★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK41 > 623.html ★阿修羅♪ |
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070903-01-0501.html
参議院での与野党逆転は日本政治の今後を混沌とさせた。先にあるのは政権交代か、
それとも? 衝撃から一夜明け、与野党の論客二人に田原氏が迫った
座談会出席者 船田 元 枝野幸男 田原総一朗
安倍続投で総選挙を戦えるか
田原 「私を選ぶのか、小沢さんを選ぶのか」と言って参院選を戦った安倍さんが、大惨敗を喫した。なのに続投を宣言しました。この判断を聞いた時、どう思った? 船田さん、率直なところを聞かせてください。
船田 あまりの負けっぷりで、執行部も含めてみんな茫然自失というか、思考停止状態だったんですよ。そんな“真空地帯”を突いて、早々と総理が「辞めない」とおっしゃって、それがそのまま通ってしまった。この事態をどう理解して行動すべきか、まだ頭の中が整理しきれていないというのが正直なところですね。
田原 九八年の参院選で橋本(龍太郎)さんが辞任に追い込まれた四四議席。これを下回ったら、自民党の中からも当然のように退任論が出てくると思ったんだけど、みんな安倍さんの責任のことなんか考えられないほどのショックに陥っていたんだ。
船田 それに、“次”がスタンバイしきれていないという現実もあった。
田原 次の人って、誰なの?
船田 まあ……マスコミに名前が取り沙汰されている、麻生(太郎)さんとか福田(康夫)さんとかを含めて、準備が整っているという状態ではなかったですからね。
田原 枝野さんは、安倍さんの続投宣言をどう聞いた?
枝野 日本の民主主義のためにはお辞めになるのが筋だけど、我々民主党にとっては居座り続けていただいたほうが有難いという、野党であるがゆえのジレンマを感じます(笑)。だからこそ、早く与党になりたいのですが。
田原 そこをマスコミは突っ込まないんだけど、実は野党にとっては、いま安倍さんに辞めてもらっては困る。麻生さんや福田さんに代わられたんじゃ、問責決議案も出せないんだから。そのへんはどうなの、船田さん?
船田 安倍総理は、そのことも十分覚悟したうえで、ああいうご判断をなさったんでしょうから。
田原 安倍さんはいいんだよ。船田さんの考えを聞きたい。
船田 まあ、野党は十中八九、問責決議案を出してくるでしょう。それを前提に対応していくしかないですね。
田原 「対応」って、決議案は間違いなく通っちゃうよ。小沢さんのあの性格からして悠長なことをやっているつもりはないでしょう。一気に解散、総選挙に持っていく腹づもりだと思うんだけど。
枝野 当然、問責決議その他でプレッシャーをかけながら追い込んでいこうとお考えなのだと思います。安倍さんが総理でいるかぎり、攻め続けられる。
田原 このままでは解散に追い込まれそうだ、総選挙になる。さあ、どうします? 安倍さんじゃ戦えないでしょ。
船田 それはその時になってみないと。さまざまな選択肢があるとは思います。
田原 そんな“官僚答弁”しないでよ。安倍さんに引導を渡して解散を回避するのか、総選挙になだれ込むのか。
船田 う〜ん。そこまで追い込まれたら、総理にはご決断いただく必要があるかもしれませんね。
田原 誰が引導を渡すの?
船田 「誰が」というより、党内世論だと思うんですよ。実は、執行部レベルでは「続投やむなし」で固まっているものの、中堅や、選挙を現場で戦った人間の意見は彼らのところにまだ届いていない。
田原 あ、じゃあ、これから揺り戻しもありうる?
船田 ひと回り議論を尽くしたところで、何らかの変化が見える可能性はあります。
妥協は可能か――テロ特措法
田原 いずれにしても、与党の国会運営は相当に厳しくなる。
船田 法案が参議院で通らないケースを、常に想定しなくてはなりません。地獄の国会運営が続くのでは、と覚悟しています。
田原 最悪のパターンは、与党の提出法案が参議院でことごとくストップをかけられ、反対に参院で野党が出した法案は衆院の与党が葬るという、泥沼の消耗戦になることなんだけど。
枝野 おそらく、我々の法案に与党が賛成せざるをえないケースが出てくるでしょうし、その逆もあるでしょう。
田原 じゃあ、具体的にいこう。十一月一日に期限切れを控えた「テロ特措法」。民主党はどうする?
