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アジアと日米同盟:動き出す福田外交/上(その2止) 世論偏重から転換(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/213.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 11 月 14 日 10:11:14: twUjz/PjYItws
 

(回答先: アジアと日米同盟:動き出す福田外交/上(その1) 核、拉致「同時」決着探る(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 11 月 14 日 10:09:42)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071114ddm002010032000c.html

<1面から続く>

 ◇首相、米朝接近テコに

 安倍晋三首相(当時)は切羽詰まっていた。9月8日、シドニーで行われた日米首脳会談。

 「インド洋での海上自衛隊の給油継続に最大限努力する。ただし、北朝鮮のテロ支援国家指定解除は待ってほしい」

 北朝鮮への強硬姿勢で首相に就任した安倍氏にとり、米朝関係正常化につながる指定解除は「悪夢」と思えたのだろう。

 「拉致問題は理解する。何かあったら連絡をくれないか」と応じるブッシュ大統領。しかし、大統領もまた「イラク、アフガンの泥沼にはまりこみ、残り任期で米朝和解だけは成し遂げないと有終の美を飾れない」(日米関係筋)苦境にある。

 4日後、安倍首相は辞意を表明。給油継続のメドが立たないことを理由にしたが、行き詰まりの根本的な原因は、北朝鮮外交の安倍路線が米朝急接近について行けなくなったことにあった。

 06年7月、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験の際、小泉政権の官房長官だった安倍氏は、ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障担当)と携帯電話で連絡を取り合い、国連安全保障理事会の制裁決議をリード。「日米のきずなこそが北朝鮮への圧力」と信じたが、今年1月の米朝ベルリン合意以降、ハドリー氏もライス国務長官、ヒル国務次官補の米朝接近路線に同調するようになった。

 北東アジア、取り分け日本の安全保障に死活的な北朝鮮の核問題。その前進に同盟国アメリカが本腰を入れると、日本の「重荷」となるねじれ。それは、安倍政権の対北朝鮮外交が日米同盟との矛盾を内包していたことを物語る。政治リーダーが世論を気にするあまり、外交の手足を自分で縛ってしまった限界だ。

 「退陣していなければ、来年1月にはブッシュ大統領の地元テキサス州のクロフォード牧場で、親密な出会いが予定されていたのに、幻に終わってしまった」と悔やむ外務省幹部。だが、首脳同士の個人的親交を演出するのに偏した同盟は、路線の食い違いまで取り繕うことはできない。

 福田康夫首相は小泉政権の官房長官の時から、世論偏重の外交に一貫して批判的だ。小泉純一郎首相が世論対策で抜てきした田中真紀子外相による混乱の収拾に奔走した。

 田中氏更迭で支持率が激減した小泉首相の初訪朝(02年9月)に深く関与する一方、再訪朝(04年5月)には強く反発し、官房長官を辞任した。

 当時の政府高官は「初訪朝は正規の外交ルートである田中均外務審議官がパイプ役だったが、再訪朝は小泉首相側近が朝鮮総連など非正規ルートで準備したからだ。激しく怒って小泉首相に『白紙に戻してくれ』と迫った。二元外交は絶対にやるべきでないという信念がある」と証言する。

 「首相が代わったからといって『対話と圧力』政策は変わらない」。これが外務省の公式見解だが、本音では「米朝核問題の進展を日朝拉致問題のテコに使えれば、政策の幅も勢いも増す」(外務省幹部)との声が漏れる。北朝鮮問題で、対米従属でも自立でもない「アジア外交と日米同盟の共鳴」という福田路線を試す。これが、日朝交渉の前進に再三意欲を語る首相の真意とみられる。

 ただ、冷めた視線は残る。「米朝接近はブッシュ政権の末期現象。核無能力化がどこまで進むのか、疑念は当然ある。ライス国務長官は第3段階の解体・廃棄まで行かず、第2段階まででも政権の花道と考えているフシがある」(同)からだ。

 米朝間が進めば、日朝間も「拉致問題の決着」を含め一気に進めるが、進展があいまいなら日朝も踏みとどまる。福田政権発足と共に言われ出した「決着」という言葉に、「進展」と「解決」の間のあいまいさを引きずるのもそのためだ。北朝鮮を挟んで日米が互いの出方をうかがい合う。初訪米を機に、「対等な同盟関係」の新たなあり方が試される。

毎日新聞 2007年11月14日 東京朝刊


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