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(回答先: 戦時個人補償―扉を閉ざした最高裁 [朝日新聞・社説] 投稿者 white 日時 2007 年 4 月 28 日 11:23:53)
□社説:強制連行判決 加害企業は免責されていない [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070428k0000m070154000c.html
社説:強制連行判決 加害企業は免責されていない
被告の逆転勝訴だが、被告にとっては敗訴以上に厳しい司法による糾弾と受け止めるべきだ。第二次大戦中、日本に強制連行された中国人男性らが西松建設を相手取って損害賠償を求めた訴訟の最高裁第2小法廷判決。強制連行の経緯のほか、劣悪な労働環境や原告の心身の苦痛などを認定し、被告側の非を明確にしたからである。
注目されたのは、72年の日中共同声明によって戦争被害を受けた個人の賠償請求権が放棄されたのかどうか、についての司法判断だ。同小法廷は「中国国民は裁判で賠償請求ができなくなった」と初めて判示し、戦後補償問題に司法として決着を付けた。判例となるので、今後は中国人ばかりかアジアの人々が法廷で戦争被害の賠償を請求する道は事実上、閉ざされたに等しい。慰安婦訴訟など同種の裁判でも、個別に特段の事情がない限り、原告勝訴の可能性は消えたということでもある。
注視すべきは、判決が「請求権を実体的に消滅させることまでを意味しない」との判断も示したことだ。その上で、西松建設は中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け、戦後は国から当時の金で92万円余の補償金を取得した、と指摘。「自発的な対応の余地がある」と繰り返し述べ、異例の付言で西松建設を含む関係者に「被害救済に向けた努力をすることが期待される」と、道義的責任に基づく救済を促した。
西松建設はもちろん強制連行に加担した他の企業も、付言を痛切に受け止めねばならない。西松建設側は強制連行や強制労働の事実はなかったと主張し、原告とは安全配慮義務を求められるような雇用契約も結んでいない、と開き直るように反論してきた。しかし、判決は強制連行した労働者の過酷な労働を踏み台に利益を上げた、と認定。法的な救済の対象ではないが、企業が自主的に策を講じるべきだ、と求めたのである。勝訴したから、相手に請求権がないから、と付言を黙殺すれば、国内外の世論が許さないのではないか。
加害企業の責任については、日本人全体でも考えていかねばならない。加害企業の社員でさえ強制連行の事実を知らないともいわれるが、臭いものにふたとばかり事実を隠ぺいし、平然としてきた日本人の姿勢が、アジアの人々の反発を招き、日本の評価をおとしめていることにも気がつかねばならない。歴史に無知な人が多いために、国や加害企業の責任が見逃されてきた面もある。
歴史を直視することから始めたい。強制連行については今も隠匿されている資料があるという。国や加害企業は持てるすべてを明かし、公正な評価に委ねるべきではないか。また、加害企業は日本全体に影響が及ぶ問題と認識し、被害者の救済に乗り出さねばならない。鹿島が「花岡事件」の訴訟で補償基金を拠出する和解に応じたことや、ドイツでは政府と企業がナチス時代の強制連行被害者に補償金を払う基金を創設したことなどを、参考にすべきだろう。
毎日新聞 2007年4月28日 0時12分
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