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http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/consti/news/200705/CK2007050102012871.html
【試される憲法】
東京外語大教授 伊勢崎賢治さん 平和構築 軍事こそ直視を
2007年5月1日
「日本ほど国際紛争の調停に向いている国はない」と話す伊勢崎さん=都内で
自衛隊は海外派遣の任務を着実にこなし、国民のアレルギーを解消しています。「日本人は戦争が嫌いだから国民投票に勝てる」という声もある。僕は護憲の側に立ちますが、平和ボケのままでいいという勝ち方がいいとは思わない。
憲法九条には無形の防衛力があります。アフガニスタンの国家統一に不可欠だった軍閥の武装解除は日本主導でした。責任者の私は「日本の指示だから従う」と何度も軍閥から言われました。憲法九条を持つ国の人間だから信頼されたのです。
彼らは日本が経済大国と同時に、戦争しない無害な国と感じている。この「体臭」は九条が培った財産。なぜそれをもっと利用しないのか。日本ほど国際紛争の調停に向いた国はないのです。
一方で、イラク戦争をどう総括したか。結局大量破壊兵器は発見されなかったのに、戦争の大義についての議論は起きない。
「自衛隊を派遣してブッシュ政権を支持したことは、国益にかなっていた」と政治家や官僚が公言してます。北朝鮮問題があるという理由ですが、平和ボケを最大限に利用した発言です。
イラクで殺された人たちには、日本にとっての北朝鮮問題など関係ない。自分たちの平和を他の民族の血であがなって平然としているのは、国家の品位が疑われます。
護憲派にも言いたいことがあります。「軍事を否定することが平和につながる」という考え方は改めた方がいい。平和を築くためには軍事こそ直視すべきです。自衛隊に関することは頭からだめというのも間違い。ネパールで実施している非武装の軍事監視は、平和憲法の精神を体現していると僕は考えます。
国連平和維持活動(PKO)に基づく自衛隊派遣も九条だけにこだわり、九八条二項(条約・国際法規の順守)や前文からはとらえてこなかった。外交努力が尽きた先の究極の手段として、武力を必要とする状況が国際紛争にはあります。九条を盾に国連の行動までも反対すると、逆に九条の首を絞めることになります。
いせざき・けんじ 1957年東京生まれ。早大大学院卒。世界各地で紛争処理に従事。2000年国連東ティモール暫定統治機構県知事。01年国連シエラレオネ派遣団武装解除統括部長。03年アフガニスタン武装解除日本政府特別顧問。著書に「武装解除」など。49歳。