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http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20070111/126359/
より抜萃:
働くことばかりがイノベーションか
2007/01/11
高野 敦=日経ものづくり
日本経済団体連合会(経団連)会長の御手洗冨士夫氏によるレポート「希望の国,日本」が元日早々に発表された。BRICs諸国の台頭や人口減少といった状況下,日本がこれからも輝き続けるためには生産性向上が必須条件であり,イノベーションが生み出されるための環境の整備が求められるという内容だ。だが,その内容に違和感を覚えた。
まず筆者が驚いたのは,レポートのp.13において「清貧は尊敬すべき信念の一つであり,倫理性を欠いた際限のない蓄財は,貪欲や拝金主義として退けなければならない」と,御手洗氏が突然精神論を持ち出したことだ。いや,精神論を持ち出すことはよい。ただし,御手洗氏は潤沢なキャッシュを抱えるキヤノンの経営者でもあり,筆者には強烈な皮肉に感じた。キヤノンの2006年9月末時点における現金および現金同等物の残高は1兆244億円で,これは同社の総資産の約1/4を占める。この割合が高いか低いかは諸説あると思うが,例えばやはり財務優良企業の代表格であるトヨタ自動車の場合,同時点における現金および現金同等物の残高は1兆9063億円,総資産は30兆478億円なので,現金資産の比率はキヤノンの方が圧倒的に高い。
これは際限のない蓄財ではないのかと聞いてみたくもなるが,御手洗氏の指摘は続きがある。「しかし,国民の大多数は,今日より明日が,明日より明後日の生活が,より豊かであることを期待できなければ,いきいきと暮らし,勤労への意欲を保ち続けることはできない」。キヤノンの“蓄財”も,好意的に解釈すればいつ何が起きるか分からない明日への危機感の表れなのかもしれない。成長に向けた企業買収資金にもなりえる。
しかし,イノベーションという観点から言えば,これだけの現金が眠っているのは損失である。また,御手洗氏は,企業がイノベーションを生み出すための条件として法人税の引き下げを挙げている(消費税引き上げで減収分を補う考え,ただし所得税引き下げで個人への影響を緩和を図っている)が,財政面で企業が潤えばイノベーションが生まれやすいというのはやや短絡的な考えではないだろうか。
イノベーションを実現するのは企業かもしれないが,その種は市場の要求であり,さらにもとをたどればそれは人間一人ひとりの欲求である。日本がこれまで多くの分野で技術の最先端を走ってこられたのは,市場からの飽くなき要求,あるいは洗練された消費とでも表現すべき状況があったからだと筆者は考える。
このように考えるに至ったきっかけは,(後略)
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