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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071114ddm001010004000c.html
10月25日、ワシントン・米国務省の一室。福田康夫首相訪米の地ならしで渡米した谷内正太郎外務事務次官は、ネグロポンテ国務副長官と会った。日朝交渉のキーマン、佐々江賢一郎アジア大洋州局長も同席した。
話題の中心は、日本の政界で焦点だったインド洋給油の継続問題ではなく、北朝鮮に対するテロ支援国家指定問題。
「指定解除の十分な条件は整っていないではないか。拉致問題の進展を考慮に入れてほしい。そうでないと日本国内(の対北朝鮮強硬派)は収まらない」。谷内氏は改めて配慮を要請した。
米政府は当初12月末にも指定を解く構えを予告していた。45日前には議会に通知し、「それが事実上の解除となる」(ヒル国務次官補)。早ければ11月15日から解除のカウントダウンが始まる可能性があった。首相の滞米中に議会通知が行われたら「政治的自殺にも等しい」(外務省幹部)。
しかし、ネグロポンテ氏の返答は冷ややかだった。「懸念は理解するが、拉致問題は解除の条件にはできない」
谷内氏は米国家安全保障会議(NSC)のジェフリー次席大統領補佐官、ワイルダー・アジア上級部長、チェイニー副大統領のハナ安全保障担当補佐官らを訪ね、解除の先送りを説得。「何とか首相滞米中の議会通知だけは見送る約束を取り付けた。首相のメンツは保てる」(同)
だが、それは指定解除がもはや既定方針であり、間近に迫っていることも意味した。関係国への通告を済ませるためか、ヒル国務次官補は10月30日から北京、ソウル、東京を回り、行く先々で「45日前が事実上の解除だ」と殊更に強調した。
谷内・ネグロポンテ会談の翌26日、福田首相は官邸で拉致被害者家族会の横田滋代表らと面会し「単に拉致被害者が日本に帰ってくるのも人道上の大きな問題(の進展)だ。そして、できれば北朝鮮との関係も修復したい。今が一番いい交渉のチャンスだ」と述べた。
北朝鮮の非核化問題は、1月の米朝ベルリン合意、2月の北京における6カ国「初期段階措置」合意と、米主導で流れが急転。拉致問題最重視の安倍前政権の路線は、テロ支援国家指定解除でピンチに立たされるかのような観測が広まっていた。しかし、福田外交は米朝接近をむしろチャンスにしようとしている。
「指定解除など大した問題じゃない。核無能力化が本当に進めば、拉致問題も同時決着させる。日本は20年に一度の重大決断をすることになる」。外務省幹部は福田首相の覚悟をそう説明する。
* * *
福田首相は11月16日、ワシントンでブッシュ米大統領との日米首脳会談に臨み、外交を本格始動させる。目指すのは「アジア外交と日米同盟の共鳴」。北朝鮮問題や自衛隊海外派遣問題などを通じて福田外交の課題と展望を探る。(2面に続く)
毎日新聞 2007年11月14日 東京朝刊
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