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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071024k0000m070144000c.html
社説:給油量隠ぺい 真相解明が審議の前提だ
この組織に国際貢献を説き、洋上給油活動の継続を認めてほしいと訴える資格があるのかどうか。深刻な疑問を抱かざるを得ない。
新テロ対策特措法案の致命傷になりかねないような防衛省内部の不祥事が、相次いで発覚した。
一つは、油の転用疑惑にかかわる給油量の誤りを海上自衛隊が確認しておきながら、内部で隠ぺいしていた問題。もう一つは、守屋武昌前防衛事務次官が防衛関連の専門商社から度重なる接待を受けていた問題である。
とりわけ給油量の隠ぺいは、自衛隊運用の大原則である文民統制(シビリアンコントロール)を根幹から揺るがすものだ。また次官として4年余も省内で権勢を振るってきた守屋氏は、この問題でも責任がある。
海自提供の油がイラク戦争に転用されたのではないかとの疑惑は、2003年5月6日、イラク作戦に従事した米空母キティホークの司令官が「我々は海自から米軍の補給艦を経由して間接的に計80万ガロンの燃料補給を受けた」と発言したのが発端だ。この量から推定すると、キティホークは海自の油でアフガニスタンから遠いペルシャ湾奥部に入ったことになる。
しかし、3日後の5月9日、当時の福田康夫官房長官は補給量が80万ガロンではなく20万ガロンだったと説明したうえで「これは1日分。瞬間的に消費され、ペルシャ湾に入れる量ではない」との論理で転用を否定していた。
今回発覚したのは、否定の論理を崩すデータの隠ぺいだ。防衛省が与野党に提出した報告書によると、海上幕僚監部の防衛課長らは同じ5月9日の段階で80万ガロンが正しいことに気づいたにもかかわらず、「転用問題が沈静化しつつあった」などとして上司には報告せず、訂正もしなかったという。
海自にとって80万ガロンという数字は「不都合な真実」だったのだろう。国民には知らせず、その場を取り繕えばいいという浅はかな考えだ。「つねに国民の心を自己の心とし、一身の利害を越えて公につくすことに誇りをもたなければならない」(「自衛官の心がまえ」、1961年制定)ということを忘れたのか。
新テロ特措法案は23日に衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われたものの、隠ぺいの発覚によって委員会審議の見通しはすっかり不透明になった。法案審議に先立ち守屋前次官や隠ぺいに関与した海自幹部の証人喚問を実施するよう野党側が主張するのは当然だろう。
給油活動を継続するかどうかを問う前に、防衛省・自衛隊に文民統制が貫かれているかどうかの厳密な点検から始めるべきだ。隠ぺいに関与したのは課長クラスだけなのか。内局の幹部はなぜ把握できなかったのか。同様の事態を防ぐにはどのような仕組みが必要なのか。福田首相は「私まで疑われる」と怒ってみせたが、自衛隊の最高責任者である首相自身の責任も問われなければならない。
これらの真相解明こそが、法案審議の前提である。
毎日新聞 2007年10月24日 0時01分
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