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(回答先: 【評伝】マニュアル革命家の偽善 宮本顕治元共産党議長、死去(産経新聞) 投稿者 熊野孤道 日時 2007 年 7 月 21 日 14:01:37)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070721k0000m070151000c.html
近聞遠見:長州型ドンが消えた 岩見隆夫
ためしに「広辞苑」(第5版)をめくってみる。
<宮本>の項に剣客・宮本武蔵についで作家・宮本百合子が載っている。<旧姓、中条。顕治の妻>とあるが、肝心の顕治の記載がない。同じ共産党幹部、徳田球一、野坂参三は登場するのに、なぜだろうか。
逮捕歴のせいか、と思って田中角栄をみると、ちゃんと載っている。では健在だからか。そうらしい。中曽根康弘、宮沢喜一の名前もない。
次の版から、宮沢、宮本が当然記載されるのだろう、などと余計なことを考えた。今年はビッグの訃報(ふほう)が続く。もう打ち止めにしてもらいたい。
新聞各紙に盛られた宮本顕治元共産党議長の評伝などを読みながら、分量、内容とも首相級だ、と思った。表舞台を去って10年になるのに、このにぎやかさはなぜか。
<宮本支配>が刻んだ波乱の党史のせいだけではない。角栄にみられた人間的懐かしさでもない。ほかに何かがありそうだ。
どの評伝にも<カリスマ>の文字がみられた。もう一度「広辞苑」の表現を借りると、その意味は<超人間的・非日常的な資質。英雄・預言者などに見られる>とある。
私が何度か宮本と接した印象は少し違う。英雄タイプではなく、頑固親爺(おやじ)の人間臭さと細心、冷徹な神経が同居する独特の体臭を漂わせていた。奥目がその感じをさらに深めている。
豪放のような、そうでもないような、多面的なのだ。戦前の<獄中12年>、不屈の非転向が宮本の勲章のようになったが、敗戦直後、東大の共産党細胞が幹部を招いて<マルクス・レーニン主義講座>を開いたことがあった。
宮本は道徳論をテーマに話したところ、学生の一人が、
「あなたは獄中で性欲をどう処理したのか」
と大まじめに質問した。宮本はおたつく。
「おい、どう答えようか」
と司会の安東仁兵衛(のち「現代の理論」誌編集長)に小声で聞き、安東は、
「適当に答えるしかしようがありませんよ」
と言うと、宮本は面白くもない抽象的な答えをしたという。このエピソードを安東の著書「戦後日本共産党私記」で読んで、笑ってしまった。
<この人、やっぱり長州(山口県)人だなあ>
という感じがある。長州人気質が何かはむずかしいが、権力志向、猪突(ちょとつ)、理屈っぽくて非妥協的、遠くを見るのが好きで、処世術にたけ、ずるさもある。性欲問答のようにぎこちないところも。党の幹部会で、宮本は、
「社会主義社会を見ないで死ぬのは残念だ、自分の一生は何だったのか、というのは間違いです。社会主義というのは法則に従って社会発展を促進することで、その促進体が日本共産党なのです」
とぶった。同じ長州出身の岸信介元首相は、
「憲法改正、これは今後もやります。やりますけれども、私の目の黒い間にできるとは思ってない」
と語っている。二つの発言は一脈通じる。自身の役割を流れのなかでとらえ、遠くを見るスケールだ。
この風土は指導的な人物を生みやすい。市川正一、野坂、志賀義雄、神山茂夫ら共産党を仕切った面々はいずれも長州出身、一方、首相は伊藤博文から安倍晋三まで8人を数える。
なかでも、宮本権力は群を抜いて息が長かった。長さが<戦後のドン>のイメージをつくった。日本人の好きな幕末・維新の里に生を受け、反体制の城にこもる長州型ドンだった。
追悼記事が少々派手になっておかしくない。(敬称略)
毎日新聞 2007年7月21日 0時04分
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