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社会と権力、何が実体なのか? 選挙で反ファシズム戦線?
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投稿者 松浦 日時 2007 年 7 月 28 日 00:18:24: nX3mGLaD7LQUY
 

何故、政権批判よりも国民批判をするのか。
国民諸氏は自らを省みて考えて欲しい。

そもそも選挙は政治の実体なのか?
反ファシズム戦線?ファシズムが何か理解しているか?

国家権力というのは、財政が逼迫すれば福祉を削り、財の再配分を低下させ資本の生き残りを優先し、警察・軍隊の強化を図るのを常とする。実はこれは、権力が社会労働力の収奪を目的とした専業暴力機関を起源に生まれた組織に過ぎないことに起因している。原理がそうなら、真の実態も、終わる時の姿も同じだ。

ファシズムとは、人間社会から見れば本来的に外的な存在である権力に、社会が同化する事を意味する概念だ。

「社会の権力化」は、社会が不正の被害者ではなく主体となり、暴力の行為者となる事で、そのまま社会の暴力化に直結する。これが、正確な意味でのファシズムで、世間ではファシズムについての勝手な解釈が横行しているが、本当のファシズムの唯一の尺度は「社会の権力との同化」ということだけだ。

要するに、ファシズムは、権力の在り方ではなく、社会の在り方の問題。したがって、権力を批判するだけではファシズムは止められない。

日露戦争講和後の日比谷暴動を覚えているだろうか。 焼打事件とも言うが、実際は首都日比谷のみならず、全国に波及した反政府暴動だ。反政府暴動と書いたが問題はその内容だ。暴動を起こした民衆の要求は、ロシアから賠償金を取れないのなら戦争を続けろというものだった。先の日清戦争で戦費を遥かに越える賠償金を獲得したことに味を占めて、戦争は儲かると信じた国民が、戦争継続を求めて反政府暴動を起こしたのだ。

注目しなければならないのは、暴動を起こした民衆は、殆どが選挙権の無い無産国民だった事だ。その後に軍部の増長を招いたのは歴史が示している通り。ファシズムを実現する通路は、ナチスの様に民主選挙の場合もあれば、日本の様に選挙に拠らない場合もある。
何故なら、選挙の有無は、社会の実体とは直接関係が無いからだ。

選挙は、社会の趨勢にとって決して本質ではない。問題なのは、社会精神の在り方の方だ。

功利主義的社会は、常に富と権力に近づくための競争に明け暮れ、経済成長が止まれば、その傾向が更に強まり、必然的にファシズム化する。
「生活主義」とファシズムは、実は非常に相性が良い。ただ、刹那的で倫理が希薄なので、それに伴って知性も低く、先の結果を知る事ができないだけだ。

典型的な日本人ともいえる自民党の派閥の長が、金丸脱税問題の際に、「日本人は、カネにはうるさいから。」と発言していたが、多分本質を突いているのだろう。ここには、倫理的なのと、カネにウルサイのとは違う、というニュアンスが読み取れる。これを意識して国民の反応を観察していると、実に行動の意味が理解できる。試してみるといい。今回の社会保険問題も、実体はこれに過ぎない。正義とは別物だ。

だから、9条の会の講演会で、「9条を守る事は、今の生活を守る事だ。」と、発言している時点で、この国民は困難に直面している。「9条は、正しく理想だから、何を犠牲にしても守らなくてはならない。」と発言できず、それで動かされない社会に、健全な未来を期待できるのか?

常に実利と公正を結び付けて表現するのを「現実的」とする体質は、本当に現実的なのか?捻れた理念がもたらす現実は、所詮、弱者が自らを損なう強者の論理を積極的に支持する現実の前には、こそこそと身を隠す場所すら与えられはしない。まして、真理の座には近づくことさえ許されないのは言うまでもない。

健全な社会は、本源的に暴力を起源とする権力と対立し、制限する意思を発揮し続ける。正確な意味での「民度」とは、権力を制限する民の底力を意味する。それが唯一の基準。社会が権力と同化する事は、社会の究極の堕落形態、民度の最低への転落だから、その行く着く先は推して知るべしとなる。

民度を高めるためには、損得よりも正義と倫理を重んじる風土が必要不可欠だ。それこそが社会的公正を実現する唯一つの要件であることは、幾ら強調しても過ぎる事は無い。

民度が真に高ければ、選挙制度自体いらないし、民度が低ければ、毎日が選挙でも何の意味も無い。

だから、選挙の度に党派の数合わせを議論する次元は論外だ。

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