★阿修羅♪ > 日本の事件26 > 499.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 幼児殺害「逆転有罪」、自白変遷は「表面的」と指摘 [読売新聞] 投稿者 white 日時 2007 年 7 月 06 日 16:33:02)
□豊川の幼児殺害事件:有罪にできるのか? [飯大蔵の言いたい事]
http://iitaizou.at.webry.info/200707/article_8.html
豊川の幼児殺害事件:有罪にできるのか?
<< 作成日時 : 2007/07/07 00:48
トラックバック 0 / コメント 0
愛知県豊川の幼児殺害事件に高裁で有罪判決が出たと報道されている。
****
愛知県豊川市平尾町の村瀬翔(しょう)ちゃん(当時1歳10カ月)を02年、市内のゲームセンター駐車場から連れ去り、海に投げ落とし殺害したとして殺人と未成年者略取の罪に問われ、1審・名古屋地裁で無罪となった派遣社員、田辺(旧姓・河瀬)雅樹被告(40)に対する控訴審の判決公判が6日、名古屋高裁であった。前原捷一郎裁判長は「自白は自発的になされ、中核部分は客観的事実と齟齬(そご)がなく、根幹部分において十分な信用性が認められる」として自白調書の信用性を認定。1審の無罪を破棄し、懲役17年(求刑・懲役18年)の逆転有罪を言い渡した。弁護側は上告する方針。
毎日新聞 2007年7月6日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070706dde001040044000c.html
****
1審・名古屋地裁の判決文を見る事ができる。
平成18年1月24日宣告平成15年 第940号
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061116142531.pdf
無罪とした理由は「本件の各公訴事実を被告人が行ったことについては,犯罪の証明がないので,刑事訴訟法336条により,被告人に対し無罪の言渡しをする。」と最終的にまとめられており、私はこの見方が正しいと思う。
判決文他から事件の経緯をまとめてみる。
・赤ちゃんは平成14年7月28日午前1時20分ごろ、駐車場から連れ去れた。
・,同日午前3時ころから午前3時20分ころまでの間に行われた警察による駐車場の駐車車両のナンバーチェックで被告の車が確認されている。
・赤ちゃんは同日午前5時30分ころ、西南方向に直線距離で約4.5キロメートル離れた愛知県宝飯郡e町大字f字g号地eg区北側岸壁にて死亡した状態で発見された。
・村瀬さん(赤ちゃんの父親)は事件直後、警察官から「お前が犯人だろう」と言われたという。
・同年10月5日,警察は,被告人が当時使用していて,その数日前ころ売却したワゴンRについて実況見分を実施し,車内から指紋や毛髪等を採取するなどしたが,Bの指紋や毛髪等は発見されなかった。
・平成15年4月13日午前4時20分被告に任意同行を求め、事情聴取が始まった。
・判決は平成18年2月22日:無罪
自白以外の証拠は次のものしかない。
検察側は物的証拠は提出出来ず、車の目撃証言だけだった。しかしその目撃証言も平成14年7月27日午後10時30分ころのもので、事件が翌日午前1時ごろとすればかなり時間的に隔たった物だ。
被告人に対しては,任意同行直後にポリグラフ検査が実施されたと認められるが,その結果については証拠請求されていない。
今日の記事で
****
控訴審で検察側は田辺被告を犯人とうかがわせるポリグラフ(うそ発見器)の結果と、事件直前に田辺被告の車を見たとする目撃者2人の追加尋問で信用性を補強した。弁護側は反論していた。
****
とあり、前回出さなかったポリグラフを証拠提出し、目撃者の証言を取り直したようだ。記事でははっきりしないが、車を目撃したという証言と推測できる。
多くの車が駐車する、店の駐車場に被告の車があることが状況証拠になるのだろうか。それが決定的な証拠と言うのなら、そこに駐車している車の持ち主はすべてが容疑者となるであろう。他の証拠をほんの少し補強できる程度のものだと思う。
ポリグラフを前回出さず、今回出したのはいかにも異常だ。心理状態でおかしな結果が出る事も指摘されているし、それを騙す事ができる人も実際にいるようである。これも決定的証拠にはなり得ないものだ。
このように自白以外に、物的証拠がなく、目撃証言も証拠能力が少ない事件は冤罪の可能性が多い。
しかも車を捜索するなど捜査線上に上がっていたにもかかわらず、逮捕されたのは8ヶ月以上経ってからだ。被害者の親までを犯人扱いすることは捜査が難航していた事を示すものだろう。犯人を何とか見つけようとするときは、警察は無理をする事が多い。
動機についても分かりにくい。
****
赤ちゃんの泣き声を聞いていたが,妻から文句を言われてイライラしていたところに,赤ちゃんが泣いて眠れなくなったので,腹が立ち,赤ちゃんをどこかに連れていって,置いてこようと考えた。
そのころ,とっさに,赤ちゃんを海に投げ捨ててしまおうと考えた。
****
と供述ではなっている。しかし被告には妻と子供がおり、子供が学校に行っていない事を心配する親でもある。泣き声ぐらいで殺すとは思えない。
憲法に
****
第38条
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
****
目撃証言があるからこの条文は適用されないと言う主張はおかしいと思う。この事件はこの条文を適用すべき事例だと思う。
「疑わしくは罰せず」と言うが、検察側の立証はそのレベル「疑わしく」に達していないと思う。「犯罪の証明がない」が正しい理解だと思う。
被害者の親が、「犯人が分からないまま弟に翔のことをどう話せばよいのか」と言う気持ちは良く分かる。しかし、「内容を聞いていて、河瀬(田辺被告)が犯人だという確信を持てた。」と言うのはどんな確信なのだろうか。自分を納得させようとしているだけではないのだろうか。
「早く罪を認めてほしい。(本人から)自分がやったと聞きたい」と言う。その通りだ。しかしこの言葉は被告に言うのではなく、警察に言う言葉だ。しっかりした証拠を突きつけ、否定できないように加害者に問いかけ、上記の言葉が聞かれることが望ましい。本件の被告を加害者と決め付ける事は出来ないと思う。
取り調べ方法はいつものように闇の中だ。しかしこの事実だけでも異常な取調べだと思う。
****
その日の取調べの最後の段階で,S警察官は,被告人に対して,翌日も取調べをする旨伝え,どこに泊まるのか尋ねた。
被告人に対し再度ホテルに宿泊することでよいか確認すると,被告人がそれでよいなどと答えた。
ホテルの宿泊料金は警察が負担している。
****
その日の取調べ時間は4時35分から9時15分までの17時間弱だ。任意の取調べでこんな事が許されるべきなのか。
無罪の判決を出した地裁でも取り調べは適法としている。
裁判所が自白を重視しすぎるために、警察が捜査段階で自白を誘導する事が起こっている。事情聴取をビデオに録画する事はこれを防ぐ事ができる方法であり、即時実施すべきである。
被害者の親は「1審で無罪になったことで『真犯人がいるのでは』との不安が常にあった」と言っている。取調べの可視化が容疑者のみならず、被害者にもメリットがあると考える。
参照記事
愛知・男児殺害:「真実明らかに」父親安堵 逆転有罪
毎日新聞 2007年7月6日 11時19分 (最終更新時間 7月6日 12時56分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070706k0000e040031000c.html