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憲法のコンセプト
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投稿者 如往 日時 2007 年 4 月 19 日 07:40:18: yYpAQC0AqSUqI
 

(回答先: 日々雑感、歴史を見る感性 投稿者 まとはずれのおせっかい 日時 2007 年 4 月 18 日 17:32:44)


 まとはずれのおせっかいさん、こんにちは。
 多分、“戦後教育の二重底”以来ですね。横レスにて失礼します。


 帝国憲法(明治憲法)は神話を淵源とする国体(天皇主権)をコンセプトにして土台も上物も西欧の工法によって建造されたものと譬えることができるでしょう。それが、太平洋戦争(第二次世界大戦)の敗戦で、上物はおろか土台の多くの部分を破壊され、再建にあたっては新たな工法による土台と上物の構築を求められ、連合国の要請を概ね受け入れて国民主権を中核的なコンセプトにして設営されたものが現行の日本国憲法です。国民主権は建物の柱であると同時に実現していくべき建築物の全容を示すような言わばメルクマールと云えるかも知れません。

 しかしながら、日本人の意識の中に自らが建築主(憲法制定権力保持者)であり、且つ施工者であるという自覚がどの程度芽生えているかどうかについては疑念を禁じ得ません。すなわち、「近代の立憲主義憲法の本義は、統治権授権の対象たる権力機関、即ち立法(国会議員等)、司法(裁判官等)、行政(公務員等)にたいする権力の制限規範及び授権規範であり、主権者(国民)の自由(生存の自在性を担保)と公共の福祉に資するものである。」と云った憲法意識が戦後から今日までにどの程度国民の間に涵養されて来たかは判断が難しいところです。

 その原因の大きなものは、外来の手法を理解し再現する能力の高い日本人は逸早く新しい工法を取り入れて建物を造ることはできても、建築のデザイン・コンセプトまでを理解しようとする心性や習性は遺憾ながらあまり生成も醸成もされて来なかったことにあると思います。日教組でさえも教育の現場で十分に日本国憲法の憲法精神の浸透化を図ることが出来たかどうか、戦前教育の下に育った教師達がそう簡単に意識転換ができるものでもないだろうと思っていますし、一例としては教授法の開発の遅れがそれを物語っていると考えています。

 さて、戦後約60年を経た今日では日本国憲法の無効性を説いたとしても負け犬の遠吠えに近いもので、また帝国憲法においても最早その有効性を担保しようとしても徒労に終わることでしょう。それよりも、如何に現憲法を有効活用していくかに力点をおいて、日本や地球の未来を展望していくことの方が重要であり、それこそが世界でも類い稀なる憲法の精神を日本人が体現していく唯一の途ではないでしょうか。しかし、それには、国民主権の立憲主義憲法の本義に照らし、その実現に向けて、我々は大事業を成している途上にあるのだという自覚が必須条件であることは謂うまでもありません。

 また、会いましょう。

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