針もブレた。麻生太郎元外相が昨年11月、安倍晋三前首相の了解の下で打ち出した「自由と繁栄の弧」政策。ユーラシア大陸を弧状に囲む東南アジア、中央アジア、中・東欧の国々が、自由主義や市場経済など日本と同じ価値観を共有するように支援していく構想で、07年版外交青書にも「新機軸」と明記されたのに、すっかり埋没している。
アイデアの基は、01年の米国防政策の見直し(QDR)に登場した「不安定の弧」という考え方だ。中東、東南アジア、朝鮮半島はテロリストの温床とされ、米軍基地も少ない。海自が同年12月から「テロとの戦い」の参加各国に給油を始めたインド洋は、弧の中央部に当たる。
ところが、弧の中心に位置するインドが「発展するアジア共同体の繁栄の弧だ」と反論。現在、インド重視の米国は「不安定の弧」と言っていないが、「ポスト安倍」政権を目指した麻生氏のブレーンは「繁栄」のキーワードを拝借し、日本外交の柱に仕立て直したという。
米国も賛同する雄大なアジア外交政策となるはずだったが、当ては外れた。中国が「我が国の包囲網ではないのか」と反発したためだ。阿南惟茂・前駐中国大使も3月、日本記者クラブの講演で「賢明な外交とは思わない」と批判したほどだ。
「福田首相は殊更口にはしないが、内心では間違いなく否定的。まったく別のアジア政策を構想している」(外務省幹部)。借り物の言葉が踊る外交は、はかない。
毎日新聞 2007年11月15日 東京朝刊
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