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(回答先: 国際貢献と憲法を考える(中島岳志・伊勢崎賢治対談)その1―毎日新聞 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 2 月 18 日 19:17:25)
貢献国際と憲法を考える(つづき)
中島:保守の人が納得する護憲論が必要です。僕は今の保守派の政治的主張には共感しません。しかし、本来の保守が前提とした理性への懐疑や人間の不完全性を謙虚に受け止める思想は「なるほど」と思います。理性的統治の限界を直視する点も納得できます。
人間の悪を抑制するために、最低限の暴力を国家が占有するのは当然です。しかし、国家指導者の理性も不完全だから、逆に国民が国家の力を制限する必要がある。その道具が憲法です。さらに、国家は対外的にむちゃな暴力を働く可能性がある。「侵略戦争をしてはいけません」という縛りとして、9条が有効なはずです。
「侵略をします」と言って戦争する国家指導者はいません。常に戦争は「自衛」を掲げます。しかし、「自衛」の概念は主観的な「脅威」意識に基づくから厳密に定義できない。改憲で集団的自衛権を認めれば、自国はおろか同盟国が「自衛」を掲げて行う侵略戦争にも加担しなければならなくなります。9条は日本の主権を守るためにも保守すべきです。
伊勢崎:なるほど。関連しそうな話題ですが、このごろ防衛省が私に話す機会をくれます。この前も話したんですが、聴衆は幕僚幹部候補生で、イラク帰りも2,3人いました。「今までの海外派遣された自衛隊の任務に、現地の軍事的ニーズはなかった」と話した。こういう話が受けるんです。やはり軍人はいかに戦わないかをまず考えますから。
先ほどから例に出しているシンポでは、こんな話もしたんです。自衛隊をサマワに送るべきかが論議されていたころ、私はアフガンで軍閥の武装解除をやっていた。これも米軍の対テロ世界戦略上重要な作業です。そのとき、私たちの意見は「サマワではなくアフガンに来てほしい」でした。アフガンなら国連の決議もあり大義がある。必要な隊員は武装解除の信頼醸成のためのものだから、非武装でいい。東京にもそう要求しましたが、聞く耳を持たれなかった。
そしたらシンポの後、サマワで指揮をした自衛官が「実は私も、同じことを庁内で主張しました」と教えてくれました。なかには、こんな人もいるんです。だから、最近は、防衛省の中の知性を信じたい気持ちもあります。
<対談を聞いて>(鈴木英生)
伊勢崎さんは、小泉純一郎首相(当時)に、東ティモールへのPKO(国連平和維持活動)派遣を「たとえ隊員が死んでも、それを理由に撤退してはならない」と進言したという。伊勢崎さんには日本の国際貢献への自覚が、中途半端過ぎると感じるようだ。それが護憲的主張に結びつくというのが興味深い。また、保守の価値観と立憲主義、9条を結びつける中島さんの論は、中島さん自身あまり語ってこなかった内容で、新鮮に聞こえた。
「毎日新聞」2/15夕刊掲載
[コメント]
自衛隊のことや自衛隊の海外派遣(派兵)を知る機会が少ない中、伊勢崎という人の現場からの話はリアル感がある。改憲ありきの話を毎日メディアを通して聞かされる違和感を現実の近づけてくれる。私はいわゆる「護憲派」に属するのであろうが、あくまでも、この国のあり方を考える上で、どのように考えて行けばよいかを追求しているのであり、そのためには、保守であろうと広く考える材料は得ていきたい。
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