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(回答先: 安倍と麻生「小泉切り」の密議(2)(Yahoo!みんなの政治 文藝春秋) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 9 月 14 日 14:16:54)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070910-03-0701.html
安倍と麻生「小泉切り」の密議(3)
2007年9月10日 文藝春秋
ブランデーとレモンスカッシュ
安倍がサミットに出立する直前の六月四日午後九時過ぎ、シャツのボタンを上から二つ開け、麻のジャケットを羽織った麻生がひそかに首相公邸に入った。部屋には、麻生の好みのブランデーと水、そして安倍の席にはレモンスカッシュが用意されている。
その夜のテーマはもともと、サミット期間中に安倍が同行記者団を相手に行う内政懇で参院選の勝敗ラインをどう語るかであった。だが、麻生はその話に入る前に、居住まいをただしておもむろにこう告げたのだ。
「総理、万が一の話をしておかねばなりますまい。八九年の宇野宗佑、九八年の橋本龍太郎がなぜ退陣を余儀なくされたか、おわかりですか」
安倍は黙って聞いている。
「話は簡単です。後を襲う首相候補がいたか、後をつくる権力派閥があったからか、どちらかだ。そうでなければ首相は強いもんです。あの三木武夫でさえ、挙党協の力だけでは退陣に追い込めなかった。今はどうです? 挙党協のような力のある非主流派さえない。じゃあ総理のあとは誰ですか? このオレでしょ。そのオレがここでは後を狙わないと言うんだから、政局が起きっこないでしょうが」
安倍はうなずきもせず、下を向いたままだった。麻生は声を励ました。
「万が一の場合、総理、ひとつだけ覚えておいてください。昭和二十年代、あの吉田茂は一度も参院で単独過半数をとれていない。ましてや自前の参院議長を出せていない。それでも保守の筋を通せば大事な法案は通るもんです。しかもこの参院選、どれだけ民主党が勝とうと第一党はとれても、単独過半数は無理。共産、社民の手助けがなきゃ、参院先議の法案ひとつ通せやしないんです。つまり民主党は左に引きずられる運命だ。小沢一郎だって辛いんです」
新聞各紙は七月二十九日の参院選惨敗の夕刻、その情勢を見極めて後に麻生が首相公邸で面談した安倍に「続投支持」を表明したと書いてきたが、もとよりそれは真実ではない。
実際は、麻生は選挙後に安倍に引導を渡す大政局の牽引車の役割はハナから狙わず、誰よりも早く、しかも人知れず、首相本人に大惨敗でも続投が当然だと表明しておくことで、選挙後の安倍新体制のど真ん中に座る道を選択していたのである。
その場では麻生の進言に明確な返答をしなかった安倍も、内政懇で勝敗ラインを聞かれると、「すべての選挙で勝つことだ」とかわし、責任問題が発生するハードルについては明言を避けた。それはどれだけ負けても辞めないというメッセージにほかならず、麻生が「安倍・麻生体制」とでも言うべき新体制へのGOサインと受け取ったのは当然である。
それまでも安倍と麻生が、政局の節目ごと、ほぼ一、二カ月に一度の頻度で公邸会談を続けてきたこと自体は知られている。ただ、首相政務秘書官・井上さえ外して行われるサシの会談の中身が正確に外に漏れることはほとんどなかった。
会話のパターンはいつもこうだ。
安倍は「私のこの判断はどう思われますか」「この先こうしようと思いますが間違いでしょうか」と聞く。呼びかけは必ず「麻生先生」である。
麻生は麻生で「それには覚えておいたほうがいい故事がある」「そのご判断はいかがですかねえ」と忌憚なく論評するが、それでも必ず「総理」と呼びかける自分の矩(のり)は弁(わきま)えてきた。
ただ、麻生にしても、この局面では安倍を支え、安倍の全面支持を得る形で自らへ政権禅譲の道を描くしか手がないのも事実なのだ。
かつて幾度目かの公邸会談で、安倍がこう麻生に告げたことがある。
「小泉純一郎総理からの引き継ぎがあるんです。麻生さんは、いろいろ異論も言うが、引き受けた仕事は必ず仕上げてくれる人だ、とね」
「確かにそうだ」と答えた麻生だが心中は複雑だった。それは、仕事師たる自分への評価であると同時に、仕事を発注するのは首相たるオレであって閣僚はそれに従うしかないのだ、という小泉一流の非情な言葉でもあった。首相との「運命共同体」に身を投じるしかない麻生の限界を、小泉も、さらには安倍も知り抜いているのだろう。
もともと宏池会でプリンス・加藤紘一とそりが合わず、現衆院議長・河野洋平とともに派閥を離れ小派閥に身を置き、長く非主流派暮らしを余儀なくされた麻生である。いまでこそ派閥の長になったとはいえ、十六人の為公会とあっては単独で政局を引き回す力は望めない。そもそも政局の表舞台に躍り出たのも、小泉純一郎に負けた二〇〇一年の総裁選出馬からだ。それ以来、政調会長、総務相、外相と陽の当たるポストに居続けてきたのも、無役で牙を研げるほどの隠然たる党内勢力を手にしていないからだ。
ただ、その安倍と麻生の蜜月関係もいつまで続くかはわからない。ふたりをよく知る久間は、政局を冷徹に読み切る。
「ポイントは来年秋。解散・総選挙なしにそこを越えると、自民党総裁選の前倒し論が必ず出てくる」。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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