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このコーナーでは、気になる金融・経済のことばについて、
元・外交官 原田武夫ならではの視点で解説します。
世間ではよく目に、耳にする「ことば」。でも、難しくてよく分からない・・・
ところがそんな言葉に、実は「打出の小槌」が隠されていたりします。
難しいことばを難しく解説するのは、当たり前。
それをわかりやすくに解説して、さらに「一歩先を目指す」個人投資家の皆様に
お役立ていただける情報を提供します。
今回は、世間で大騒ぎとなっている、「SOX法」について、簡単に解説し、ビジ
ネスや投資への影響をさらってみましょう。
●「SOX法って何?」
【そもそもSOX法って?】
昨年、2006年6月に金融商品取引法が成立し、いわゆるJ-SOX法が成立しました。
企業の経営者や経理・財務担当者の方が大騒ぎしているSOX法とは何なのでしょう?
SOX法とは、そもそも、米国において、投資家の保護と健全な金融市場の形成
を目的に、上場企業を対象として制定された「上場企業会計改革及び投資家保護法」
の通称です。
日本でも、実はSOX法という名称の法律はなく、「金融商品取引法」という法律が
いわゆるJ-SOX法といわれる法律にあたります。
米国で導入された契機は、エンロン事件、ワールドコム事件など、投資家に
莫大な損失をもたらした会計不正事件です。
したがって、SOX法の導入は、企業の財務諸表を信頼する投資家にとっては、重
大な事件というわけです。
具体的には、企業は、内部統制を構築・強化することになります。
内部統制とは、企業内部での、違法行為や不正、ミスを防ぐ仕組みのことを指し、
この内容について、財務会計監査と同様に公認会計士に報告書を作成してもらわ
なくてはなりません。
【SOX法への対応は大変!】
企業にとって大事件であるのは、SOX法に対応するための内部統制の構築に、大
変なコストがかかるためです。
米国での事例ですが、大企業では1年で約10億円、中小企業でも約1.5億円が
SOX法対応のコストとしてかかる、という調査があります。
(CRA International Inc.
“Sarbanes-Oxley Section 404 Costs and Implementation Issues: Spring 2006 Survey Update” http://www.s-oxinternalcontrolinfo.com/pdfs/CRA_III.pdf)
米国では、このために上場を見合わせる企業まで出たと言われていますし、
一時的な業績への影響もありました。
一方で、投資家保護が進んだという見方から、米国証券市場での投資へのポ
ジティブな影響も指摘されています。
日本でも、投資家保護が期待される一方で、企業業績への影響を懸念しなくては
なりません。
株をお持ちの会社が、対応に積極的であれば、その分業績への負荷も大きくなり
ます。
【大変、はビジネスチャンス】
SOX法関連ビジネスは、株式上場のない会計事務所やコンサルティング会社の
お仕事、そう考えていませんか?
実は、会計事務所は、ただサインするだけで、実際の作業は基本的に企業自体が
行うのです。
内部手続のミスや違法行為をなくすには、と真っ先に考え付くのが、
IT・システムの導入と強化。
またSOX法対応の作業で最も大変といわれているのが、さまざまな社内プロセスの
文書化。相当大量に文書化しなくてはならない、と言われています。
こう考えていけば、上場企業ならどこでもコスト増になってしまうSOX法で
得するのは、大手会計事務所・コンサルティング会社と業務提携のあるシステム・
ベンダー、ということになります。
実際に、SOX法はシステムコンサルティング部門を持つシンクタンクの株価上昇
の追い風、となっています。
日本では、2008年3月の施行に向けて、IT化も含めた数千億規模の巨大市場が、
日本版SOX法に関連して展開していくことになります。
【一歩進んで:SOX法と上場廃止・撤退】
ところが実は、まだSOX法の内容はまだまだ固まっていません。
SOX法の母国米国では緩和の方向にありますが、内容が厳しいか、緩いかで
業績への影響だけでなく、実は大きな問題が生じてくるのです。
今回、ビッグビジネスと言われながら、日本の投資環境ではあまり問題に
されていないSOX法を取り上げたのは、SOX法とは関係のないフランスから、
下記のような報道がなされたからです。
先月、4月30日付のル・モンド紙では、「複数のヨーロッパの大企業が制約の
多い米国の株式市場を離れる準備」の見出しで、厳しい上場基準を持つ
ニューヨーク市場からの欧州大企業の撤退が報じられています。
(http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3234,36-903672@51-893669,0.html)
直接の契機は、6月4日に上場に関する規則が変更になることで、これにより
ニューヨーク市場からの外資の撤退が容易になるためです。
この報道のもつ意味、そしてSOX法など上場に係る規制がマーケットに
どのような影響がでてくるのかについての分析を、公式ブログに近日中に
掲載する予定です。
お楽しみに!!
(中略)
(参考サイト)
◎金融庁:国会提出法案等
(http://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html)
◎金融庁:金融審議会
(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base.html)
◎金融庁:金融商品取引法制の概要について
(http://www.fsa.go.jp/access/18/200607c.html)
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● (本文2)今日の潮目
このコーナーでは、日刊有料メールマガジンスタンダード版でお届けした
記事の中から、「世界の潮目」を1つ厳選してご紹介しています。
【ドイツの動きから日本での動きを察知しましょう】
●「ドイツ流プライヴェート・エクィティ」
(1日付フランクフルター・アルゲマイネ・ツァィトゥング(ドイツ) http://www.faz.net/s/RubBF53424976DC438985BBA461C86C95A7/Doc~E2F2F5BE2E0BC47869
F45FCACC3DAA8E0~ATpl~Ecommon~Scontent.html)
―ドイツで非上場の中小企業を対象としたプライヴェート・エクィティをビジネス
とするドイツ系ファンドが増えているといいます。これらのドイツ系ファンドの
創始者は自らドイツの中小企業であるのが特徴的であり、かつ、英米系のファンド
とはことなって、2、3年で高値売り抜けをすることを目標とはせず、半永久的
に株式を保有し、その利潤の配当は行っていくところが注目されていると報じて
います。
―株式会社というとすぐに上場を目標とするのが「善」であるかのような風潮が
日本では一時期吹聴されていましたが、その後、いわゆる新興市場の上場企業の
粉飾決算が続出し、こうした論調に大きな疑問符がつけられ始めていることも
事実です。しかし、日本では「それでは次に何を目指すのか」が見えていない
というところに問題があります。
―これに対し、ドイツでは金融資本主義の荒波にもまれつつも、買収攻勢を
しきりにかけてくる外資勢から「奪われるだけの 立場」に中小企業を放置する
のではなく、むしろ彼らに積極的な投資を行うファンドを、ドイツの中小企業
出身者自身が作り上げるという新しいビジネスが展開されているというわけです。
代表的なファンドを組成しているEQUITA社は新規の投資額として3億1500万
ユーロを計上しているのだといいます。
―日本の場合には、こうした中小企業を対象とした中小企業自身の金融資本主義
への適応という流れがないからこそ、逆に地銀が母体となった事業承継ファンド
に大量の華僑・華人マネーが流れ込み、その結果、最終的に地方の優秀な
ローテク産業がまもなく根こそぎ中国へと奪われかねないような状況に
なっているのでしょう。嘆かわしいことではありますが、逆にいえばドイツと
同様の動きが出てきた場合には、大きなマーケットが潜在的にあることは明らか
ですので、上記のような「事業承継ファンド」の展開とあわせて、注目しておく
べきです。
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