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<新作「萱刈」刊行される>家父長制に抵抗して精神形成/近代化と伝統の矛盾描く新作【辻井喬】
2007-08-29 20:23:55
gataro-cloneの投稿
テーマ:その他分野の議論等
経済同友会関係で戦争反対、憲法9条守れというと、まず頭に思い浮かぶのは品川正治さんだ。だが、作家辻井喬(本名=堤清二)さんも忘れてはならない人である。新作「萱刈(かやかり)」が刊行されたことを機に、「しんぶん赤旗」記者が辻井喬さんにインタビューしたのが次の記事である。
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月曜インタビュー/作家辻井喬さん/家父長制に抵抗して精神形成/近代化と伝統の矛盾描く新作
2007.07.02 「しんぶん赤旗」 9面
小説、詩集、評論と次々話題作を発表する辻井喬氏。九条の会の講演では安倍政権の改憲路線を厳しく批判しました。新作の『萱刈(かやかり)』(新潮社)はカフカ的世界を通じて近代日本の矛盾にせまった異色作。新作刊行を機に東京・銀座の事務所をたずねました。
「芸術は体制を批判するから成り立つ。体制べったりの芸術は三流です」 そう言いきる辻井さん。かつてセゾングループ代表として経済同友会の副代表幹事もつとめた人だけに、ドキリとします。
「同友会でも『ノンセクトリベラル』を標ぼうしていましたから。私の精神形成は家父長制への抵抗から始まっています。(財界人生活を経ても)変わりようがないんですよ」 家父長制というのは、父・堤康次郎(西武グループ創業者、元衆議院議長)の家庭内での圧制のこと。横暴な権力への反発心は青年期以来、失ったことがないと言います。
社会の因習にも厳しい目を向け
新作『萱刈』は、何百年も以前からある大きな城と、その城に仕えて栄えてきた村が物語の軸です。正体不明の城は家父長制権力の象徴のようでもあり、一方、やみくもな近代化に抵抗する伝統の寓意(ぐうい)のようでもあります。
村の名家の出身である技師が、地域の再開発のために東京から派遣されますが、なかなか入城許可が得られません。待ちくたびれたあげく、突然技師は逮捕されます。城とは何か、なぜ逮捕なのか。カフカの『城』や『審判』のような不条理な展開のなかで、次第に技師は近代化を担う自分のあり方に疑問を抱き始めます。
「私自身、ビジネスをやっていたころは近代化を推し進めてきましたが、二十一世紀に入って大勢の人がこれでいいのかと思い始めた。例えばコンビニも、私は最初、商店街はどうなるんだと抵抗したのに、今ではそこで弁当を買っている。堕落かもしれません。そういう近代化批判が心中にあって、書いているうちにこうなってしまったのです」 伝統を顧みない無茶な近代化を批判する一方で、社会の因習的なあり方にも厳しい目を向けます。
主人公の技師は「そこに住む人間が自立して、自分の判断で合理的に暮らすのでなければ都市計画は成功したとは言えない。生活環境が住民の意識を変えると信じていたのは、現実を知らない技師の楽観論だったかもしれない」と考えます。これは辻井さんの心境でもあるといいます。
「古い義理人情がなくならないから世襲議員が出る。父親に世話になったから、娘が少し変でも投票するとか(笑い)。公的な投票を私情で律するわけで、日本ほどの世襲議員は、外国にはいません」。
小泉前首相も安倍首相も、二人続けて三世議員です。
「今の首相は最低です。閣僚に引っぱってきたのも仲間の“お孫さんクラス”。なんともおかしい」
多数決の看板を使っての“独裁”
「小泉改革のウソを甘やかしたのも大失敗ですね。人権は多数、少数にかかわりなくあるものなのに、少数者の人権は顧みない。今の政府は、多数決という看板を使った独裁です」 辻井さんは「憲法を守ることが最大の経済政策」と言います。作中の村が大火で全滅したあと、合同葬で村の出納長が「我々、生き残った者は近隣住民の平和を愛する公正と信義を信頼して…暴力は永久にこれを放棄する」と演説。まるで憲法のパロディーです。
「あそこは、出納長の言葉に何のリアリティーもない。憲法を真に生かすのは誰なのかを見分けなければいけないのに、実際は文字面だけで判断する人が増えているんじゃないですか。ヒトラーも言葉だけ見れば、愛国者で福祉の推進者です。『美しい国』と同じアイロニー(皮肉)ですよ」と辻井さんは言います。
「いまの改憲論は保守ではなく、アメリカに従うだけの事大主義です。財界も目先の利益だけで、自分の考えをなくしてしまった。改革とか、近代化とか言う前に、歴史から学ぶことは実に多いですよ」
(北村隆志)
つじい たかし・1927年生まれ。本名=堤清二。日本文芸家協会副理事長、日本ペンクラブ理事、マスコミ九条の会呼びかけ人。近年のおう盛な創作活動により2006年日本芸術院賞恩賜賞受賞。詩集『異邦人』『鷲がいて』(読売文学賞)、小説『虹の岬』『父の肖像』(野間文芸賞)、評論『伝統の創造力』など。
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