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(回答先: 小沢一郎に首相の覚悟はあるのか=座談会(その1)(Yahoo!みんなの政治:中央公論) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 9 月 04 日 11:43:59)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070903-02-0501.html
小沢一郎に首相の覚悟はあるのか=座談会=枝野幸男(その2)
座談会出席者 船田元 枝野幸男 田原総一朗
田原 小沢さんには“前科”がある。自民党が野に下った細川連立内閣の時、自分が首相になろうと思えばなれたのに、なぜか姿をくらましちゃった。船田さんは、当時の新生党小沢代表幹事の補佐役だったんだけど。
船田 本当に困りましたね。われわれでさえ、居所がつかめなくなってしまうのですから。
田原 彼はなんで“潜った”の?
船田 さあ……ちょうど心臓を患って、退院したばかりではあったんですが。
田原 細川さんに首相をやらせるために“消えた”としか思えませんよ。
枝野 まあ、当時は中選挙区制で多党の連立でしたから、全体が合意できる首班候補を選挙後に選ぶということはありうるんですよ。でも、今回は違う。小沢さんの推進した小選挙区制の下で、総選挙は首相を選ぶという意味合いを持っています。民主党が総選挙に勝って、小沢代表が首相をやらないなどと言い出したら、それこそ大変なことになってしまう。それはありえないことです。
田原 元「側近中の側近」として、船田さんはどう思う? 小沢さんは首相にふさわしい?
船田 理屈から言えば、民主党が衆院でも多数を取ったら、やはり小沢さんがやらないとおかしいでしょう。
しかし、一国の総理たるには、必要な条件があると思うのです。例えば政治はプロセスがすごく大事で、少なくとも重要局面で責任者がプイといなくなるようなことは論外。政治の「日常風景」を、もっと大事にしてもらいたいですね。さらに言えば、今回の参院選でも精力的に各地を回られて、その結果燃え尽きたという印象が拭えないですよね。勝つのが目的で、その先がないんじゃないかと疑いたくもなります。
田原 かつて意見したこともあるの?
船田 したんですよ。そうしたら次の日から会えなくなって。間違っていると思うのなら、そう言ってくれればいいのに、それもなし。
田原 そういう話を聞いて、どう?
枝野 まあ、リーダーにもいろんなタイプがあると思います。繰り返しになりますが、決定的な問題が起きないかぎり、代表選に勝利した小沢さんを立てて国民の信を問うという基本姿勢に、まったく変わりはありません。
“政治とカネ”をどうする
田原 今回の与党の敗因は、“政治とカネ”の問題を曖昧にし続けたことが大きい。自民党は綺麗になれますか?
船田 よほど心を入れ替え、人も入れ替えないと……。
田原 例の事務所経費の領収書問題。あそこがウヤムヤなままだと、国民は何を言っても信用しないと思う。
船田 そもそも「政治資金規正法」という法律が“性善説”を前提につくられたものなんですね。だから、政治家がすべて善人になるか、法律自体を変えるか。
田原 政治家がカネに関して善人であるわけがない。
船田 それも情けない話なんですが、やはりもう一度規正のあり方を考え直す必要があるでしょうね。
田原 枝野さんは?
枝野 法律を厳しくして、すべての領収書の公開を義務付ければ、事足りるのではないですか。常々申し上げているのですが、お金の使い方について厳しくて明確なルールをつくり、「それ以外に使えば大変なことになる」という理解を、対外的にも広げることが大事なんですよ。そうすれば、政治家は余計なカネを使わなくて済むようになる。
田原 もしかするとそのあたりが、枝野さんと小沢さんの最も食い違うところかもしれない。小沢さんの資金管理団体が四億円以上の事務所費を計上していたことが明るみに出ましたが、政治資金をああいう形で使ってもいいの?
枝野 あの不動産については適切に処理されていますし、将来的に私有ということになれば税務署が黙っていないことぐらいわかるでしょう。何か悪い意図が働いたとは思いません。ただし、それが国民にとって理解しやすいことなのかどうかは、別問題かもしれませんね。
船田 処理をきちんとやっていたとしても、そもそも四億円もどうやって貯め込んだのかという点で、ある種の胡散臭さが漂うのは仕方ないですよ。
党内の言論は自由か
田原 言いにくいんだけど、安倍さんも小沢さんも、総選挙前に辞めたほうが、今後の両党のためにはいいんじゃないの?
枝野 いや、それは……。(苦笑)
船田 私は安倍さんが今のような対応を続け、一方で小沢さんがああした態度を取り続ければ、双方にとって不幸な結果になるような気がしてなりません。さっきも言った、政治のプロセス、党内民主主義というものを、安倍さんにも大切にしてもらいたい。
田原 かつての自民党は、“タカ派の中曽根・ハト派の宮沢”が共存したように、文字通り自由で民主的な雰囲気があったと思う。いつ消えちゃったの?
