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(回答先: 天木直人―あの人に迫る―9条を変えたら軍備拡大は必至 (東京新聞) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 03 日 16:56:40)
*ディヴェルティメントのブログにて掲載されていましたので転載します。
http://blog.goo.ne.jp/divertimento-k563/e/bacb1a069a1e9af864c06a3f67417929
あの人に迫る:天木直人 (東京新聞3日夕刊より)
参議院候補・天木直人/2007-08-03 21:49:27
(記事を担当された東京新聞・長田弘己記者と天木さん御本人より掲載の許可をいただきたいと考えていますが、許可がいただけない場合は速やかに削除をしたいと思います。 管理人)
参議院比例代表に政治団体「9条ネット」から立候補し、敗れました。まずその話から。
(聞き手・長田弘己記者)
(以下、太字は天木直人さん)
当選していたら国会でイラク戦争について追及しようと考えていました。あの戦争はどうして起きたのか。米国や英国は総括をしているのに、日本だけがしていない。
選挙戦中、自衛隊の幹部が「今の自衛隊の方向性は間違っている。応援しています」とメールをくれました。沖縄の基地問題、イラクでの自衛隊による米兵輸送など、政府は国民に何も説明することなしに進めてきた。事実が憲法九条を通り越して、既成事実が積み重ねられてしまっている。街頭演説では米国追従の日本政府の姿勢はいけないと訴えてきましたが、一般の人になかなか浸透しなかった。やはり、年金問題や生活に対する不安が強いんですね。
私は敗れましたが、今回の自民党の大敗で安倍内閣の憲法改正路線の維持は難しくなったと思う。政界再編も進むでしょう。でも、民主党が出てきても米国との軍事同盟は重視しているから、米国追従の路線はこのままでは変わりません。米国の軍事協力にノ−といえる体制にはならないでしょうね。
イラク戦争開戦前の二〇〇三年、レバノンから小泉純一郎首相(当時)にあてた電報で、日本が米国主導の戦争を支持しないよう意見を述べた。それがきっかけで外務省を去って四年がたちました。首相に「もの申した」あの当時の原動力はどこからきたものだったのですか。
この四年間、本当につらかったんです。
南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)を描いた私の好きな映画で「遠い夜明け」というのがあります。黒人俳優のデンゼル・ワシントンが黒人解放闘争指導者スティーブ・ビコ氏の役をやっています。彼が警察に捕まって拷問される。警官に口答えして殴られる時に彼が言うんですよね。「あなたたちは何をおびえているんだ。私だって怖いんだ」と。黒人解放のために戦った英雄的な闘士が、実は自分も怖いんだということを言ったわけですよ。
怖いと強いは紙一重なんです。人間追い込まれた時に強くなれる。結局どれだけ精神的に追い込まれたかということなのです。追い込まれたということは、自分自身の信念や自分を裏切ることができるかどうか選択を迫られるようなことだと思うんですよ。
私の場合は、もしレバノンという国に勤務していなければ、イラク戦争については人ごとのように思ったかもしれん。レバノンにいてアメリカの中東政策を見てきたわけです。毎日のようにパレスチナ人が殺されている。その上にイラクでみすみす犠牲者が出るあの戦争を行うのは、私は許せなかった。
外務省との縁は切っても、イラク戦争をめぐって国との戦いは続いています。名古屋高裁で公判中の自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟について。
私はそのときすべてのイラク派兵差し止め訴訟に参加しようと思っていたんです。ところが法律技術的に一つのテーマで原告になったら他の場所ではできないということを知って、名古屋一本になった。名古屋は非常に熱心な若手弁護士がいて勉強になったし、結果的には名古屋の訴訟に参加してよかったと思っています。
裁判途中で、私は中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」の東京特派員に電話したんです。日本政府は対米追従でイラク戦争を支持したけれども、日本国民の一部はイラク戦争に反対していること、従ってその日本政府を国民が憲法九条を基に訴えているんだということを中東の国民に訴えたかったからです。
中東で三年間過ごして分かったのは、中東の政府はみんな独裁か王政か軍事政権か、ほとんどが非民主的なんです。それぞれの国民は戦争に反対だし、アメリカの中東政策に反対なんだけれど、指導者はアメリカに助けてもらわないといかんから国民を抑え、敵のテロを抑えるためにアメリカと結託したりしているわけです。
裁判の根拠となっている憲法九条について。
憲法九条を守らなくてはいかんという強い思いを持ったのは外務省を辞めてからなんですよ。もちろん右翼のように自主防衛をして戦争できる国を作ろうなんていう考えを持ったことはなかったけれども、在職時は今の憲法を未来永劫変えないという考え方が果たして国際政治の中で通用するのかとは思っていた。少なくとも攻めてきた時には戦わなくてはいかんじゃないか。そのためには軍隊が必要じゃないか。少なくともどっかの国が襲われている時に、国連が国連軍を出そうとした時に、日本だけ憲法九条があるから出せないということは世界からあまりにも身勝手だと非難されるから、多少は変えるべきだという意見を持ったこともあった。
ところがよく考えてみると、現行の憲法を一字でも変えたら、果てしなく軍備拡大につながっていくのじゃないかと。それは国際政治の現実を見ているとその通りなんです。特に今の日本の置かれている状況を見た時に、アメリカが日本を守るというよりも世界征服のために自衛隊を使おうとしているとしか思えない。そう考えるとどう考えてもおかしいなと。だから、今のアメリカのテロとの戦いへの協力は拒否すべきだと思う。
今、日本国民が忘れてはならないものとは何でしょうか。
外務省を去っていろんな人と会って話してきましたが、みんな「平和と戦争」というテーマで悩んだり、考えたりしていました。小泉、安倍政権がアメリカとの関係を中心に据え、安倍さんに至っては憲法改正すると言い出して国民投票法を制定したのですから、若い人にとってはおそらく初めての政治テーマに接する事態になったのです。
私は一九六〇年の安保闘争時は十三、四歳で、記憶が定かでないけれど、安保闘争は戦後の護憲勢力と保守勢力の政治のクライマックスだった。あの時以来の政治問題に今、直面している。日本が平和に慣れたというか、逆に戦争にのめり込んだアメリカを前にしてもほとんど意見を持たないような戦後六十年の中で、全く過去の政治闘争を知らない若い人たちが後で気付いた時には、現在直面している憲法改正論議は非常に大きな問題となっているのではないかと思う。だから若い人たちは、もっと問題意識を持って政治を見つめないといけない。
2007年8月3日 東京新聞夕刊より転載
天木直人さんのプロフィールは、こちらから
『天木直人のブログ
―日本の動きを伝えたい』
http://www.amakiblog.com/
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