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http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/consti/news/200705/CK2007051502016238.html
【試される憲法】
国民投票法成立<上> 9条堅守へ『攻め』転換
2007年5月15日
日本の土台を六十年間支えてきた憲法。その改正手続きを定めた国民投票法が十四日、国会で成立した。近い将来、憲法のありようが国民に問われる公算は大きい。一億を超す有権者に、いかにして理解を深めてもらうのか、護憲派と改憲派、それぞれの取り組みも課題だ。国民投票が実施されるのは、早ければ二〇一一年。この国の“かたち”を決める憲法に、国民全体が真剣に向き合うべき時代に入った。
「採決フンサーイ」
「法案は廃棄せよ!」
十四日、国会議事堂前で絶叫調のシュプレヒコールが響いた。護憲派の数百人が座り込み、のぼり旗が揺れる。だが、抗議行動もむなしく国民投票法はあっけなく成立。競い合うように声を張り上げる人たちを横目に、通行人が冷ややかなまなざしで過ぎていった。
憲法改正のルールが出来上がり、外堀を埋められたかのように見える護憲派。国民投票法の制定自体に反対してきた、その戦術に対し、市民団体「国民投票・住民投票」情報室の今井一事務局長は「主権行使の機会を奪っては、国民はついていけない」と手厳しい。
批判の根底にあるのは、九条をめぐる硬直化した論議をよそに政府の解釈改憲が先行し、憲法の空洞化が進んでしまうことへの危機感だ。「護憲派としても、むしろ国民投票で勝った方が解釈改憲の進行を止められるはず。退路を断ち、投票で多数を取ることを明確に意識した運動に転換しないと」
二〇〇四年六月、手詰まり感が濃い従来の運動の枠を破ろうと、作家の大江健三郎さんらが呼び掛けて「九条の会」が発足。思想や立場の違いを超え「九条を守る」というただ一点で連携を始めた。初めから国民投票を織り込み、目標は「過半数世論の結集」。賛同する団体は三年弱で六千余になり、保守層にも広がっている。
昨年、「九条の会・石川ネット」に加わった元石川県議の上口昌徳さん(75)は、元自民党県連幹事長。「空襲で親族七人を失った私にとって九条は世界の宝。共産や社民の人たちも、党利党略を超えないとすそ野は広がらない」と明快だ。
国民投票の投票権者は一億人余り。「過半数の獲得には、今からその八割以上への働き掛けが必要だ」と東大教授の小森陽一・九条の会事務局長はみる。今後の運動の柱はスローガンの連呼ではなく、手間暇かかる戸別訪問を念頭に置く。
「相手との関係に根差した運動が大切。例えば格差社会で若者がはい上がれない状況が生まれている。単に『九条を守ろう』ではなく、そうした生活現場の問題から語り始められるかどうか」
ただ、自衛隊のイラク派遣反対を訴えるビラを郵便受けに投函(とうかん)したとして、逮捕者が出るご時世だ。早くも戸別訪問の“摘発”を心配する声もある。他人への無関心も広がる。野火のような国民運動へと脱皮できるのだろうか。
小森事務局長は言う。「もう近所を一千軒以上回ったという人だっている。本気で『国民投票で勝つ』という覚悟を決め、自分の街で確実に取り組めるか、ですよ」
『投票する』過半数18、19歳20人の声
国民投票法は、原則として十八歳以上を有権者と定めている。今の十八歳や十九歳の少年少女は、現行憲法についてどんなイメージを持っているのか、関東地方の二十人に聞いた。
憲法から連想するのは「九条」や「戦争放棄」など、半数近くが平和的イメージを挙げ、最も多かった。「自分たちの権利」など人権規定や「法律の大本」という最高法規規定を挙げる声も。半面、「とっつきにくい」「身近に感じたことがない」と憲法を遠い存在と感じる人もいた。
憲法改正の国民投票が今行われたら、半数以上が「行く」と回答。比較的関心が高かった。