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(回答先: 立花隆「政界を大混乱に巻き込んだ安倍首相電撃辞任の真相」 投稿者 木田貴常 日時 2007 年 9 月 14 日 16:37:41)
立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」
第117回 週刊現代が暴いた“安倍スキャンダル”の全容
2007年9月14日
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070914_scandal/index.html
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前回、「安倍首相が入院したら、そのまま出てこない恐れがある」と書いたが、その通りになった。
慶応病院の医者の発表では、3、4日の入院が必要という。しかし、病院側の記者会見でも、その理由がさっぱりわからない。
病名は機能性胃腸障害といっていたが、これは要するに、これといって原因が特定できるような病気は何もないが、「お腹の調子が悪い」ということなのである。
何しろ、内視鏡を入れて胃腸の内部をじっくり検査したが、目に見える異常は何も発見できなかったので、「機能性胃腸障害」というほかない、というのが医者の説明だった。
緊急入院に隠された本当の理由
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機能性胃腸障害が起きた原因としては、「肉体疲労」「精神ストレス」「社会的心理的ストレス」といったことがあげられるという。
要するに、ストレスがかかると、すぐにものが食べられなくなったり、下痢腹になってしまう、先天的に胃腸が弱い人がいるが、安倍首相はその典型なのだ。そのような人は、政治家のようにストレスが多い職業に向かない。
本当は安倍首相はこの日3時から開かれる予定の自民党両院議員総会に出席する予定だった。そこで自分の辞任の理由を説明することになっていた。しかし、医者がそんなことをしたら病状を悪化させるばかりだといって、両院議員総会への出席をとりやめさせた、という説明である。
しかし、この説明が説明になっていないのは明らかだった。担当医はウソを言うつもりがもともとないらしく、言葉のはしばしに真実がにじみ出てしまう。
医師の表情からにじみ出た真実
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たとえば、では、入院させて、どのような加療を行うのかと問われると、なにせ、特定の病因があるわけではなく、胃腸の調子が悪い(「機能性障害」)だけなのだから、特別の治療があるわけではない。基本的にクスリを飲ませるだけであると医者は説明した。
ではどんなクスリか。
「胃酸が足りないようなら胃酸を出させるクスリを、胃の運動が足りないようなら、胃の運動を高めるクスリを」
要するに普通の胃腸薬を処方するだけなのだ。3、4日の入院を必要とする加療とはとても考えられない内容である。
こういう説明をつづける医師の表情にも、真実がにじみ出していた。
つまり、形式ばった、とってつけたような説明をもっともらしくやらされているだけです、とでもいうような表情が、ときどき浮かべる苦笑からはっきり読みとれた。
一般の人が見るニュース用に編集された映像からは、そこまでうかがえなかっただろうが、私はたまたまナマの記者会見をはじめから終わりまで見てしまったので、それがおかしいくらいよくわかった。
発売前の週刊現代記事を巡る前哨戦
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要するに、安倍首相はあれだけ訳がわからない突然の辞任をしてしまったために、いま表に出たら、たちまちあらゆる方面から、理由追及の矢が飛んできて、火ダルマになるのが目に見えている。しばらく病院の中に隠れて、ほとぼりがさめるのを待とうということなのだろう。
とりわけ、前回書いたようにこの土曜日発売の「週刊現代」に、安倍首相の政治資金がらみで、「相続税3億円脱税」疑惑という大特集記事が出ることがわかっているから、その記事が出るまでは、病院に隠れていようということなのだろうと思う。
入院しないで、官邸で通常通りしているところにその記事が出たら、安倍首相にはその件で取材が殺到すること必至なのである。
私は「週刊現代」の仕事もずっとしてきた関係上、知人を通して内容の一部を最近知るにいたったが、これはナミの週刊誌の記事ではない。何年にもわたる取材の厚みが出ていて、ここまでやられたら、安倍首相もやめざるをえないだろうというほど中身たっぷりの記事なのだ。
実は一昨日(9月12日)のうちから、この記事をめぐって激しい前哨戦が繰り広げられている。
辞任当日の毎日新聞9月12日夕刊が、安倍首相の「脱税疑惑」を週刊現代が取材していると報じたことは前回すでに書いた。
まだ存在しない記事に対する安倍事務所の反撃
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そのちょっとあと(12日20時34分)から、時事通信が“「脱税疑惑」全くの誤り=週刊誌取材に安倍事務所”という速報ニュースを流した。
安倍事務所側の反撃がただちにはじまったのだ。さらに、同じ12日の夜23時52分になると、時事通信は
「週刊現代の取材に警告 相続税めぐり安倍事務所」
という記事が出てきた。その内容は、
「週刊現代に掲載予定の記事はまったく事実に反する。掲載しないよう警告する」という文書を安倍事務所が発表したというものだった。
「警告する」とは、法的措置を取るぞという脅しでである。
報道機関に一斉に流された警告文
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この時事のニュースとほとんど同時に、安倍晋三事務所から、
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「(株)講談社「週刊現代」記事(掲載予定)
及び
これに関する一部新聞報道について」
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という文書が、「報道機関各位」あてで一斉にファックスで流された。その書き出しは次のようなものだった。
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(株)講談社「週刊現代」記事(掲載予定)
及び
これに関する一部新聞報道について
