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(回答先: 【緊急報告】深刻化するオーストラリアの大渇水 ―大干ばつは大陸を干上がらせる!?― 投稿者 ウソ捏造工場 日時 2007 年 5 月 04 日 13:59:11)
ダム建設か、水再利用か、海水淡水化か
オルバリーから空路でメルボルンに入った。同市は人口337万人を超す同国第2 の大都会だが、この都会でも渇水は深刻な状態で、公園の池は干上がり、噴水は水を噴き上げない。ビルの屋上を貯水プールに活用しているところもあった(写真-6)。私は、同市にある州政府機関Melbourne Water( 上下水道局)のWater Discovery Centre(下水道処理センターに水関連研修センターが併設されている)を訪ねた。広報担当の若い女性はメルボルンの下水処理システムや河川浄化対策を説明するとともに海岸沿いに広がる施設を案内してくれた。
「干ばつ対策の切り札は、ダム建設か、水再利用か、海水淡水化か。そのどれを選択するかは、このビクトリア州でも最大の政治的テーマの1つとなっており、当然選挙戦の対決テーマになっています」
「この下水処理センターでは残念ながらリサイクルシステムはまだできていません。浄化した後、海に放流していますが、打ち続く干ばつを考えると再利用対策を考えなければならないでしょう」
写真-6 雨水を屋上のプールに貯める
私は、翌日今回の視察の最終目的地であるタスマニア島に飛んだ。同島は北海道を一回り小さくしたほどの面積である。この島の特徴は、州都ホバートを含め人口の集中している東半分が少雨地帯で、森林の多い西半分が多雨地帯であることだ。その多雨地帯に建設
された同州最大のダム、ゴードン・ダム(堤高140m)を視察する予定だったが、山岳地まで長距離を走ってくれる車とドライバーがついに確保できず、州都ホバートを流れるダーウェント川に一時計画されたダム建設予定地まで車を走らせた(計画は頓挫している)。高速道路沿いに“Use water wisely”(水は賢く使え)との節水を訴える看板がほぼ2キロおき立っている。ホバート市内では夏の水道水供給制限に入ろうとしていたが、ホテルの水が出ないということはなかった。むしろ勢いよく出るのが不思議だった。
この島は大自然に恵まれ世界遺産に指定されている地域が全島の20%を占める。1960年代から70年代にかけて、ダム建設に対する環境派の反対運動が展開された。中でも水資源確保と水力発電を目指したゴードン・ダムとその下流のフランクリン・ダムの計画に対する反対運動は全島巻き込んだ論戦となった。結局、フランクリン・ダムは建設中止となった。
オーストラリアの大干ばつは5 年目の夏を迎えている。その被害は聞きしに勝るものであった。今後さらに深刻な事態も予測される。同国だけでこの危機を脱出できるとは思えない。ダム建設とリニューアル、水の再利用、海水淡水化、雨水の貯蓄、飲料水の大量輸
送、どれひとつをとっても日本も含め先進諸国の技術・資金両面での支援が急がれている。
謝辞:今回の現地調査では、在オーストラリア日本大使館川村謙一一等書記官(国土交通省から出向)に多大な協力をいただいた。記して謝意を表したい。
土木学会誌vol.92 no.1 January 2007 53
高崎哲郎
TAKASAKI Tetsuro
(財)河川環境管理財団 客員研究員 作家
http://www.jsce.or.jp/journal/jikosaigai/200701.pdfより引用
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