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http://blog.so-net.ne.jp/igajin/2007-07-15 から転載。
振り子は自民党の枠を越えて振れるか [参院選]
「振り子の原理」というものがありました。自民党内の主流派閥と非主流派閥の間で、政権が振り子のように振れ、自民党そのものは政権政党として権力を維持していくという「原理」です。
強権姿勢の岸内閣から「寛容と忍耐」の池田内閣へ、金権政治の田中内閣からクリーンな三木内閣への政権交代などが、その代表的な例だとされています。
今日の『日経新聞』のコラム「風見鶏」は、この原理を取り上げていました。その表題が「壊れたままの振り子」とされているように、今の自民党ではこの「振り子」が「壊れ」てしまい、働かなくなっているという趣旨です。
このコラムの最後のところで、筆者の坂本英二政治部次長は次のように書いています。
かつて自民党は世論の厳しい批判にさらされると、非主流派が受け皿となる「振り子の原理」で長期政権を保ってきた。今は安倍晋三首相と異なる主張を正面から掲げ、党内論議を主導していく勢力は宏池会系に限らず見あたらない。
ここで最後に出てくる「宏池会系」というのは、池田派−大平派−宮沢派の流れを汲むもので、現在の古賀派、谷垣派、河野グループを言います。坂本さんは、半月あまり前に亡くなった宮沢元総理を悼みつつ、このような形で分裂したリベラル勢力の弱体化を嘆いているように見えます。
確かに、自民党内を見渡した限りでは、池田派にはじまるこの「宏池会系」も、旧田中派の流れを汲む津島派も、かつての影響力はありません。この二派は、吉田茂の教えを受けた「吉田学校」の優等生である池田勇人と佐藤栄作を源流とし、かつては「保守本流」と呼ばれました。
今日での自民党内の「本流」は、もはやこの流れではありません。それは、岸に始まり、福田に受け継がれ、森、小泉、安倍という首相を輩出した森派−町村派の流れです。
しかし、目を自民党の外に転ずれば、そうとも言えないのではないでしょうか。政権の振り子は、自民党の枠を越えて民主党に振れるかもしれないからです。
そしてこの民主党の中心には、小沢一郎代表をはじめ、最高顧問の羽田孜と渡部恒三、鳩山由起夫幹事長、岡田克也副代表など、自民党から飛び出した旧田中派の流れを汲むものが多く存在しています。
今度の参院選で政権が変わるわけではありませんが、もし自民党が大敗すれば、その可能性が高まります。政権の振り子は、旧福田派が主流となった自民党から、幹部に旧田中派出身者が多い民主党に向けて大きく振れるかもしれません。そうなれば、「振り子」は決して「壊れ」てはいなかったということになるでしょう。
参院選での自民党大敗の兆候は、各種のデータから窺うことができます。たとえば、時事通信社が6〜9日に実施した7月の世論調査結果によると、安倍内閣の支持率は前月比3.1ポイント減の25.7%と、ついに2割台の中頃にまで続落しました。
参院選公示目前のTBSをキー局とするJNNの世論調査では、安倍内閣の不支持率がついに6割を超え、前回より2.1ポイント増の61.5%に上っています。各種世論調査で不支持率が6割を超えたのは、これが初めてです。
読売新聞社が全国のインターネット利用者1000人を対象に実施した「参院選ネットモニター」の第4回調査結果が、14日にまとまりました。それによると、参院選公約で最も評価できる政党は、民主28%、自民20%、公明4%、共産3%、社民2%、国民新1%の順になっています。
参院選に関する読売新聞社の継続世論調査(電話方式)でも、興味深い結果が明らかになりました。自民党の固い支持基盤である町村部でも選挙区選の投票先に自民党をあげる人が減り、急伸した民主党に逆転されたというのです。
参院選の勝敗のカギを握るのは29の「1人区」ですが、ここは町村部を多く抱えています。読売新聞社の継続世論調査を都市規模別(5分類)で見ると、中核都市、中都市、小都市では両党に大きな差はありませんが、大都市部は民主党31%、自民党16%、町村部でも民主党30%、自民党21%と、どちらも民主党が大きくリードしています。
過去4回の調査で、大都市部での民主党優勢は当初から変化がありません。しかし、町村部では自民党が37%→21%と16ポイントも減らしたのに対して、民主党は22%→30%と8ポイント増やし、自民党を離れた有権者を取り込んでいることが分かります。
それでは、どれほどの人が自民党を離れ、民主党支持に変わったのでしょうか。それを教えてくれるのが、毎日新聞の参院選ネット調査です。
毎日新聞は12〜13日、参院選に関する第2回ネットモニター調査を実施しました。「自民、民主両党のどちらに好感を持っているか」との問いに、第1回調査(6月29〜30日)で民主党と回答した人の94%が民主党と答えたのに、自民党と答えた人の20%が今回は民主党と答えたといいます。
自民党から民主党に、好感を持つ人が2割も変化していたのです。その結果、民主党が第1回比5ポイント増の71%となり、自民党が同5ポイント減の28%となりました。その差が、開き続けているということになります。
この調査では新たな質問も盛り込まれました。「安倍晋三首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいと考えるか」という質問です。
これには、小沢さんとの回答が64%と6割を越え、安倍さんの35%を大きく上回っています。以前に紹介した朝日新聞の調査では、小沢さんも安倍さんも不人気で、「両党首とも有権者からの好感度という尺度では苦戦」しており、「両党とも党首の魅力には頼れ」ないとされていました。しかし、毎日新聞の調査では、過半数以上の人が小沢さんの方が「首相にふさわしい」と考えており、それは安倍さんの倍近くもあるということになります。
参院選での自民党大敗の可能性は、公示後も、依然として強まり続けているといって良いでしょう。そうなれば、選挙後に大乱が生じ、政権の「振り子」が自民党の枠を飛び出すような状況が生まれるかもしれません。
ただし、政権の振り子は振れても、それがどの程度実質的な意味を持つかというのはまた別問題です。民主党が、どれほど自民党とは異なった政策を実施するかによって、この振り子の振れ幅は決まることになります。
いずれにせよ、民主党は、基本的には第二保守党です。政権の振り子が自民党の枠を飛び出すことはあっても、保守政治の枠を飛び出すことはないでしょう。
とはいえ、それさえも、今日の日本にとっては、巨大な政治的変化をもたらすにちがいありません。さし当たり、このような変化だけが、危機に陥ったこの日本を救うことができるのです。
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