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“慎太郎銀行”お先真っ暗…資本金の7割食いつぶし(ZAKZAK)
「素人銀行」の酷評…首脳入れ替え
石原慎太郎東京都知事の肝いりで開業した「新銀行東京」の行く末に、金融当局が大きな不安を感じている。2005年4月に資本金約1200億円で開業したものの、07年3月期までの累積赤字は849億円。すでに資本金の7割強を食いつぶしているうえ、赤字体質は依然続いている。6月に経営陣を入れ替えるテコ入れを行ったが、前途は多難だ。
新銀行東京は、東京都が1000億円、日立製作所やNTTコミュニケーションズなどの民間企業が約200億円を出資して設立された。都の出資比率は80%超に達し、事実上の都営銀行となっている。
当時、不良債権処理に追われていた大手銀行が弱い立場の中小企業に対して貸し渋りや貸しはがしをやり、国会で問題になった。こうした状況に業を煮やした石原知事が「高い技術力を持つ中小企業が日本の命運を左右する」として、中小企業向け融資を柱とする同行を立ち上げた。
その立派な志をよそに迷走しているのは、最大のセールスポイントになっている迅速な審査の無担保融資が、巨額の不良債権を生んでしまっていることにある。
開業1年目の05年度に約17億円だった不良債権処理損失は、06年度になると206億円に急増。今年3月末時点の不良債権比率は6.42%にまで上がっており、金融関係者は「しょせん素人銀行だ。中小企業を支援するつもりで、再生の見通しのない会社にまで貸し出してしまっているのではないか」と厳しい。
さらに、規模拡大もうまくいっていない。計画では、来年3月末に中小企業向け融資・保証残高6020億円、口座数は100万件を想定していた。が、今年3月末時点の実績は、中小企業向け融資・保証残高が2010億円と目標のわずか3分の1。口座数にいたっては10分の1にも満たない9万2000口座となっている。
「せっかく大きな器を作ったのにお客が集まらず、システムやコストの維持費ばかりがかかる。しかも、わずかながらやってきたお客は(他の金融機関が顔をそむけるような)質の悪いお客ばかりで、不良債権が積み上がる。何から何までうまくいっていない」(金融コンサルタント)
その結果、07年3月期までの累積赤字は849億円に達し、今期も79億円の最終赤字を見込んでいる。累積赤字は928億円に達する見通しで、当初資本金の8割近くが吹き飛ぶ計算だ。
こうした苦境を打破するため、トヨタ出身の仁司泰正氏が今年6月にトップ(代表執行役)を退き、後任にりそな銀行出身の森田徹氏が就任。合わせて新たな中期経営計画も発表され、融資の審査手法の見直しなどで09年度の黒字化を目指すとしている。
不良債権処理を終えた大手銀行が攻めの経営に転換し、銀行間の競争が激しくなるなか、新計画の実現性に疑問を持つ金融関係者も多い。運よく新計画が達成されたとしても、09年度の業務純益はわずか5億円を見込むだけ。苦しい台所事情はまったく変わらない。
金融庁関係者が本音の部分をこう明かす。
「赤字体質の改善は容易ではないだろう。石原知事もいろいろ動いてはいるが、資金面で支援してくれるスポンサーは見つかっていないようだ。残る道は資産の切り売りによる規模縮小くらい。それでもダメとなった場合、最悪、“廃業”もあり得ない話ではない」
新銀行東京から目が離せない。
ZAKZAK 2007/11/07
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_11/t2007110712_all.html