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(回答先: 年金問題と社保番号導入(花のニッパチ、心のままにU) 投稿者 gataro 日時 2007 年 6 月 17 日 11:19:31)
宙に浮いている5000万件年金記録と社会保険庁解体・廃止法案
http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/a4e00bba97413f24eb0516e80d1d9f29
■この集中的な報道には、何か隠された意図があるのでは?
この間マスメディアでは、宙に浮いた5000万件の年金記録問題が、大きく取り上げられ、さらに、1430万件の未入力の記録があることなど、例によっての「社会保険庁たたき」が展開されていました。
そうしたことから、社会保険事務所に市民が殺到し大混乱、相談窓口を拡充し、臨時の窓口を設け、また、24時間体制で電話照会にも対応する、などと報道されています。
けっして、杜撰な処理や不十分な記録管理を、容認するわけではありませんが、この間のマスメディアの報道に、「何を今頃言っているのか」「いまさら何を言っているのか」、そんな「感じ」を強くしています。
さらに、こうした取り上げ方について、「社会保険庁たたき」ということだけではなく、もっと大きな意図・企図が「裏にある」のではないかと「感じ」ています。
社会保険庁とは、厚生労働省(旧厚生省)の外局で、実務処理・事務処理だけの現業局です。政策的な決定をするところではなく、国会や政府・厚労省が決めたことを「実務処理するだけ」の部署です。
そして、配置されている人員がきわめて少なく、さらにこの間は、配分される予算の削減が続き、その削減の行き着くところとして、現在では、事務処理の経費を保険料から捻出せよ、ということにされてしまっています。
この事務処理の経費を保険料から捻出していることが、例によって「社会保険庁たたき」に利用されたのは、ご承知のとおりです。
基礎年金制度導入に伴う「基礎年金番号の付番」が発端とされていまが、そもそも「基礎年金導入」ということであれば、多額の国家財政の発動が必要であるにもかかわらず、名称だけは基礎年金としていますが、実際には国民年金相当分を老齢基礎年金として、被用者年金(厚生年金・共済年金など)の改悪とその負担で導入したものです。
それは、国の財政支出を削減するためだけの、姑息な手法で導入されたもので、本来の基礎年金といえるようなものではありません。そうしたことから、その導入実施のための実務処理体制も予算も、きわめて貧弱な体制で進められたのです。
全国の社会保険事務所が、どのように貧弱な体制となっているのか、いくつかの事例をあげてみます。そして、そのような実態を作り出しておきながら、「社会保険庁たたき」を煽り、さらなる人員削減と社会保険庁の解体・廃止を強行に進めようとしています。
そして、年金記録というような、お金にかかわる問題を持ち出し、市民の不安を煽り立て、不満や不信を増大させようとしています。その背景・意図を考えてみたいと思います。
●その1
制度発足の1961年から、全国の市区町村に委託して進めてきた国民年金事務が、2002年4月、国に一元化されることとなりました。
市民にとっての窓口は、3000自治体の窓口から、300社会保険事務所へと大幅減少になりました。そして、いくら少なく見積もっても、20000人以上の自治体職員が携わってきたこの国民年金事務が、国に一元化されたことによって、社会保険事務所での増員が、わずか数百名にしか過ぎなかったという事実です。これが一つ目の事例です。
仕事が無くなったわけではありませんから、大量の事務処理・実務処理を民間業者への委託や外注、丸投げという方法が多用されたのです。そうしたことから、徴収率の向上や無年金者を作らないための、きめ細かな収納体制などが取れるはずもありませんし、また、年金記録管理にも万全の体制が取れるはずも無かったと考えられます。この背景はその3で考えてみたいと思います。
●その2
先の国会での、医療制度改革関連法の中で、2008年(平成20年)10月に政府管掌健康保険が、国から切り離され、全国健康保険協会という公法人に移行することが決定されています。
そして、正規職員2000名、非常勤職員1500名が、身分移管されることとなっています。政管健保の加入者は3600万人といわれていますから、加入者10000人に1人という割合になります。
国民健康保険での実態は、1000人に1人の職員配置でも、その事務処理に四苦八苦しているのですから、異常に人員配置が少ないといえます。
その理由はいくつかあります。
まず、被保険者からの保険料徴収は、特別徴収義務者としての事業主が徴収します。そして、給付の申請や資格の取得・喪失などのさまざまな窓口事務は、その事業所の福利厚生の担当者があたっています。
さらに、政管健保も厚生年金の保険料も、一括しての徴収であることから、年金運営新組織(日本年金機構という名が予定されている)が、その収納や資格管理にあたることになっているからです。
本来「公務員がやるべき実務・事務」を、特別徴収義務者などとして法律や規則で、事業主や事業所に代行させていることから、日本の公務員数は極端に少ないのです。税務職員が少ないのも同じ理由です。