1 毎日新聞の本日夕刊(4版)に「『脱税疑惑』取材進む」との見出しを付した上で、『週刊現代』が首相自身の政治団体を利用した『脱税疑惑』を追求する取材を進めていた」との記事を掲載し、あたかも安倍が「脱税疑惑」の取材追及をおそれて辞職したのではないかとの印象を強く与える記事が掲載されましたので、週刊現代の指摘及びこれを無思慮に報じた新聞記事が全くの誤りであることを明確に説明しておきます。
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これが何を意味するかというと、週刊現代の記事内容を紹介しようとするメディアに対し、そういうことをしたら、そのこと自体に対して法的措置をとるぞという警告なのである。
いまの法体系では、名誉毀損は、引用紹介に対しても成り立つという判例が生きているから、この警告はなかなか効果を持つ。
実際このあと、毎日新聞の後を追おうとしていたメディアの腰が一斉に引け、逆に幾つかのメディアは安倍事務所と同じスタンスに立って、「週刊現代」を攻撃する論調に立ちはじめた。
週刊現代が安倍事務所に突きつけた質問状
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しかしこの段階では、安倍事務所は、実は問題の「週刊現代」に出る記事の内容をまだ十分に知らないのである。
なにしろ、その原稿がまだ書かれていなかったのだから、知るはずがないのである。
週刊現代の記事は、12日の夜に書かれ、13日に校了になり、14日に印刷製本され、15日に発売というスケジュールでことが進行していく。
まだ書かれてもいない記事に対する安倍事務所の過敏な反応が何に対して起きたのかというと、「週刊現代」からの取材依頼に対してである。
依頼書には、
「亡父安倍晋太郎氏から安倍晋三首相への政治遺産の継承がいかに行われたかの詳細な分析から浮上したいくつかの政治資金と税金に関する疑問点についてお尋ねします」
という書き出しで、いくつかの疑問点が具体的に、安倍晋太郎・晋三親子の多数の政治資金団体の帳簿から抜いた詳細なデータ付きで書かれていた。
この取材依頼書を一目見ただけで、安倍事務所はビビってしまったのである。
安倍首相側の過剰反応
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そして、雑誌が出る3日も前から(記事が実際に書かれる前から)、報道機関各位に警告書をバラまくというようなことをはじめたわけである。
そして安倍首相自身は、取材依頼を受け取ったその日のうちに電撃的に首相を辞任して、さらにその翌日午前中から病院に入院してしまうという形で公衆の前から姿を消すという道を選んだわけである。
ここまでやりましたから、どうかもうカンベンしてくださいということなのかもしれないが、もう雑誌は校了になって、輪転機がまわっているところだ。大見出しの記事が間もなく出る。
安倍側がこれだけ過敏な反応を示したのも、その取材依頼書を見ただけで、それがどれほど厚みのある取材の上に書かれたものであるかがすぐにわかったからだろう。
要するに身に覚えのある内容だったといういうことではないのか。
そして、これが最高の公人(総理大臣)の、最も基本的な政治的倫理(政治資金問題)に関する疑惑を、公的文書記録(政治資金報告書)にもとづいて追及するものであったため、さらに財務省相続税担当官まで取材してあるので言い逃れはできないし、名誉棄損で訴えることもできないのである(公人に関して公益に資する目的での事実の暴露は名誉棄損に問うことができない)ので、安倍事務所はいまは待つほかないのだ。
財務省の相続税担当官も認める
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『田中角栄研究』をなぜ田中角栄が名誉棄損で訴えることができなかったかというと、あれも、公人に対する公益目的の批判だったからだ。
今度の安倍首相も名誉棄損の訴えを起こすという逃げ道がないから病院に逃げ込んだのだろう。
そして、雑誌に出版差し止めの仮処分をかけるという、かつて行われた強行手段も、先年の田中真紀子の娘と「週刊文春」が争った事件の高裁判決でいまは使えなくなっている。
この「週刊現代」の記事のすごいところは、データ的な取材の厚みもさることながら、財務省の相続税担当官をちゃんと取材して、
「この通りなら、これは脱税ですね」
とハッキリ言わせていることだ。
親子二代にわたる安倍家の政治資金問題
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前回書いたように、この問題は91年に安倍首相の父である安倍晋太郎が死んだときに発生した相続問題に起因している。
安倍晋太郎から安倍晋三にゆずり渡された資産のうち最も価値のあるものは、金銭でもなく、土地でもなく億単位の繰り越し資産を持つ複数の政治資金団体だった。
そこに総裁選出馬にそなえて晋太郎が貯め込んでいた巨額の資産が寝ていたというのだ。
晋三はその資金も丸ごと継承したのに、継承したのは政治資金団体だけということで相続税を払わなかったという。
この継承が行われたときに発生した問題だから、相続税の時効(7年)はとっくにすぎており、いまさら追徴課税がされるという問題ではない。しかしこの記事の通りならば、政治資金問題で何人もの大臣の首を切ってきた総理大臣としては、これは頬かぶりしてやりすごすことができる問題ではない。
安倍首相を追い込んだものの正体
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何しろ、問題がゴツすぎる。
3億円なのだ。これが事実ならば、こんな問題を、まっとうな説明なしにやりすごすことはできないし、安倍首相はもはや二度と政治資金問題について、あるいは税金問題について、もっともらしいことを何一つ語ることができないことになるだろう。
あのときもし、突然の辞任宣言なしに、臨時国会が開かれ、与野党逆転の参院でこの問題の議論が始まっていたり、この週刊現代の記事の通りのことが明るみに出てきたならば、安倍首相がどうあがいても、野党からの国政調査権攻勢を防ぎきれず、国会が止まったり、総理大臣の問責決議案が通ったりして、見るも無残な政治的死亡をとげていただろう。
政治的想像力をちょっと働かせてみることで、そのようなあり得た未来図を頭の中に描いてみることができる。そのような未来図を次々に描いてみれば安倍首相のあのあまりにも唐突な辞意表明の理由がわかるだろう。
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