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「少子化する高齢社会」金子勇/日本放送出版協会‘06年のはしがきから抜粋
本書は、…近未来の「適性人口社会」への質的転換を図るための条件を探求し、多方面からの議論の素材を提供するものである。私の現状認識は「少子化する高齢社会」である。
日本人口はピークとしての1億2800万人に到達しないままに2005年から減少を開始した。人口問題研究所による‘03年予測では、2050年は9000万人を割り込むが、2040年はかろうじて1億人と想定されている。本書はこの1億人を最低ラインとして、いわば適性人口と想定する。
日本における少子化の直接的原因は既婚者の出生力の鈍化と未婚率の上昇であり、両者は平成になってから時代の一貫した風潮になっている。同時平行して、団塊の世代が、高齢者の仲間になる時代が到来した。現代日本人の平均余命や寿命からすると、2025年には確実に30%の高齢化率が見込まれる。
誰でもが高齢者になるから「高齢社会」への創造力は比較的得やすいのに対して、大人は決して子どもにはなり得ない。…このため、個人にとっても社会にとっても、少子社会の到来は深刻な問題を引き起こすという想像力が働きにくい。
その結果、少子化でも一向に構わないというメリット論への支持が残り、社会的視野が欠落した「勝ち犬、負け犬」といった個人レベルのライフスタイル論争が過熱する…。ただし、個人が自由に選択したライフスタイルの維持は、社会システムが通常に作動してはじめて可能である。各種サービス(健保・介護)の提供者も災害時の救助活動者も、現世代が育成した次世代からしか供給されない。この当たり前のことに、現代日本人はやや鈍感になってきたのではないか。
少子化を放置すれば、個人の健康を守り安全で快適でもある社会システムは破壊される恐れがある。各方面で人材が不足(すれば)、少子化メリット(通勤通学・受験戦争・住宅事情の緩和)など、簡単に吹き飛ばす猛威を振るうであろう。若者文化が衰退し、学術研究の裾野も縮減するはずである。その被害は(末代にまで)等しく及ぶ。
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