船田 小泉政権からでしょうね。郵政問題に典型的なように、小泉さんは勝負師ですから、あるテーマについてイエスかノーかの二者択一を迫り、後者には躊躇なく抵抗勢力のレッテルを貼って排除した。キャッチボールではなくて、一方通行なんですよ。外から見れば分かりやすかったのかもしれませんが、中の議論は単純化されすぎた。
田原 世論の支持率は高かったけど、実は自民党にとっては、困った人だったんだ。
船田 本当に「自民党をぶっ壊して」くれた。
田原 安倍さんは?
船田 基本的に小泉さんの手法を引き継いでいるんだけど、本質的に勝負師ではないでしょう。それがまた、混乱を生んでいる。
田原 民主党も、小沢さんに自由にものが言えるようにならないと。
枝野 ですから、言うべきことは言っているはず(笑)。ただ、中枢にいる人が、もう少し外に見える形で論議する必要は感じますね。
田原 ああ、菅さんや鳩山(由紀夫)さんがだらしないということですね。
枝野 いや、そういう単純な話ではないんです。今は大丈夫ですけど、例えば去年の五月あたりに“外から見える議論”を交わしていたら、間違いなく「民主党はバラバラだ」というネガティブ報道をされていたはず。そこがわれわれのジレンマでもあるのです。オープンにものを言えば統制が取れてないと言われ、内部でやっていると見えないと指摘される。
田原 天下を取る気ならば、情報開示を優先しなきゃ。船田さんは民主党の現状をどう見てる?
船田 やはり、解決すべき課題は多いと思いますね。ただし、これは最初の枝野さんの指摘の裏返しなんですが、われわれにとっては課題を先送りしていただいたほうが好都合ではあります。
政界再編の可能性は
田原 みんなが小沢さんに対して腫れ物に触るような対応をしているほうが、自民党は戦いやすい。双方の党首が、お互いに利敵行為を働いているような、おかしな構造になっちゃったね。(笑)
ただどうなのか。そういう「二大政党」が抱える問題点も改めて明確になり、同時に強行採決を連発できるような国会ではなくなった。そういう意味では、今回の参院選の結果は日本の民主主義にとってプラスの効果があったと言えるんでしょうか?
枝野 間違いなくプラス。われわれも襟を正して議会制民主主義の原点に立ち戻り、頑張らないといけない。
船田 長い目で見れば、すべてがマイナスではなかったと思いますよ。
田原 え、自民党は負けてよかった?
船田 党内からはお叱りを受けるかもしれませんが、驕りを捨てて起死回生の道を歩むのなら、自民党の将来にとってもプラスではないでしょうか。ピンチをチャンスに変えるということです。ただし、早急に立て直さないと大変なことになるという強い危機感は、当然持っています。
田原 自民党は自らが政権政党であるために、言葉は悪いけど何でもやってきました。その極め付きが九四年の村山社会党との連立だったんだけど、今度も民主党との大連立を考える人がいてもおかしくない。
船田 それは、国民にとってあまりにも分かりにくい。自社連立の時は、別に小沢新進党という強大な敵がいたから、“敵の敵が味方”になりえたわけで。今考えられるとしたら、パーシャル(部分)連合とか、ある政策に限定した共闘とかでしょうね。
田原 枝野さん、パーシャル連合の働きかけがあったら、乗る?
枝野 残念ながら乗れません。われわれが志向しているのは、政権交代が可能な二大政党制という政治システムなのだから、それに逆行するような動きに与することはありえないですよ。
田原 ならば、現行の枠組みが壊れて別の勢力図ができあがるという意味での、政界再編の可能性は?
枝野 これは船田さんもお分かりだと思うのですが、「ウチよりあっちのほうに考え方が近いんじゃないの」という人は、結構いるわけです。でもそれは、二大政党制の国ならどこにでもあること。理想を言えば、入れ替わるべき人は入れ替わったほうがいいんでしょうけど、なかなか理想通りにはいかない。今の自民党と民主党が競って、よりよい政治を目指すという構図が、最もリアリティがあると、私は思います。
田原 今日の話を聞いて、ますますお二人のような柔軟な発想を持った人材が表舞台に出てこないとダメだと痛感しました。“非主流派”としてどんどん発言し、それぞれの党をまず改革していってほしいと思います。
ふなだはじめ 1979年、最年少25歳で自民党より衆議院議員初当選。92年には最年少39歳で閣僚(経済企画庁長官)就任。現在9期目。また、自民党憲法審議会会長を務めた。
えだのゆきお 1993年日本新党より衆議院議員初当選。98年の金融再生法成立に関わり、政策新人類と呼ばれる。02年には38歳で民主党政調会長に。現在5期目。また、民主党の憲法調査会長を務める。
たはらそういちろう テレビ東京を経て1977年、フリーに。活字と放送の両メディアで精力的に評論活動を続けている。近著に『テレビと権力』『憂国論』『市場浄化』『正義の罠』など。
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