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(回答先: 宇宙基本法案が狙うもの 平和限定から軍事衛星へ (しんぶん赤旗) 投稿者 熊野孤道 日時 2007 年 8 月 06 日 09:31:09)
「しんぶん赤旗」2007年8月2日(木)付9面
宇宙基本法案が狙うもの 平和限定から軍事衛星へ
藤岡 惇
宇宙の核戦場化招く恐れ
「敵の攻撃から日本国民を守る」という第二の論拠に移りましょう。戦時下では、敵の攻撃から「戦争遂行システム」を守りぬくことが防衛の第一義的な課題となることは、洋の東西を問わず、昔から変わらぬ真理です。したがって日本の軍事偵察衛星の第一義的な任務は、全世界から宇宙にまで配備されている米国の新型戦争システムを「集団的自衛権」の名のもので守ることとなります。日本国民の命と暮らしを守るなど、二の次三の次となってしまうのです。
進む宇宙兵器や
原子炉の開発
「軍拡競争をあおらない」という第三の論拠について。宇宙資産というのは、ほとんど丸裸の状態で地球を周回していますので、敵の攻撃には大変弱いのです。「新型戦争」体制の「アキレスのかかと」というか、最大の弱点がここにあるのです。米軍による先制攻撃の恐怖にさらされている国は当然、地上からレーザー光線を発射したり、ミサイルを打ちこむといった方法で、宇宙資産を麻痺(まひ)させ、新型戦争を機能停止に追い込もうとするでしょう。これが「宇宙のパールハーバー」と米軍が呼んできた悪夢の事態なのです。
今年一月に中国が自国の衛星を地上からのミサイルで追尾し、破壊する実験に成功しましたが、このニュースに米軍首脳が怒り狂ったのも道理です。
このような可能性が生まれると、対抗して米軍は軍事衛星に兵器を搭載し、敵の攻撃に反撃する態勢を整えようとしますし、敵の軍事施設を宇宙から攻撃しようとするでしょう。米国の宇宙産業は三十年前から衛星搭載用の宇宙兵器の開発や宇宙配備用原子炉の開発に着手しています。このような事態が来るのを今や遅しと待ち望んできたのです。これにたいして米国に対抗する国は、核弾頭を積んだミサイルを応射し、宇宙空間で爆発させるという戦法で、新型戦争を機能麻痺に追い込もうとするでしょう。宇宙基本法案が成立し、米国の新型戦争システムに組み込まれていくと、宇宙の戦場化、さらには宇宙の核戦場化を招く恐れさえあるのです。地上のすべての生物は、天空に出現した巨大なオーロラを見ながら、絶滅の恐怖におののくことでしょう。
「自前の宇宙産業の発展に役立つ」という第四の論拠に移りましょう。宇宙産業というのは無類の金くい虫です。貴重な資源を「宇宙の穴」に投げ捨てさせ、米国の軍産複合体を太らせることになっても、日本自前の宇宙産業の形成を米国が許すわけがありません。むしろ宇宙が戦場化すれば大量の衛星破片が生まれ、宇宙の科学的・商業的な利用を不可能にする恐れのほうが強いでしょう。
南極条約なみの
平和への努力を
宇宙軍拡を阻止するには、どうしたらよいのでしょうか。今年は「宇宙空間への大量破壊兵器の配備」を禁止した「宇宙条約」制定四十周年の年ですが、この条約に次の三点の修正を加えるべきだと考えます。@宇宙配備の禁止対象を大量破壊兵器だけでなく、兵器全般に広げる。A核実験探査衛星などと異なり、軍事偵察衛星は新型戦争を支える兵器システムの中軸となったゆえに兵器とみなし、配備を禁止する。B宇宙を脱兵器化したうえで、宇宙資産を攻撃・破壊する軍事活動もまた禁止する。私たちは「南極地域は平和的目的のみに利用」し、「軍事基地の設置、軍事演習の実施、あらゆる型の兵器の実験」を禁止した南極条約をもっています。宇宙条約を南極条約に近づけることが求められているのであり、宇宙の(核)戦場化を招きかねない宇宙基本法案は百害あって一利なしだと思います。
(ふじおか・あつし 立命館大学教授)
(おわり)
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