★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK34 > 129.html
 ★阿修羅♪
「医療崩壊」の鍵握る裁判の行方
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/129.html
投稿者 Kotetu 日時 2007 年 4 月 29 日 18:07:26: yWKbgBUfNLcrc
 

「医療崩壊」の鍵握る裁判の行方
医師を戦慄させた福島県立大野病院事件栫井  雄一郎(2007-02-22 18:32)
 福島県立大野病院で帝王切開の手術を受けた妊婦が死亡し、執刀した医師が業務上過失致死などの罪に問われた事件の裁判が、1月に福島地裁で始まった。明日23日には第2回公判が行われる。


1月26日に初公判が行われた福島地裁。多くの報道陣が詰めかけ、関心の高さをうかがわせた (撮影者:OhmyNews編集部) 初公判の冒頭陳述で、検察側は、医師が「癒着胎盤」と診断した時点で胎盤を子宮からはがすことをやめ、子宮を摘出する手術に切り替えるべきであったのに、そのまま胎盤をはがしたために大量出血となり、患者が失血死したとして、医師の判断を誤りと決めつけている。

 癒着胎盤とは、極めてまれで危険な合併症である。ほかの病院でも子宮摘出しない場合も多いが、この事件の場合、その後子宮摘出手術に切り替えている。

 これは、手術器具やガーゼを体内に残してしまったとか、間違った薬を投与したというような「医療ミス」とは違う。通常の医療行為の範囲内での医師の「判断」を、逮捕をしてまで問うもので、損害賠償などを求める民事訴訟と異なる。この事件が、われわれ医師に与えている影響は、極めて大きい。

 手術は、失血などその場の状況を現場の医師が判断しながら進めるものである。結果から振り返って、術中のある時点の判断が適切だったかと反省することはあっても、その時点で医師は患者を救おうと一生懸命に手術を行っている。それを、警察や検察があとから刑事犯罪と見なして逮捕・拘束するのでは、医師としては怖くて医療行為はできないことになる。

 現実に、医師の間では、産科希望の若い医師が初志を曲げて他科に移ったり、産婦人科医が産科をやめて婦人科のみを扱うようになったりしている。産科は訴えられる率が他科に比べ格段に高いからだ。外科や麻酔科など、やはり業務上過失致死罪に問われる可能性が比較的高い分野でも、希望者や臨床家も減ってきている。「安全」(訴えられるリスクが少ない)と思われる医療にしか携わらない「委縮医療」に、医師が走る傾向が目立っている。

 今回の事件では、業務上過失致死のほか、「異常死」の届け出という医師法21条違反についても罪を問われている。「異状死」があった場合には、医師は24時間以内に警察へ届けなければならないという法令に違反したというものだ。

 これは、医師から見れば形式上の違反でしかないが、これが今回「罪」に加えられたことが医療現場に大きな混乱を生んでいる。「異常死」といっても、その定義は確立したものはない。「届け出が必要な異状死であったと『あとから』見なされる可能性」を考えると、病院の事務作業は大幅に増える。

 現在、社会問題となっている医師不足の一因は、医師に関連する法令の変更や、適用の厳格化にある。「医師が行う」とされる事務処理などが飛躍的に増えているのだ。このため医療現場は忙しさを増しているが、医療費の引き下げが続いており、人手を増やすこともできない。

 医師の労働意欲は低下しており、全国各地の病院で十分な医師が確保できない状態が次々に生まれている。この「医療崩壊」(※)に対して国民が取りうる対策は何か。産婦人科医が足りなければ、女性に子どもを産むのをやめてもらえば良いというのか。

 私は、今回の裁判が「有罪」とされるようなことがあれば、医療上の判断を司法が評価する端緒を開いてしまうことになると感じている。そうなれば、日本の医療の現場はさらに衰退し、国民が受ける医療の質は大きく低下するだろう。裁判所には、その影響の大きさを踏まえて判断を示していただきたい。


 ※医療崩壊 昨年刊行され、医療関係者のあいだでベストセラーになった『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』(小松秀樹著、朝日新聞社)から来た語。医師の疲弊や診療科の閉鎖、医療費削減など、医療が行えなくなり始めている現状を指す。

http://www.ohmynews.co.jp/news/0/5432

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK34掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。