ともあれ、配置されている職員が極めて少ないのですから、政府・厚労省から「あれをやれ」「これもしろ」といわれても、対応しきれないのが実態です。
そのことは、過日の記事社会保険庁廃止・解体法案で紹介しているとおりです。http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/449c16f56150cb1ce101f768a7755dc4 これが二つ目の事例です。
こんなに効率のよい健康保険で、かつ、都道府県の支部単位で運営、そして、競争原理を導入しての保険経営とされています。
保険金融資本が食指を動かしているとみて間違いありません。それが、次の課題として検討されている「政管健保の民営化」ということなのではないでしょうか。
●その3
消えた、浮いた、見つからない、社会保険庁の年金記録の杜撰な管理、あなたの年金は大丈夫?とマスメディアは不安を煽っています。
そうしたことから窓口・電話に問い合わせが殺到しています。そのため社会保険庁は、さらなる相談窓口の拡充、電話相談の24時間体制で対応することとしていますが、それをこなすだけの体制が社会保険事務所にあるはずも無く、実態的には、急ごしらえの派遣職員の投入であり、電話受信請負の大手コールセンタへの委託となっています。さらに、ホストコンピュータに接続できる端末機器の不足から、電話がつながったとしても、実質の相談対応にはなっていないのが現実です。これが事例の三つ目です。
日常の通常業務をこなすにも人手が不足していいて、その事務処理などが杜撰や不十分と批判されるような実態であるのに、不安を募らせた市民が社会保険事務所の窓口に殺到しても、適切な対応が取れるはずも無く、不信・不満が増大するだけだと言えます。
どうもそうしたことを、意図しての報道と思えてなりません。
そうしたことで、不信・不満が増嵩しています。予測されることは、確実に国民年金の保険料の納入が激減することです。(厚生年金は天引きですから、支払を拒否したくてもできません)
現在でも危機的な納入率にあるわけですから、残念ながら、国民年金制度は崩壊することになると思われます。
だれも公式的には、国民年金制度を「ぶっ潰す」とは発言していませんが、増税論議と絡めての発言の「税による基礎年金制度」とは、そのことを指しているのではないでしょうか。
■今現在重要なことは、社会保険事務所に押しかけることではない
若い世代の方々が、マスメディアに煽られ、必要以上に不安を募らせて社会保険事務所に押しかけるのは、いかがなものかと思います。
慌てることではなく、この騒ぎが落ち着いた段階で、確実で正確な記録とさせることが重要だと思われます。
今必要なのは、年金を受けとる世代の方々が、社会保険事務所で年金記録の突合・照合をさせ、受けるべき年金を確実に受ける、そのため手続きをすることであり、すでに年金を受けている方々のなかで、その年金記録に不安や不満のある方の、再調査の要望を受けて、丁寧で正確な調査をさせることが重要だと言えます。
宙に浮いている5000万件や未入力の1430万件の年金記録、その問題解決のためには、突合のためのシステムを改善し、その確認作業のテンポを早め、作業の進捗にあわせ、本人申し立てを待つだけではなく、申し立てや確認のための勧奨を進める必要があります。
さらに、現在の58歳時点の年金記録通知に加え、35歳通知・45歳通知が実施されることとなっていますが、それらをさらにきめ細かくして、全ての市民が、自らの年金記録を確認できる、そのような仕組みにしていかなければならないと考えます
そうしたことを確実に実施していくためには、無定見な人員削減や社会保険庁の解体・廃止ではなく、まったく逆に、社会保険事務所に大量の要員配置をして、必要な予算をつけて、年金記録を完全なものとするために、その事務処理体制の強化を図ることがきわめて重要です。
この社会保険庁解体・廃止法案は、当然のこととして廃案にすべきものであり、また、時効などということは、事務処理の不備・不手際であるならば、利子をつけて支給すべきものであり、「5年の時効」などということは論外であり、時効廃止法案などというものも不要です。
■参議院選挙で、改悪の連鎖を断ち切ろう
「社会保険庁たたき」のせられて、「人減らしや予算削減」に荷担しておいて、杜撰だ、不十分だと騒いでみても、何の解決にもなりません。
参議院選挙も近いことですから、この選挙で、本当に憲法25条(社会保障)を、憲法9条(反戦平和)を、護るためにたたかう党派を前進させなければ、この悪循環は断ち切れないと考えます。
2007.06・16 harayosi-2
なお、昨年(2006年)8月に、今年の参議院選挙に向けて書いた記事が、拙ブログにあります。ついでに読んでいただければと思います。
「反新自由主義・反グローバリズムの統一戦線を」
http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/f9f394bf0ee88d8a9eb1db0e54d27748
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