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特集ワイド:山崎拓・自民党前副総裁 北朝鮮との対話の狙い まず核問題解決を
◇そうすれば拉致も片付く、相手は国交正常化を求めているのだから
山崎拓・自民党前副総裁(70)が5日間にわたり北朝鮮を訪ねた。拉致問題解決の糸口は見いだせず、北朝鮮の核問題をテーマにする6カ国協議も思うにまかせない中、「二元外交」の批判覚悟で出向いた真意は何か。そして、北朝鮮の対応はどうだったのか。【松田喬和、太田阿利佐、坂巻士朗】
−−帰国した13日、塩崎恭久官房長官は「国会議員が北朝鮮へ渡航されたことは望ましくない」と不快感をあらわにした。党も政府も冷たい反応です。
山崎氏 うーん。特に意識はしていなかったんですけど、ほとんどのマスコミ、国民が期待する(訪朝の)成果は、拉致被害者を連れて帰ることですから当然こういうことになる。でもそれは政府間交渉の話であって、私は諸懸案についての対話と説得のため行ったんです。
<平壌空港には、外務省アジア局の幹部ら約5人が迎えに来た。会談場所は外務省と宿泊先となった同省の招待所。主な相手は、宋日昊(ソンイルホ)日朝国交正常化交渉担当大使だ>
山崎氏 私を受け入れたことが、北朝鮮の態度が真剣になったという一つの証拠です。宋大使には「誰と誰に会いたいかを出してください」と言われました。会談相手は約束により公表できないが、ほぼ実現した。
−−2002年9月、小泉純一郎前首相と金正日(キムジョンイル)総書記が日朝平壌宣言を出しました。以来、政府が繰り返すのが「対話と圧力」の姿勢です。
山崎氏 被害者5人と家族7人が帰国できたのは対話によってです。その後日本政府は圧力一辺倒に転じ、前進がない。圧力をかけ続けることで核兵器保有を断念させ、拉致問題を解決できたら評価すべきことです。でも解決できなければ責任問題だと思いますよ。政治家の良心として、局面の打開のために行動しているわけです。
−−拉致問題と核問題の解決の道筋は?
山崎氏 政府は、拉致の解決が前提という立場をとっているわけです。ただ現実には、北朝鮮の対応は、日本政府を相手にせず、となっている。6カ国協議で拉致問題を取り上げろと言っても北朝鮮は応じないし、他の国も「ここはまず核問題じゃないか」という意識です。国際政治の現場、6カ国協議で、日本は今、何の役割もない並び大名になってしまっています。北朝鮮の核は、他国よりもむしろ日本の安全保障問題なのに、です。
しかも今月22日をめどに、金融制裁をめぐる北朝鮮と米国との協議が始まろうとしている。私はいずれ決着がつくとみています。そうすれば北朝鮮は6カ国協議に復帰する。
<山崎氏は、05年9月に6カ国協議で採択した共同声明文書のコピーを取り出した>
山崎氏 これをね、(宋大使との間で)逐条審議しました。彼らが強調したのは「6カ国は」です。声明文では、米国は北朝鮮を侵略する意図はないと確認するとか、大韓民国はこれこれすると書かれている。彼らは、なぜ6カ国がそれぞれに実行しないで北朝鮮だけに先に核放棄しろと言うのか、と言う。日本についても記述がある。
<声明文には「北朝鮮と日本は、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、懸案事項を適切に解決することを基礎として、国交正常化のための措置を取ることを確約した」とある>
山崎氏 宋大使とは、平壌宣言はまだ有効であることを確認しました。ここ(平壌宣言)に戻ることを彼らは望んでいる。6カ国協議がまとまり、各国が実行に移す段階になれば、平壌宣言を実行する。そこで拉致問題も片付けられる。
<話しながらコツコツと机をたたく。「ここを分かってほしい」との思いが強いようだ>
山崎氏 日本は、北朝鮮が国交正常化を望んでいるという認識が足らない。政治家も、拉致被害者を帰してくれれば国交正常化はしなくていいと思っている人が少なくない。核問題を片付ければ、必ず拉致も片付く。北朝鮮は国交正常化を求めているんですから。
<宋大使らの主張は従来の北朝鮮の主張と変わらない部分も多い。「拉致問題は解決済み」「(北朝鮮が横田めぐみさんのものと主張する)遺骨を返せ」。山崎さんは「原因は何であれ、ここ(北朝鮮)にいる日本人の生存者を全員返せ」と迫ったという>
山崎氏 答えはなかった。ただ否定もしなかった。私は「生存者はいる」というニュアンスに取りました。日本人妻やよど号事件関係者もいるから、誰を指すかは分からない。でも、他の生存者の存在を否定しなかった。私が「遺骨については政府間でやってくれ」と言うと、「この(安倍晋三)政権は信用できない」とも言っていた。小泉政権への信頼度とは差がある。それはしようがない。ボタンの掛け違いです。
−−平壌の様子は。
山崎氏 氷点下10度の平壌では、大同江の氷の上を渡ったり、穴を開けて釣りをする人々が見られた。地下100メートルを走る地下鉄の見学もした。食事はぜんぶ朝鮮料理です。鍋はなかったが、マツタケも1本ぐらい、むこうの酒も出ました。
<最後の晩は北朝鮮関係者を招待所へ招いた。滞在費約30万円は山崎氏側が負担。北朝鮮側の担当者が常に同行し、日本との電話連絡は不自由だった。訪問の詳細は、明らかにできない部分も多いようだ>
−−この訪問をどう生かすのか。安倍政権との関係は良くないが。
山崎氏 正直、緊密とは言えません。でも核開発が進めば取り返しのつかないことになる。米中韓の親しい友人らと情報を交換しあい、かつ6カ国協議を激励し、朝鮮半島の非核化を必ず実現させたい。私は韓国とも中国ともベトナムともいい。アジアの指導者たちとケミストリー(相性)が合うのかな。宋大使とも初めて訪朝した12年前から連絡を取り合っている。虎穴に入らずんば虎子を得ずと言います。
6カ国協議がダメになったら、北朝鮮はその瞬間に次の核実験をするでしょう。事態がどんどん進んでしまう。トラが大きくなってから「元の穴に戻れ」と言っても入れない。だから今のうちに説得しようと思って行った。あちらには「使えない核を持ってどうするのか。どっかの独裁者が核ボタンを押したら、撃ち合いになって人類は滅亡するぞ」と言いました。よく理解しないのは、極限状態になっているからでしょう。
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毎日新聞 2007年1月18日 東京夕刊
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