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(回答先: “Down the Rabbit-Hole”始めにご投稿内容,確認すべきでした 投稿者 秋吉悠加 日時 2007 年 9 月 06 日 08:26:55)
作者は、キリスト教異端の「ユニテリアン」信徒で、「イエスが十字架から蘇った」ことを否定してるんだそうです。
そして、ピーターラビットのお話はイエスキリスト受難のパロディーになっているとか。
早速図書館で借りて読んでみました(^_^) もう、絶版みたいです。
http://www.peterrabbit.info/2008/08/post_107.html
有名なピーター・ラビット。作者は英国女性のビアトリクス・ポター。可愛らしくも達人の絵で、憧れますねー。「西のビアトリクス・ポター、東のいわさきちひろ」ってくらいのもんです。
ところでこのピーター・ラビットの初編『The Tale of PETER RABBIT』。これ実は「イエス受難劇」のパロディーになってる…って説があります。益田朋幸『ピーター・ラビットの謎』（東京書籍）の説くところで、以下は同書からの紹介。
ビアトリクスの絵本には、さまざまな植物や鳥たちが精密に描き込まれてます。同書では、これら植物や鳥たちが、西洋文化において独特の「象徴イメージ」を担っていることを指摘してる。そしてそれらのイメージが、ピーターのまわりで「イエス受難劇」の雰囲気を演出している…というのです。
また同書は、ビアトリクスについて次の２点を指摘してます。
①ビアトリクスは「ラファエル前派」に近かった。
「ラファエル前派」ていうと、ミレー、ハント、バーン・ジョーンズ、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ（←すごい名前だ）とかが有名。神話的・ロマン的な画題を多く採り上げました。
ただし彼らはそうした画題を、「宗教性」を脱色した「イメージの遊戯」として描いた…てところがポイントです。西洋人におなじみの聖書画題も、彼らにかかると「脱神話化」されてしまいました。
ビアトリクスはこの派の周縁に位置しており、影響を受けてたらしい。
②ビアトリクスは「ユニテリアン」信徒だった。
正統なキリスト教では、イエスは「人の子」であって同時に「神の子」－だと考えます。彼は人の女から生まれて死すべき肉体を持っていたが、それがまた神的・霊的な存在であった－というのです。
でもそんなのは不合理だ、という思想がある。「イエスは単に人の子だった、神の子ではない」－という主張です。これが「ユニテリアン＝イエス単性論」というもの。
ユニテリアンは長らく異端で、中世なら火あぶりになってたけど、「合理主義」の近現代では、一つの教派としてちゃんと公認されてます。実はビアトリクスの一家もこの派でした。
この教派では、当然ながら、「イエスが十字架から蘇った」ことを否定します。だって人間なんだから、死んだら生き返るわけないのね。
もしもイエスが後で女弟子たちの前に現れた…というんなら、彼は十字架の上で死んだのじゃなかったってコトになる。つまり「刑死はウソ」だってこと。
－で、ピーターの物語です。
彼はマグレガーさんちの菜園（＝ゴルゴダの丘）で殺される運命にあったのに、結局どうにか逃げおおせた。ムカっ腹のマグレガーさんは、ピーターのジャケットと靴でカカシ（＝十字架）をこしらえた。当然ながらこのカカシにはピーター（＝イエス）はかかってません。
ピーター（＝イエス）は生き延びて、死んだよーに巣穴（＝墓穴）にぐったり。それを彼の三姉妹（＝三人の女弟子）が見ている…っていうのがラストになる。
言われてみれば、なるほど、「イエス受難劇」の図式をちゃんと踏んでますねー。いやびっくり。
むろん益田氏の同書の指摘は、もっとずっと精密で、西洋「聖図像学」の入門にもなってます。興味のある方はご参照を。
- ユニテリアン教会について Sun Shine 2007/9/06 18:38:22
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