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(回答先: Re:家族の必死の祈り届かず長崎市長死亡(スポニチ) 投稿者 中田英寿 日時 2007 年 4 月 18 日 09:07:56)
犯人にしがみつく妻 長崎市長銃撃・記者ルポ
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji2/2007041804.shtml
「市長が戻ってきました」。選挙事務所の関係者がそう告げた直後だった。「パン、パン」。風船が割れるような、それにしては異様に大きな音だった。何が起きたか分からないまま、音が聞こえた入り口の方に足を向けた。男性が歩道にうつぶせで倒れている。全く動かない。伊藤一長氏(61)だった。
伊藤氏は遊説先から、長崎市大黒町の事務所に戻ってきたところだった。この日は午後八時から報道陣の取材に応じることになっており、私は午後七時四十五分ごろ事務所に着き、奥のソファに腰を下ろしたばかりだった。
「市長が撃たれた」
「救急車、救急車」
絶叫が響く。二人の選対スタッフが、横たわる伊藤氏に声を掛けるがピクリとも動かない。布のようなものを伊藤氏の頭にかけ、そばを離れない。火薬のにおいが激しく鼻孔を突く。恐怖が全身を走り、思わず周りを見渡した。
携帯電話で本社に連絡を突っ込む。ボタンを押す指が震えている。
「デスクを出せ」
絶叫している。
「どちらさまですか」
「いいからさっさとデスクを出せ。伊藤一長が撃たれた。すぐにサツ回りと写真部を駅前の事務所に回せ」
罪悪感を感じながらも携帯電話のカメラを、倒れている伊藤氏に向ける。夜で光が足りず、ぶれてしまう。「くそっ」。カメラを持っていないことを後悔した。
「この人です、この人です」
背後から女性の泣き叫ぶような声。事務所から十メートルほど離れた横断歩道で、数人が男の上にのしかかっている。男の顔は下を向いて見えない。女性は顔をくしゃくしゃにして男の足を離すまいと必死にしがみついている。女性の顔に見覚えがあった。伊藤氏の妻、十四子夫人だった。
救急車が到着する。伊藤氏の頭にかけてあった布のようなものが取られ、伊藤氏はあおむけにされた。口元に血が付いている。目を閉じたまま動かない。救急車に担架で運ばれる。なぜかすぐには走りださない。伊藤氏の秘書が救急車の横に張り付くようにして、窓のすき間から伊藤氏の容体を案じている。
周りを見渡すと人の山。喧騒(けんそう)に包まれている。一報を聞き、駆け付けた市幹部や市議の姿もある。
「離れて、離れて」
警察官が侵入禁止のテープを張りめぐらす。殺到した報道陣と群集が押し出される。
「本社に上がってルポを書け」。デスクから電話が入った。
駅前の歩道橋に上って現場を見下ろした。「新生長崎市 もっと力強く もっとすてきな花を」。ライトアップされた伊藤氏の事務所の看板にパトカーの赤色灯が反射している。どす黒い、重い鉛のようなものを胸に抱えながら、タクシーに乗り込んだ。
(報道部・堂下康一)
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