★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK29 > 244.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
政府税制調査会の本間正明会長が21日、辞任に追い込まれた。官邸主導の名の下、石弘光前会長を差し替えて、本間氏を起用したのは安倍晋三首相である。任命した責任は重大であり、政権は早くも深刻な失速状態にあるといっていいだろう。
既に指摘したように、税制調査会長は国民生活に密着した税制改正という重要政策を決める機関のトップだ。国民が納得しがたい行動を取っていたのだから、辞任は当然の判断である。
見逃せないのは、今回の安倍首相らの対応のお粗末さだ。問題が表面化した当初、塩崎恭久官房長官は「ルールにのっとったもの」と説明。首相も「職責をまっとうすることで国民の信頼を回復していただきたい」と辞任は必要ないとの考えを表明していた。
ところが、自民党内からも批判が強まると官邸サイドは「本間氏本人が辞任するというのならやむを得ない」と一転、逃げの姿勢になった。首尾一貫しない対応は首相の言葉の軽さや指導力のなさを見せつけ、内閣の要であるはずの塩崎長官も危機管理の甘さを露呈する結果となった。
メール問題で迷走した前原誠司前代表時代の民主党を思い起こす人も多いだろう。若さと未熟さ。実際、「チーム安倍」と称する官邸スタッフの足並みは乱れ、首相補佐官それぞれ勝手に不満を口にしているといった状況にある。
もっと深刻なのは、首相が世論を見誤っているのではないかということだ。
ただでさえ、安い賃料の公務員宿舎には今、国民の厳しい目が注がれている。そんな中、宿舎などの国有財産売却を促す報告書をまとめた本人の本間氏が、宿舎の便宜を受けていたというのだ。しかも、安倍政権が掲げる大きなテーマは教育再生だ。政権に携わるものには一段とモラルが求められているはずだ。国民の怒りや不信が日増しに強まるに違いないと、どうして早い段階で気づかないのか。そして、なぜ、それを進言するスタッフがいないのか。
失速のきっかけとなった郵政造反組の自民党復党問題も同じように世論を甘く見たのではなかったか。支持率低下に歯止めがかからない首相は何とかばん回しようとしたのだろう。19日には自ら記者会見に臨んだ。だが、会見は記者の質問を打ち切って早々と終了し、逆に批判を招いた。事前に用意した台本を読んでいるように見えるから、「顔が見えない」と言われているのだ。これも勘違いとしか言いようのない対応だった。
今回の辞任劇の背景には、安倍政権の「上げ潮経済」路線を主導する自民党の中川秀直幹事長と、それに反発する党内勢力との路線争いもあるとみられる。ただ、議論が活発になるのはいいとしても、政権与党内の意見を調整し、最終的に決断するのは首相だ。
まだまだ改革の断行が必要だ。従来以上に強力な政治主導が求められているのに、官邸の対応が後手に回り、さまよっているようでは情けない。
毎日新聞 2006年12月22日 0時34分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20061222k0000m070189000c.html
「毎日新聞」2006/12/22社説
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK29掲示板
フォローアップ: