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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080504/trl0805041640001-n1.htm
2008.5.4 16:39
■弁護士の反発あらわに…日弁連会長選挙戦“異変”
今年2月に実施された日本弁護士連合会(日弁連)の会長選。弁護士の“ボス”を決める2年に1度の選挙だが、今年は法曹関係者に激震が走った。
裁判員制度や弁護士増員など一連の司法制度改革への「反対」を訴えた高山俊吉氏が7049票を獲得、9406票で当選した宮崎誠氏に迫ったのだ。高山氏は平成18年の選挙では3698票にとどまっており、2倍近く票を伸ばしたことになる。
高山氏は元青年法律家協会(青法協)議長で、法曹界では「人権派」として知られる。これまで日弁連会長選に4回出馬しているが、過去3回の獲得票は3000〜4000票にとどまっていた。今回は司法制度改革への批判票がどっと流れ込んだとみられる。
高山氏の選挙責任者を務めた武内更一弁護士は「予想された結果」と言う。「裁判員制度について全国の弁護士に無記名投票をさせたら、反対が圧倒的になるだろう。ただ、日弁連が裁判員制度を推進しているため、表立って反対できないだけですよ」
4月18日。東京・霞が関の弁護士会館で開かれた集会に、高山氏の姿があった。弁護士や市民を前に「裁判員制度は必ずつぶれる」とさけぶと、拍手がわき起こった。
日弁連の新会長になった宮崎氏は、制度に対する戸惑いが弁護士にあることを率直に認める。
ただ、「刑事裁判を改革しなければならないという弁護士も多い。これから1年で、全力を挙げて弁護士に理解を求める」と話す。
■裁判員裁判で審理迅速化…だが「迅速な審理はどこかでしわ寄せが来る」
「裁判員制度の問題は審理が粗雑になること、そして、国民が多大な迷惑を受けるということだ」
元裁判官の西野喜一・新潟大学大学院教授は強調する。2月に裁判員制度実施延期の決議をした新潟県弁護士会も、この点を理由に挙げる。
「事件の7割は3日以内で終わる」
最高裁はそう説明しているが、西野教授は「迅速な審理はどこかにしわ寄せがくる」として、こう続ける。
「日本人は刑事裁判に『真実の解明』を求めている。陪審制度の米国のように、『裁判に勝つも負けるも弁護士の腕』というようなコンセンサスは日本にはない。被告、被害者双方に納得のいかない裁判になる」
また、市民からも疑問の声が出ている。3月に東京地裁の模擬裁判に裁判員役として参加した女性は「とても疲れた」と話し、素朴な疑問を口にした。
「制度を導入して、一体、何がよくなるの?」
■不安は「責任の重さ」…どう払拭させるか?
最高裁が4月に発表した「裁判員制度に関する意識調査」では、4割弱が「義務でも参加したくない」と回答している。
参加に対する心配、支障で最も多かったのは、仕事や育児、介護への支障ではなく、「被告の運命が決まるので責任を重く感じる」だった。
この調査では制度への理解が深まるほど不安が解消されていく傾向が現れており、最高裁は広報活動に一層の努力をするとしている。
しかし、裁判員になれば、被告の有罪・無罪だけでなく、時には死刑にするかどうかまで判断しなければならない。
裁判員制度によって、国民はこれだけの負担に見合う“メリット”を受けられるのだろうか。
あるベテラン裁判官は「刑事裁判にかかわることで、社会の根幹を支える司法に対する市民の目が変わる。『裁判はこれでいいのか』という意識を一人ひとりが持つようになるだろう」と説明する。
一方で、裁判員制度によって裁判の真相解明機能がある程度低下する可能性も認めた上で、こう話すのだ。
「このやり方がベストなのかは分からない」
◇
裁判員制度のスタート(来年5月21日施行)まで、あと約1年に迫った。20歳以上の国民のほとんどが、裁判員に選ばれる可能性がある。法曹三者による準備は進んでいるが、反対の声も依然根強い。この制度はどんな課題を抱え、どうすればそれを克服できるのか、検証する。
=(2)へ続く