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http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/08/15/2007081508164473001.html
社説
きょうは六十二回目の終戦記念日である。先の大戦の犠牲者を悼み、平和を願う催しが各地で行われる。それぞれの立場で過去の教訓と向き合い、二度と戦争をしない国のあり方を見つめ直したい。
戦後の日本は不戦の誓いを憲法に記し、平和国家として歩んできた。防衛政策を抑制的に行い、軽武装の中で焼け跡から復興し経済的に豊かな国になった。しかし、昨年秋に安倍晋三首相が誕生して以降、空気が変わったのは間違いないだろう。
安倍首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げた。九条を含む憲法改正など戦後の社会や国の枠組みを積極的に変えていくと強調し、この一年で各分野に種をまいてきた。
昨年末には教育基本法を初めて改正した。「我が国と郷土を愛する態度を養う」と公共の精神を前面に打ち出し、戦後続いてきた個人重視の教育理念を変容させた。
さらに防衛庁の省昇格、集団的自衛権に関する憲法解釈見直しに向けた有識者会議の設置、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の制定などを矢継ぎ早に手掛けた。
その姿はがむしゃらで、手法には強引さが目立った。国家主義的とされる安倍首相の理念や体質に、歴代首相には見られない危うさを感じる人も少なくないのではないか。
日本周辺では北朝鮮の核実験が暗い影を落とした。東アジアに緊張感を生み、安倍内閣の閣僚らが日本の核保有論に言及した。核問題では被爆地である長崎県選出の久間章生前防衛相が原爆投下を「しょうがない」と発言したことは記憶に新しい。
世界唯一の被爆国として核廃絶をリードすべき政府の姿勢が問われた。長崎市の田上富久市長は、九日の「原爆の日」の平和宣言で「原爆投下への誤った認識や核兵器保有の可能性が語られる中、非核三原則は国是ではなく法制化こそが必要」と提案した。
秋の臨時国会で議論すべきだろう。また、臨時国会では国民投票法制定に伴い、改憲原案の作成や審議にあたる「憲法審査会」が衆参両院に設置される予定だ。インド洋で海上自衛隊が米艦船などに給油活動をするためのテロ対策特別措置法の延長問題も大きな焦点になる。
戦争体験の風化が懸念される中、いずれも不戦の誓いが崩れかねない重要なテーマである。自民党が惨敗した先の参院選では、年金問題などの陰に隠れ憲法改正などは争点にならなかった。臨時国会では与野党とも政局の思惑を超え、腰を据えて正面から論争を尽くす責任がある。
(2007年8月15日掲載)
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