枝野 我々は、現行法には一貫して反対してきました。国際情勢その他が変化していないのに、参院で多数を握ったから賛成に転じるということはありえません。
田原 さあ、船田さん大変だ。幸い、衆院では与党が三分の二の議席を握っているから、参院で否決されても“差し戻し”で可決することは可能。この伝家の宝刀を抜きますか?
船田 たしかに法的にはそれが可能なんですが、しかしあくまでも緊急避難であって、めったに使える手法ではない。私は、今回そのやり方で国民の理解を得るのは、かなり困難なのではないかと思っています。話し合いで妥協点を見つけていくしかないでしょうね。
田原 妥協はしないって言ってるよ。
船田 正直、「特措法」法案審議での閣僚答弁などは、不親切というか、木で鼻をくくったようなものが、私の目から見ても多かった。
小泉(純一郎)さんの「自衛隊が派遣されるところが非戦闘地域」なんていうのも、ひどいロジックですよ。他の国会運営も含めて、やはり“多数の驕り”があったと、反省すべきところはしないといけない。そのうえで、内容面でも野党の納得を得られるものにつくり上げ、提案していくしかない。
田原 船田さんはああ言ってるけど。
枝野 「特措法」に関しては、船田さんがおっしゃるように、現行とは違う形で提案されてくると思います。我々としては、それが本当に国民の求める方向に沿ったものなのか否かを判断して態度を決めることになるでしょう。
田原 「特措法」自体に反対なわけじゃないんだ。
枝野 これは今後の国会運営全般に言えることなのですが、まず与党が変わらなければならない。数に力を借りた強引なやり方を反省して、改める。そうなったら、今度は野党側の対応も問われてくるわけです。相手が“引いて”きた時に、それに乗るのか、あくまで反対を貫くのか。これはケースバイケースだと思います。
田原 与党提出の重要法案に賛成することもあるわけですね?
枝野 それはありうるでしょう。
「小沢首相」の是非
田原 ところで枝野さん、今度は民主党の今後について聞きたい。八九年の参院選で、時の社会党がやはり大勝して、参院で与野党逆転。党首の土井(たか子)さんは「山が動いた」と言った。でも、衆院というもう一つの山はついに動かせなかった。民主党は大丈夫?
枝野 これはテレビの討論番組で、ほかならぬ田原さんに教えていただいたんですけど(笑)、当時の海部政権下で自民党幹事長のポストにあったのが小沢さんだった。
田原 あの時は、自民党が参院にどんどん法案を送って野党の判断を迫り、対応できなくなった社会党は自滅の道をたどっていく。
枝野 それを仕掛けた人物なのだから、反対にそれをやられた場合にどう対応すべきかもわかっているはず。少なくとも、社会党の二の舞はないですよ。
田原 ただ、今回の選挙後の小沢さんの対応はいただけないね。休養するならするで、国民に対してテレビでひと言「勝たせていただき、ありがとうございます」と言ってからにすべきじゃないのか。きっと「出てください」と言える人間が、民主党の中にいないんだ。
枝野 いや、言ってるはずですよ。言ってることが表に出ないだけで。
田原 枝野さんは小沢さんに言いたいことを言ってるの?
枝野 いや、私は言う機会がないというか、その必要も感じなかったので。
田原 小沢さんに干されてるから? 率直に言うけど、枝野、前原(誠司)、仙谷(由人)さんあたりは、小沢代表を快しと思ってないでしょ。
枝野 意見の違うところがないとは言いません。でもそれは感情的なものではないし、とにかく私自身は代表選で菅(直人)さんを担いで負けたわけですから。勝った執行部のもとに団結しないといけない。民主党自体がそういう文化でないと困りますよ。
田原 反主流派として……。
枝野 “反”ではなく、“非”。(笑)
田原 とにかく、執行部を突き上げるようなことはしないと。
枝野 なにか路線上の問題などで決定的な相違が生まれたりしないかぎり、それはないです。
田原 じゃあ、さらに聞きますが、仮に総選挙に勝って衆院でも多数を握ったとして、「小沢首相」でいいんですか?
枝野 逆に、「小沢首相」でなければいけません。
田原 でも、彼はやる気がないよ。首相になりたい人が、選挙に勝ってテレビに出ないなんて考えられない。
枝野 野党第一党の代表になったのは、政権を取って総理になるため。そうでなかったら、そもそも代表選に出る資格自体がありませんよ。
田原 船田さんはどう思う?
船田 もし首相になる気がないのだったら、結果的に国民を欺いていることになるでしょうね。
(その2へ続く)
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK41掲示板
フォローアップ: