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(回答先: イラク派遣の実像 <6>制服の外交官 組織文化 否定と肯定(東京新聞) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 25 日 13:55:27)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/sakimori/news/070116.html
陸上自衛隊輸送科を示す車輪バッジをつけた制服姿の隊員は、ぼうぜんと立ち尽くした。
二〇〇五年二月四日、石川県の航空自衛隊小松基地。交代する部隊の武器や弾薬を載せてクウェートへ向かうはずの民間チャーター便は前日に続き、姿を見せなかった。
名古屋市の部隊を中心に編成された第五次復興支援群の隊員は空自小牧基地(愛知県小牧市)から、物資は関西国際空港から、それぞれ空輸する計画だった。
間近になって関空が使用拒否を表明。武器類は小松基地から南アフリカの民間チャーター機で空輸することになったが、ついにチャーター機は来なかった。
武器と弾薬は同月十八日、愛知県営名古屋空港から、別にチャーターしたロシア製の超大型貨物機「アントノフ」に載せた。計画の遅れは十五日間に及んだ。
「あのときは胃が痛くなる思いだった」と当時、陸上幕僚監部(陸幕)輸送室総括班長だった加治屋裕一一佐(44)。陸幕輸送室が日本からイラクまでの輸送を担い、車両二百両、コンテナ四百個、品目にして四十五万点を送り込んだ。
隊員の移動には主に民間チャーター機が使われた。加治屋一佐は「すべて入札だった。国内移動とクウェート到着後に使うバス、それにチャーター機の料金をセットにして旅行会社や運送会社が応札した」。イラクへの陸上輸送は国内業者が参加せず、現地業者を探して契約した。
隊員の膨大な荷物を一度に運べるのはアントノフしかなかった。同機を保有しているのは英国とウクライナの航空会社二社だけ。新酒ワインのボジョレ・ヌーボー解禁日が近づくとチャーター料は跳ね上がった。
自衛隊による輸送と比べ、安定感を欠く民間輸送。輸送以外でも、サマワ仮宿営地の建設を請け負った商社による作業は大幅に遅れ、完成したプレハブ宿舎はゆがんでいた。商社役員は「ビジネスチャンスと考えた」と利益第一の受注理由を話す。
それでも、自衛隊が得た教訓は「いっそうの民間活用(民活)」だ。
統合幕僚監部(統幕)で部隊を動かす運用二課長の松村五郎陸将補(48)は「冷戦後の戦争は、イラクのように戦闘地域と民間が入れる比較的安全な地域に二分できる。軍事費削減が進み、どの軍隊も自己完結が困難になっている」と解説する。
民活を積極的に取り入れているのが米軍だ。バグダッドまでの陸上輸送にクウェートの業者を採用し、潤った業者がトラックを新車に替えたことで故障が減り、同じ業者を利用する陸自の輸送が安定した。
陸自が撤収作業に入った〇六年六月、イラク南部で軽装甲機動車が横転、隊員三人がけがをしてドイツの米軍病院に搬送された。
統幕は航空自衛隊のC130輸送機による日本への搬送を検討した。だが、プロペラ機のため四日かかる。松村陸将補は「調べたら、ジェット機による医療搬送専門の代理店が日本にもあった。利用はしなかったが、民間のシステムは自衛隊より進んでいる」。加治屋一佐は「陸自輸送科の幹部は百人足らず。全部自前でやるのは限界がある。部外の力が不可欠だ」と言う。
「軍民一体」。海外活動の本格化に欠かせないキーワードになる。
=おわり(この連載は社会部・半田滋が担当しました)
2007年1月16日
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