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地球は熱的に開放系であり、熱的エントロピーは宇宙空間に捨てることができる
http://www.asyura2.com/07/nature2/msg/535.html
投稿者 短足鰐 日時 2008 年 1 月 31 日 20:38:39: 1dEIvwQCPSw5M
 

「資源物理学入門」槌田敦/NHKブックス S60年 から引用

 「金星の地表は現在も500度C90気圧であるといわれている。金星の地表温度が高いことは、太陽に近いことによっているのではない。金星は地球の約2倍の日射量を受けるが、金星の大気上空に存在するドライアイスなどの雲がほとんど反射してしまうため、太陽光の吸収量は地球の場合より小さく、金星大気上空の温度はマイナス60〜40度C程度で、地球のそれよりずっと低いのである。
 金星の地表温度が高いのは、金星の大気に水蒸気が少なく、地球の水循環のような冷却機構を持たないからである。つまり、金星の大気の断熱性はきわめて高く、金星地表では熱と物質の流れはほとんど存在しない。このような閉鎖系大気であれば、生きている系は存在できない。金星地表は、熱平衡つまり死の世界であり、地球地表は、熱定常つまり生きた世界である。平衡と定常は意味がまるで違う。」(第八章 地球をどうみるか)

 「地球上には、生命活動以外にも、さまざまな活動がある(風雨・火山・地震・その他)。これらはすべてエントロピーの発生源である。それにもかかわらず、去年と同じ今年を35億回繰り返し、地球のエントロピーを定常的に保ち続けてきたのは、地球にエントロピーを捨てる機構があったからである。」(第八章)

 「水蒸気を含んだ気団が上昇すると、断熱的に膨張し、100mにつき、0.6〜0.7度Cの温度降下となる。このようにして大気上空に5km程度でマイナス23度C程度になる。この温度で大気中の水蒸気が分子振動し、その結果、遠赤外線の形で熱を宇宙に放射処分することになる。
 熱を失った水蒸気は、結氷し雲になる。これはやがて、雨または雪として地表に戻ってくる。
 結局、地表で、これまであまり汚染を意識しなくて済んだのは、この水循環と対流が地表のエントロピーの掃除を引き受けていたからである。このエントロピーを捨てる機構こそが、地球上に生物の発生を許し、それを持続させる根拠をつくったのである。
 ところで、気団の浮力というのはまったく偶然的なことである。それは、この気団が窒素ガスで構成され、その中に水蒸気が含まれるから、そういうことになるのである。金星が死んだ星で、地球が生きているのは、地球が水の惑星で、大気の主成分が窒素だからである。」(第八章)

〔第三章の注「汚れとしてのエントロピー」;エントロピーとは、物理学的にいうと拡散の程度を示す指標であった。ここでは煩雑すぎるので「汚れ」と表現する…。「乱れ」「乱雑」「無秩序」のような表現方法は誤解をまねく。〕

〔短足鰐〕
 水蒸気が上空5キロで、マイナス23度Cの遠赤外放射をし、再び液体の水にもどるという仕組みはとても重要だ。この熱放射がなければ廃熱を宇宙に捨てることもできず、水蒸気のまま空中に漂い雨も降ってこないことになる。この仕組みによって、生命活動や自然現象によって生じた廃熱を宇宙に捨て去ることができる。(本書のどこかに「地球は熱的に開放系である」と書いてあるのを見かけたが、どのページが見失ってしまった。)
 また最近の(と思われる)槌田先生の論文でも↓、CO2が増えたからといって、地球の熱的開放系が阻害されることはない、と主張されている様子なのも力強く、啓発的である。

 ただ、廃物については宇宙空間に放り出すわけにもいかず、エントロピーが蓄積していくことになり、大きな問題である。
(つづく)
 
 CO2温暖化脅威説は世紀の暴論【槌田敦(名城大学商学部)】
 http://www.asyura2.com/07/senkyo45/msg/780.html 
 投稿者 ワヤクチャ 日時 2008 年 1 月 03 日 17:35:21: YdRawkln5F9XQ

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