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今日予定どおり安倍首相は、党と内閣の改造を行うであろう。“予定どおり”と書いたところに私は万感の思いを込めている。安倍首相は1ヶ月近く構想を温めてきたようだが、どんなにサプライズ人事をしたとしてもそれは一時の仇花に過ぎないだろう。最大のサプライズ人事は、安倍首相が内閣総理大臣の職を辞することである。自民党が生き延びる道はそれ以外にはない。
99.99%安倍首相の続投は決まった、と私はいってきた。しかし、99.99%決まったということはあくまでも予想であって、決定ではない。政治には予想外のことが多い。政治の政界は一寸先は闇という言葉もある。政治は最大のドラマである、と私は考えている。政治に活力があるとき、政治ドラマが生まれる。私はそういうことを何度も目撃してきた。ほんのその一例だが、私が初当選した半年後、いわゆるハプニング解散というのがあった。1980年(昭和55年)5月16日のことである。福田赳夫氏や中曽根康弘氏や三木武夫氏などが本会議を欠席したために大平内閣不信任案が可決し、衆議院は解散された。その日の朝、そんなことを考えていた人は誰もいなかったであろう。
私は自民党がまだ死んでいないのであれば、何かは起こるし、また何かを起こすであろうと考えていた。参議院選挙であれだけの大敗を喫したのだから、自民党が生き延びる道は時間を稼ぐしかない。時間を稼ぐためには、安倍首相を変えない限り所詮は無理である。自民党が長い間政権を守ってきたのは、この手法を使ってきたからである。これは経験則として自民党が肌で知っていることである。私はそれが良いといっているのではない。自民党が長い間政権党でいることができた智恵だといっているのである。こんなことを知らない自民党の国会議員はいない。
しかし、一昨日安倍首相首相が麻生太郎氏に幹事長の就任を要請し、麻生氏がこれを受諾したことで安倍首相の続投は事実上決定したと考えたのである。いろいろなことを主張する者はいたが、結局は安倍首相を辞職に追い込むことを自民党はしなかった。自民党の国会議員ならば誰でも知っているこの経験則に背くいているのである。この経験則に背いてでも今回の危機を乗り切ることができると安倍首相や麻生新幹事長が考えているとしたら、大したものである。彼らにはなにらかの確信があるからではなく、単なる無知か勉強不足であろう。
保守主義者は、経験則というものを本来重視するものである。保守主義者の本質といってもよい。しかし、彼らは保守主義の本質を知らないか、そうでなければこれを破ったのである。彼らは祖父が総理大臣であったということで、自分を保守主義者と考えているようだが、保守主義もひとつの“主義”なのである。属身的なものではない。わが国の政治で属身的なものは、天皇の地位だけである。保守主義の要諦は、人間が頭で考えたイズムや理論ではなく、人類が経験則上知っている事実を重く受けとめるところにある。
私が自民党を離党することを決めたのは、自公連立という保守主義に悖る行為を公然と行ったことに大きな原因がある。私はリベラリストではあるが、れっきとした保守主義者でもある。今回の安倍首相の続投をみていると、自民党はリベラリストの集団でもないし、保守主義者の集団でもないことが明らかになった。リベラリスト(自由主義者)の集団でも、保守主義者の集団でもないとしたら、自民党というのはいったい如何なる集団なのだろうか。政権党でいたいという浅ましい政治家の集団、政権の何らかの役職にありつきたいと貪欲な政治家の集団でしかない。
安倍首相の続投を容認したことは、自民党は自らの危機にもなんらの対処能力をもたない政党だということを満天下に明らかにした。自らの危機にもなんらの対処能力もない政党や政権に、国家の危機や国民の困窮に対処する能力がないことはいうまでもない。換言すれば、政権担当能力がないということである。政権担当能力がない政党が政権を担っていることは、国家や国民にとって最大の不幸である。野党が政権交代を主張することは、このような無能な政権を打倒するという国民に対する責任なのである。そのような熱情と執念がなければ、政権交代は実現しない。一般的な政権交代の是非が問われているのではない。
まあ、今晩から数日間、新しい内閣の人事をめぐり、マスコミはいろいろな報道をするだろう。しかし、以上述べたようなことが分からない政治屋が安倍首相の任命をありがたく“拝命”しただけのことなのである。政治の基本が分からない大臣や党役員が、政治的に意味あることをできる筈がない。失言問題や事務所費問題を惹き起こすかどうかは分からないが、野党が徹底的に追及すればこのような大臣は必ずボロを出す筈である。そのような一つひとつの追及が政権交代への道に繋がるのである。私も小さなことでも政治の基本にかかわることがあったら激しく追及していくつもりである。これからは忙しくなる(笑)。
それでは、また明日。
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