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GMが4兆円を超える赤字だという。その主な原因がサブプライムローン(米国低所得者向け住宅ローン)絡みの損失だという。9日の各紙はモルガン・スタンレーの4200億円の追加損失が明らかになった事を報じている。そういえばこのところ連日米国の大手企業がサブプライム関連の投資で大損をし、膨大な債務負担に見舞われている事が報じられている。これはかつての日本のバブル崩壊後と同じではないか。
失われた10年、不良債権問題が日本経済の大問題であり続けた。そして日本政府は血税を湯水のように使って銀行を救済した。
ところが、9日の朝日新聞経済面の経済気象台というコラムに次のような文章を見つけた。
「・・・米大手3銀行がサブプライム対策基金を設立した。これはウオール街出身のポールソン財務長官の肝いりで実現したといわれる。金融不安を回避したいが、米国民の税金を使ってまでも投資家たちを救済する気はないというホワイトハウスの空気の反映だ・・・」
これを読んで驚いた。日本と米国の責任者の対応の違いはどうだ。何でも国民の税金を使えばよいとする日本の政治家や官僚はあまりにも無能であり、安易だ。官尊民卑だ。民主主義国家から程遠い日本の姿があらためて浮き彫りになった記事である。
米国があからさまに日本を恫喝し始めた。「こんな事では日米同盟の信頼関係が揺らぎかねないぞ」と。給油問題、普天間基地移転をはじめとした米軍再編問題、思いやり予算問題、などについて、日本の対応がもたもたしている事に対する叱責である。
外務省幹部が、今の対米関係について、「いい話は一つもない」と話しているという事を9日の朝日新聞で知った。ふざけた発言だ。外務省の幹部も、最早後輩ばかりになってしまった。誰がそういっているかはおよそ想像がつく。
お前たち、よく聞け。これまでの対米関係において、日本が米国の要求に悩まされなかった「いい時代」があったというのか。「「いい話は一つもなかった」事は今に始まったことではない。これほどまでに米国に従っても、「いい話」はいつまでたっても出てこなかった。
米国が日本に突きつけてくる難題はどんどん不合理、反国民的になってきている。それもこれも米国の要求を受け入れ続けてきた外務官僚の無策にあった。要求を呑むことを当たり前と思わせてしまった外務官僚の米国あまやかしのせいでそうなってしまったのだ。
これからはもっと悪い話が続出すると覚悟しておくべきだ。「いい話はひとつもない」どころか、対米従属外交を続ける限り「出口はない」のだ。
「ねじれ国会」なる言葉が独り歩きしている。法案が一本も通らない事で「大連立はだめでも政策協議なら止むを得ない」などという発言が政治家や評論家の口からから当然のごとく発せられる。
まったくナンセンスだ。対決法案ばかりではない。与野党の対立なしで成立させられる法案はいくらでもある。それが成立しないのは、政治家が国民不在の政争に明け暮れているからだ。それを大ニュースのごとくメディアが煽るからだ。
テロ特措法をはじめとした対決法案は、対立するのが当たり前だ。政府・自公政権が本気になって対決法案を通そうとすれば、つまり衆院での再議決を覚悟すれば、成立させる事ができる。それを行おうとしないのはねじれ国会だからではない。解散・総選挙に追い込まれる事がこわいだけの話だ。
民主党もまた総選挙が怖いのだ。だからにらみ合っている。法案審議どころではない。だから法案が成立しない。ただそれだけの話だ。
自民党も民主党も、今度の衆議院選挙で負ければ政党は空中分解する事を知っている。だから総選挙が怖いのだ。自民党はあくまでも大連立を求め、小沢一郎もまた、敗れて政界を引退する事をおそれて、党首会談に応じた。
小沢辞任騒動の後の民主党はもはや引き下がれない。強硬姿勢を貫くしかない。解散風が吹きそうだ、そう9日の朝日新聞は書いている。早期解散を恐れていた自民党は、小沢辞任騒動で世論の民主党離れが起きるとみて「今なら勝てる」と考えるだろうという。しかしその一方で、小泉劇場で得た大量議席をできるだけ長く使ったほうがいいという声があるのも当然だ。だから「決して侮ってはいけない」などと山崎拓あたりが言っている。
他方民主党も、年内解散に追い込むしかないと突っ走る連中もいるかと思えば、小沢氏が続投を表明したことで「党内の結束が確認できた。これで年内解散はいったん沈静化した」と胸をなでおろしている者もいるという。
皆選挙がこわいのだ。笑ってしまったのは9日の朝日新聞に出ていた鳩山民主党幹事長の次の言葉だ。
「次の衆院選挙で(民主党が)政権をとることがかなわなかった時、政策がまったく動かないという話になりかねない。このときに(大連立の)話が復活する可能性はでてくる」
そんな話ではない。その時はとっくに民主党は分解している。すべては今度の衆議院選挙から始まる。どっちが勝っても負けても、政界は混乱し、再び選挙ということになる。日本の政治が落ち着くまでには後何回かは選挙が必要となる。だから早く総選挙をしろと言っているのだ。
9日の毎日新聞「世界の目」において、米戦略国際問題研究所のハーラン・ウルマン上級顧問がNATOの危機について書いていた。
「北大西洋条約機構(NATO)は・・・ソ連という脅威によって存在意義が正当化された冷戦時代と比べ、今は巨大な困難に直面している・・・ジレンマは軍事的脅威の崩壊後も軍事同盟を維持することだ・・・」と。
これこそが今日の西側主要国の軍事担当者の大きな問題なのだ。不要になっても解体できない、それが軍隊だ。軍隊を維持する為にはあらたな理由を見つけなければならないのである。
ウルマンは、NATOの将来はアフガニスタンでの成功にかかっている、と率直に言っている。だからアフガンでの敗北は許されないと強調している。その一方で、「NATOが(アフガンでの)すべての戦闘で負かしているのに、旧支配勢力タリバンは依然として成長を続ける」と言い、「・・・内政改革の進展の乏しさはひどい。汚職と失業が蔓延し、麻薬の生産は増加し、裁判、法制度、警察は完全には機能していない」と言う。大変な矛盾だ。
挙句の果てには、エネルギーとインフラ基盤整備、人道援助、復興などすべてが任務の対象となるように、あらたな戦略的目的の構築が必要である、と言う。
要するに軍事力だけではどうにもならないと言うことなのだ。しかし軍事力優先の今の米国のやり方ではそれはできない。そんな米国に追従する日本外交では、平和は決して築けない。
2007年11月09日
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